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(スペイン民法)                  元司法書士 古閑次郎

(平成27年3月見直し修正)

第1編 第4章:婚姻。

(第1節 婚約)

42

婚姻の約束は婚姻する義務、また、婚姻しない場合について約定された事項を履行する義務を生じさせない。

  その履行を求める訴えは受付けられない。

43

成人もしくは親権解放未成年が成した婚姻の確たる約束の理由なき不履行は、支出した費用および約束された婚姻を考慮して負担した債務を他方に賠償する義務のみを生じさせる。

この請求権は、婚姻挙行を否認した日から1年で失効する。

(第2節:婚姻の要件)

44

男及び女は、本法の規定により婚姻する権利を有する。

婚姻は、両挙行者が同性または異性であるときも、同じ要件と効果を有する。

45

婚姻の同意がないときは、婚姻は成立しない。

同意の条件、期限または方式は付されなかったものとみなす。

46

婚姻できない者は:

① 親権から解放されていない年少者。

② (現に)婚姻関係にある者。

47

互いに婚姻をなすことができない者は:

① 直系血族関係または養親子関係にある親族同士。

3親等までの傍系血族同士。

③ その一方配偶者の故意の死亡(muerte dolosa)の主犯または共犯として罰された者同士。

48

法務省は、当事者の請求により、前配偶者の故意の死亡による障害を免除できる。 

第一審の裁判官は、正当事由の存在および当事者の請求で、傍系3親等と14歳からの年齢による障害を免除できる。年齢の免除の発給においてはその年少者およびその両親または後見人の意見を聴かなければならない。

事後的免除は、両当事者のどちらからも裁判上その無効を申立てられていない婚姻を、婚姻挙行時から有効にする。

(第3節:婚姻挙行の方式)

(第1款:総則)

49

スペイン人は、なん人もスペイン内または外で(次の方式で)婚姻できる。

① 裁判官、市長または本法で指定する公務員の前で。

② 合法的になされた宗教的方式で。

また、スペイン外で挙行地の法律に規定されている方式に従って婚姻できる。

50

両当事者が外国人の場合、スペイン人に規定された方式に従って、または、それらの一方の属人法が規定する方式を履行してスペインで婚姻できる。

(第2款:裁判官、市(町村)長、公務員の前での挙行)

51

婚姻を認証できる者は:

① 身分登録を担う裁判官および婚姻挙行地の市(町村)長または市(町村)長が委任する市(町村)議会議員(concejal)

② 上記の裁判官がいない市町村では適法に指名された代理人。

③ 外国では身分登録を担う外交官または領事。

52

死亡の危急にある者の婚姻を認証できる者は:

① 身分登録を担う裁判官、その代理人または市(町村)長、たとえ挙行者が該当区域に居住していなくとも。

② 裁判官がいない場合で戦場にある軍人については、士官または直属上官。

③ 船上または航空機内で挙行される婚姻については、船長または機長。

この婚姻では、その認証のためには(婚姻)調書(expediente)の先行的作成は必要なく、2名の成年者である証人が挙行場所に参列することを、その不能が証される場合を除いて、必要とする。

53

認証する裁判官、市(町村)長または公務員の管轄違いまたは適法な指名の欠如は、当事者の少なくとも1人が善意で挙行し、かつ、それらの者が公然とその業務を行う場合は、婚姻の有効性に影響を与えない。

54

充分に証明された重大な事由がある場合は、法務省は秘密婚を認証できる。この場合、その調書(作成)は、公示または公告なしに、密かに手続される。

55

認証する裁判官、市(町村)長または公務員の地域または管轄区域に居住していない(一方)挙行者が真正な方式での特別な委任状が与えられた代理人によって婚姻挙行することを婚姻調書中に認証することができる。この場合、他方挙行者の出席が必要である。

婚姻を挙行する相手は、委任状において、その同一性立証のための正確な人的状況が記載されて、確認されている。

委任状は、委任者の撤回、受任者の放棄またはその一方の死亡により効力がなくなる。委任者による撤回の場合、婚姻挙行前での真正な方式による意思表示で足りる。撤回は直ちに認証する裁判官、市(町村)長または公務員に通知される。

56

婚姻しようとする者は、身分登録(registro civil)法制に従って手続される(婚姻)調書において本法が規定する能力要件を満たしていると事前に証する必要がある。

  挙行者の一方が精神的薄弱または精神的異常に罹患している場合は、同意をなす能力について医師の意見を要する。

57

婚姻は、挙行者のどちらか一方の住所地に係る裁判官、市(町村)長または公務員および成年者である2名の証人の前で挙行されなければならない。

同意の提供は、調書作成者の委任により、挙行者の請求または職権で、他の市(町村)の裁判官、市(町村)長または公務員の前でなすことができる。

58

裁判官、市(町村)長または公務員は、第66条、67条および68条を読み上げた後で、挙行者の各々に、婚姻に同意するかどうか、および、当該行為で有効に挙行するかどうか質問する。両者が肯定的に答えると、(それらの者は)両者は婚姻で結合されたと宣言し、登録記入するかまたは対応する記録(acta)を作成する。

(第3款:宗教的方式での挙行)

59

婚姻の同意は、登録宗派によって前もって準備(previsto)された方式で、国との協定された条件の下、それがない場合は国の法制により認証された条件の下、なすことができる。

60

宗教法の規定に従って、または、前条で準備された宗教的方式のいかなる方式で挙行された婚姻は民事的効果を生じさせる。民事的効果の完全な認証(reconocimiento)は次節の規定による。

(第4節:身分登録簿への婚姻の登録)

61

婚姻は、その挙行後に民事的効果を生じさせる。

民事的効果の完全な認証には身分登録簿へのその登録が必要である。

登録されていない婚姻は第三者が善意で取得した権利を害しない。

62

婚姻がその面前で挙行される裁判官、市(町村)長または公務員は、挙行後直ちに登録記入をなすか、それが署名し、挙行者および証人が署名した対応する記録(acta)を作成する。

同様に、登録が実行され、または、記録が作成されたら、裁判官、市町村長または公務員は、挙行者の各々に婚姻挙行証明文書を渡す。

63

スペイン国内で宗教的方式で挙行された婚姻の登録は、身分登録法制が要求する事情を説明する(対応する)教会または宗派の証明書の単純な提出で実行される。

提出された文書または登録記入欄からその婚姻が本章で要求される婚姻の有効要件を満たしていないことが証されると、登録実行は拒否される。

64

秘密婚の承認には、中央身分登録所の特別登録簿への登録で足りる。その登録は第三者が善意で取得した権利は害しないが、通常身分登録所でのその公示(日)からは(その第三者を)害する。

65

63条の規定の場合を除いて、対応する(婚姻)調書が手続されることなく婚姻が挙行された場合では、身分登録を担う裁判官または公務員は、登録実行の前に、婚姻挙行の法的要件が満たされているか確認しなければならない。

(第5節:夫婦の権利・義務)

66

夫婦は権利・義務において同等である。

67

夫婦は、互いに尊敬し、助けあい、家族の利益のために行動しなければならない。

68

夫婦は同居し、互いに貞節を守り、扶助する義務を負う。更に、家庭上の債務および尊属・卑属・その他の被扶養者への配慮を共有する必要がある。

69

反対の証明がないと、夫婦は同居しているとみなす。

70

夫婦は、協定して夫婦の住所を定める。紛争があると、裁判官が家族の利益を考慮して解決する。

71

夫婦の一方は、他方の代理を、授与されなかったときは、引受けることはできない。

72条:削除(1981年法30

(第6節:婚姻の無効)

73

婚姻は、その挙行方式がなんであっても、次の場合無効である:

① 婚姻の合意なしに挙行された。

② 第48条の特許の場合を除いて第46条と47条に係わる者たちの間で挙行された。

③ 裁判官、市(町村)長または公務員の介入なしに、または証人の介入なしに挙行される婚姻。

④ 他方挙行者の人違いで挙行された、または、同意提供を決定的にしたところの(他方の)人的特質(cualidad)を誤解して挙行された。

⑤ 強迫または非常な恐怖により挙行された。

74

婚姻無効請求訴訟は、次条以降に規定する場合を除いて、夫婦、検察庁およびそれに直接かつ適法な利害を有する何人も提起できる。

75

無効原因が年齢不足であり、挙行者が年少者である間は、当該訴訟は、両親のいずれか、後見人または後見監督人および検察庁が提起できる。

  成年者になったときは、その訴訟は、その年齢に達した後その夫婦が一年間同居していた場合を除いて、年少者たる挙行者のみが提起できる。

76条 

錯誤、強迫または非常な恐怖の場合、無効訴訟は、その傷を受けた配偶者が提起できる。

錯誤が消滅し、強迫または恐怖の事由が止んだ後で夫婦が1年間同居した場合は、訴権は喪失し、婚姻は有効となる。

77条:削除(1981年)

78

裁判官は、第73条③の規定を除いて、少なくとも夫婦の一人が善意で挙行した場合は、方式の欠陥による婚姻の無効を裁判しない。

79

婚姻無効の判決は、子および善意の挙行者に関して生じた効果を無効にはしない。

  善意は推定される。

80

宗教婚の無効について教会裁判所が宣した決定または未完行婚(matrimonio rato)についての司教の決定は、当事者の一方の請求により、民事訴訟法第954条が規定する条件に従って管轄権を持つ民事裁判官がなした決定で国家法に適合すると言い渡されると、民事秩序(orden civil)において効力を有する。

(第7節:別居)

81

婚姻挙行の方式の如何を問わず、別居は裁判上(次の場合)決定される:

① 夫婦両方が、または、他方の同意を得て夫婦の一方が、婚姻挙行から3ヶ月経過して、請求する場合。請求には本法第90条に従って作成された調整協定(convenio regulador)の提案を添付する。

② 夫婦の一方のみが、婚姻挙行から3ヶ月経過して、請求する場合。原告たる配偶者、夫婦の子または婚姻メンバーのいずれかの生命、身体、自由、精神または性的自由・安全に関して危険の存在が証されるときは、訴訟提起のこの経過期間は必要ない。

請求には、別居に起因する結果を調整すべき方策の合理的提案が添付される。

82条:削除(2005年)

83

別居の判決は、夫婦の共同生活の中断を生じさせ、家庭内権限の行使において他方配偶者財産を拘束できなくする。

84

和解は、別居訴訟を終了させ、そこでの裁決の後発的効果を失わせる。しかし、夫婦は訴訟を審理している、または審理した裁判官に個別に報告しなければならない。

(第8節:婚姻の解消)

85

婚姻は、その挙行の方式と時期がいかなる場合でも、夫婦の一方の死亡あるいは死亡宣告または離婚で解消される。

86

離婚は、婚姻挙行の方式がいかなる場合でも、夫婦の一方あるいは両方の請求により、または、他方の同意で一方の請求により、第81条で要求される要件および状況が満たされると、裁判上宣言される。

87条:削除(2005年)

88

離婚訴訟は、夫婦の一方の死亡および和解で消滅する。後者は訴訟提起後になすときは明示的でなければならない。

  離婚後の和解は、たとえ離婚当事者が新たな婚姻を挙行できるとしても、法的効果を生じさせない。

89

離婚による婚姻の解消は、そのように決定する判決によってのみなすことができ、その確定から効果を生じさせる。(離婚は)身分登録所にその登録をなしたときからでないと善意の第三者を害さない。

(第9節:(婚姻)無効、別居および離婚の共通的効果)

90

本法の第81条および86条に係る調整協定には、少なくとも次の事項を含む必要がある:

A) 両方の親権に属する子の監護、親権の行使、および、場合によっては、子と同居しない一方と子の接見・滞在の方法。

B) 必要な場合は、孫の利益を考慮しての祖父母と孫との訪問・接見の方法。

C) 家族の住居と家具の利用の配分。

D) 婚姻と扶養費用への寄与度、また、場合によっては、その具体化の基礎(bases)と担保。

E) 訴訟が進行しているとき、婚姻財産制の清算。

F) 97条の規定により、場合によって、夫婦の一方を満足させることにつながる定期金(pensión)

(婚姻)無効、別居または離婚の結果を調整するために採用された夫婦間の協定は、子を害する場合、または、夫婦の一方を重く害する場合を除いて、裁判官により承認される。当事者が孫の祖父母との訪問・接見の方法を提案するときは、裁判官は祖父母の同意するとの意見を聴いて、それを承認する。協定の不承認は、理由付き決定によってなされなければならない。この場合は、夫婦は、裁判進行中は、新たな提案を裁判官にその承認のため提出しなければならない。裁判上の承認のときから強制執行によって(協定は)効力をもたせることができる。

協定の欠如により裁判官が採用する措置または夫婦が協定した措置は、裁判上でまたは状況の実質的変化があるときは修正することができる。

裁判官は協定の履行のため物的または人的担保を設定することができる。

91

(婚姻)無効、別居または離婚の判決で、または、その判決の執行において、裁判官は、夫婦間の協定の欠如またはその協定の不承認の場合、子、家族の住居、婚姻費用、夫婦財産制の解消およびそれぞれの予防措置または保証について先に既に適用された措置に代わるべき措置を、(次条以下の規定に従って、それらの項目になんらの措置がなされていない場合法的根拠のある措置を設定して)、決定する。これらの措置は、状況の実質的変化があるときは修正することができる。

92

1. (婚姻)無効、別居または離婚は子に対する親の義務を解除しない。

2. 裁判官は、年少の子の監護・教育について措置を採らなければならないときは、子の聴聞される権利(の履行)に留意する。

3. 親権剥奪が、裁判においてその理由が明らかになると、判決中に承認される。

4. 子の利益のため、親権を全部または部分的に夫婦の一方が行使することを両親は調整協定中で決議でき、または、裁判官が決定できる。

5. 子の監護の共同実施は、調整協定の提案で両親がそのように申請するとき、または、裁判の進行中両親がこの合意に達するとき、決定される。裁判官は、共同監護を承認するとき、および、その後その決定に根拠を与えるときは、設定された監護方法の有効な履行のための合理的な予防策を、兄弟を分離しないように努めて、採用する。

6. 全ての場合、監護方式を決定する前に、裁判官は検察庁から情報を求め、職権でまたは検察庁、当事者若しくは司法技術団体(Equipo Tecnico Judicial)のメンバーまたは年少者自身の要請で必要とされるときは充分な判断能力を有する年少者の意見を聴き、出頭している当事者の申立ておよびそこで調べられた証拠並びに父母が監護方式とともにそれの適応性を決定するために父母の間で保持される関係を評価しなければならない。

7. 父母のいずれかが他方配偶者または両親と同居する子の生命、身体、自由、精神または性的自由・安全に対して危害を加えたことによって開始された刑事裁判を受けているときは、共同監護は取られない。同じく、当事者の申立ておよび提出された証拠から、裁判官が家庭内暴力の根拠ある徴候の存在に気が付くときも、共同監護は取られない。

8. 例外的に、本条の5項の場合がなされないときでも、裁判官は、父母の要請により、検察庁からの(父母への)有利な情報を得て、共同監護を、この方式でのみ年少者の利益がより優れて適切に守られることに基礎をおいて、決定することができる。

9. 裁判官は、前各項が関連する決定を採用する前に、職権でまたは当事者の要請で、親権行使の方式および年少者監護方式の適切性に関して適法に資格を有する専門家の意見を求めることができる。

93

裁判官は、全ての場合、(子の)扶養の満足のため各親の寄与分を定め、子の経済的状況及び経済的必要に対する給付の有効性と便宜を確保するため適当な措置を其々の時点で採る。

  家族の住所に自己の収入がない成年である子または親権解放未成年者が同居している場合は、裁判官は、その同じ決定で第142条以下の規定に従って適切な扶養を定める。

94

年少の子または無能力の子と同居していない親は、それらの子を訪問し、接見し、および同伴する権利を享受する。裁判官は、その権利の執行の時期、方法と場所を決定する。裁判官は、その権利の制限・中断を示唆する重大な状況が発生する場合、または決定で課した義務を甚だしくあるいは繰り返し履行しない場合は、その権利を制限または中断できる。

  同様に、同意を与えなければならない両親および祖父母を前もって聴取して、第160条の規定に従って、子の利益に配慮して、孫の祖父母との接見・訪問の権利を決定する。

95

確定判決は、婚姻の財物について夫婦財産制の解消をもたらす。

  無効判決が夫婦の一方のみの悪意を宣告する場合は、善意でなした者は、夫婦財産制の解消において収益分配(財産)制(*注:第435)régimen de participación)に関する処置を採用する選択をなすことができ、悪意者はその配偶者が獲得した収益に参加することはできない。

96

裁判官が承認した夫婦の合意がない場合、家族の住居およびその日常家具の使用は、子および子と同居する配偶者が受け持つ。

  子の何人かが夫婦の一方に同伴し、その他の子が他方に同伴する場合は、裁判官は前段を解決する(resolver)

  子がない場合、それらの財物は、適度に定められる期間名義人でない配偶者が使用できるように、(諸事情を考慮し、そう推奨でき、その者の利益が保護される必要があるという条件下で、)決定することができる。

  前述の名義人でない配偶者が使用する住居と財物を処分するためには両当事者の同意または場合によって司法的認証が必要である。

97

別居または離婚が、一方配偶者に他方との関係で経済的不均衡(それには婚姻における以前の状況での悪化を含むが)をもたらす場合、その配偶者は、調整協定または判決での決定に従って、一時的もしくは不定期な扶助料(pensión)の形で、または、特定な給付の形で、求償を請求することができる。

配偶者間の協定がない場合、裁判官は判決で、次の状況を考慮して、その総額を定める:

① 配偶者間で合意に至った協定。

② 年齢と健康状態。

③ 職業資格と雇用へのアクセス可能性。

④ 家族への過去・将来の貢献。

⑤ 他方配偶者の商業的、技能的(industrial)または専門職業的活動でのその仕事への協力度合。

⑥ 婚姻期間と同居期間。

⑦ 扶助料の権利の偶発的喪失。

⑧ 一方および他方配偶者の資産、経済力および必要性。

⑨ 関連するその他の状況。

扶助料を現行化する(*注:将来の物価変動に対処するため)actualizar)ための基礎(bases)およびその実効性のための保障は裁判上の決定で定める。

98

婚姻無効を宣告された善意の配偶者は、夫婦の同居があった場合、第97条に規定される状況を考慮して、補償を受ける権利を有する。

99

97条に従って裁判上決められた扶助料の代わりに終身定期金の設定、ある特定の財物の用益権または物的もしくは金銭的資本の引渡しで代替することをいつでも協定できる。

100

別居もしくは離婚の判決で扶助料とその現行化の基礎(bases)が一旦決定されると、一方または他方配偶者の財産における実質的変化によってのみ変更することができる。

101

扶助料を受ける権利は、それをもたらした原因が止むことにより、権利者が新たな婚姻を挙行することにより、または、他の者と夫婦同然に住むことにより、消滅する。

  扶助料を受ける権利は、債務者の死亡の事実のみでは消滅しない。しかし、その相続人は、相続財産が債務(の必要性)を満足できない場合、または遺留分において相続人の権利に影響を与える場合は、裁判官に扶助料の減額または廃止を申請できる。

(第10節:(婚姻)無効、別居と離婚申立てによる暫定的措置)

102

(婚姻)無効、別居と離婚の訴えが受理されると、法律上(当然に)次の効果をもたらす:

① 夫婦は別々に暮らすことができ、夫婦の同居の推定は止む。

② 夫婦の一方が他方に与えた同意および権限委任は撤回されたものとなる。

同様に、反対の約定がないと、家庭内権能(potestad doméstica)の実行において他方配偶者の特有財産を拘束することができなくなる。

このため当事者のいずれも適時な登録を身分登録簿、場合によっては、所有権・商業登記簿になすことができる。

103

訴えが受理されると、裁判官は、夫婦両方の裁判上承認された合意がない場合、これらの者を聴取して、次の措置を採用する:

① 子の利益のため、両親の親権に服していた子が夫婦のどちらに残るべきか決定し、また、本法の規定に従って適切な処置を取る。特に、子の監護をしない一方が子の扶養義務を果たさせる方式、子と接見および同伴できる時期、方法および場所を決定する。

   例外的に、子を祖父母、親族またはそう同意する他の者に委託することができ、そして、それらがいない場合、裁判官の権限下で執行される後見機能を付与して適切な施設に委託できる。

   年少者を夫婦の一方または第三者が奪う危険がある場合、必要な措置、特に次の措置を採用することができる:

  a) 事前の裁判上の承認を得ない出国の禁止。

  b) 年少者へのパスポート発給の禁止。発給されているとき、パスポートの回収。

  c) 年少者の住所変更は事前の裁判所の承認に服すること。

② 保護を最も必要とする家族利益を考慮して、夫婦のどちらが住居の使用を継続すべきか定め、同じく、事前の(財産の)棚卸しをして住居内に残す動産と家具、他方が持って行く財産を定める、同じく、各自の権利を保全するために適当な予防措置を定める。

③ 訴訟継続のときの訴訟費用を含めた婚姻費用の各自への負担分(contribución)を決定し、額の現行化のための基礎(bases)を確立し、そして、これらの事項のため一方が他方に提供しなければならないものの実効性を確保するために担保、供託、留保およびその他の適当な予防措置を取る。

夫婦の一方が親権に服する子の監護に向ける労力は当該費用への負担とみなす。

④ 状況に応じて、事前の(財産の)棚卸しで夫婦の一方または他方に引渡すべき(婚姻中)取得財産または共有財産を指定し、受領する共有財産またはそれらの一部および続いて取得するものに関しての管理・処分および収支報告の義務的提供において遵守すべき規則を指定する

⑤ 場合によっては、夫婦財産契約または公正証書によって婚姻費用に特に当てられていたそれら特有財産の管理・処分の方式を定める。

104

婚姻の無効、別居または離婚の訴えをしようとする夫婦の一方は、前2条に関する効果および措置を申立てることができる。

  これらの効果および措置は、最初に採用された日から数えて30日以内に管轄裁判官または裁判所に訴えを提起する場合のみ、存続する。

105

妥当な事由により夫婦の住所を出て、前条に関する訴えまたは申立てを30日の期間内に提起する配偶者は同居義務の不履行ではない。

106

本節に規定する効果および措置は、全ての場合、請求認容判決の効果および措置で置き換えられるとき、または、訴訟手続きを他の方式で終了させるときは、終了する。

  同意および権限委任の撤回は確定的とみなす。

(第11節:婚姻の無効、別居または離婚に適用される法律)

107

1. 婚姻の無効およびその効果は、その挙行に適用される法律に従って決定される。

2. 別居と離婚には訴え提起時の夫婦の共通国法が適用される。共通の国籍がない場合は、当該時点の婚姻の共通居住地の法律が適用される、これがない場合は、婚姻の最後の共通居住地の法律が、夫婦の一方がその国に居住しているときは、適用される。

  全ての場合で、夫婦の一方がスペイン人の場合、または、スペインに通常居住している場合で、次の事項(の一つ)に該当するときはスペインの法律が適用される:

a) 前述した法律のいずれも適用できない結果となったとき。

b) スペインの裁判所に提起された訴えで、夫婦の両方が、または、他方の同意を得て一方が別居または離婚を請求するとき。

c) 本項のa)で示された法律が別居もしくは離婚を認めないとき、または、差別的にもしくは公序に反して認めるとき。