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(スペイン民法)                  元司法書士 古閑次郎

(平成27年3月見直し修正)

第1編 第5章:父性と親子関係

(第1節:親子関係とその効果)

108

親子関係(filiación)は、自然により(por naturaleza)または養子縁組で発生する。自然的親子関係は婚姻内または婚姻外であり得る。父と母がその間で結婚しているときは婚姻内親子関係である。

婚姻内、婚姻外親子関係、同様に養子縁組親子関係は本法の規定に従ってその効果を発生させる。

109

親子関係は法律の規定に従って姓を決定する。

  親子関係が(父方、母方の)両系によって定まる場合は、父と母は、共同の同意で(子の)身分登録の前に、その互いの最初の姓の付与順番を決めることができる。この選択がなされないときは、法律の規定による。

*注:通常、スペインでは、子の姓には父母の最初の姓をつける。)

  長子のため登録された姓の順番は同じ連鎖のその弟妹のその後の出生登録で効力を持つ。

  子は、成年となったとき、姓の順番を変更するよう請求できる。

110

父と母は、親権を有していなくとも、未成年者の子の庇護および扶養の義務がある。

111

親は、(次に場合)親権およびその他の保護機能から排除され、また、子もしくはその卑属またはその相続財産について法律上権利を有さない:

  確定刑事判決に従って、世代(generación)が服する関係の事由で罰せられたとき。

  親子関係がその者の異議に反して裁判で決定されたとき。

  これら両方の場合、子は、問題の親の姓を、子またはその法定代理人が持つように申請する場合にしか、持つことはない。

  子の法定代理人の裁判上承認された決定(determinación)により、または、子が能力者になったときの子自身の意思によりこれらの制限は効果を生じない。

  子を庇護する、および、扶養する義務は常に保持される。

(第2節:親子関係の決定(determinación)と証拠)

(第1款:総則)

112

親子関係は、それが発生したときから効果を生じる。その(親子関係の)適法な決定は遡及効を、遡及性が(親子関係の)効果の性質と両立し、かつ、法律が反対の規定を持たない場合には、有する。

  全ての場合、親子関係の決定以前に、法定代理人が未成年者たる子または無能力者の名でなした法律行為はその効力を保持する。

113

親子関係は、身分登録簿への登録により、適法にそれを決定する文書もしくは判決により、嫡出推定により、および、これらがない場合は身分占有(posesión de estado)により、証される。登録と異なる証拠の受入れについては身分登録法の規定による。

  親子関係の決定は、他の矛盾することが証されると、効力はない。

114

親子関係の登録記入欄は、否認(impugnación)請求権に関する本章の特別規定は別として、身分登録法に従って訂正できる。

  また、刑事判決で証明された事実と矛盾する結果となる登録記入欄は、いつでも訂正できる。

(第2款:婚姻内親子関係の決定(determinación)

115

父母の婚姻内親子関係は、(次により)法律上決定される:

① 父母の婚姻登録と一緒での出生登録により。

② 確定判決により。

116

婚姻後でかつ婚姻の解消または夫婦の法律上もしくは事実上の別居から300日以内に出生した子は夫の子と推定する。

117

婚姻から180日以内に子が出生した場合は、夫は、分娩を知った時から6ヶ月以内になされた正式な反対の意思表示をもってその推定を覆すことができる。明示的もしくは黙示的に父性の承認があった場合または婚姻の前に妻の妊娠を知っていた場合は除かれる。しかし、後者の(知っていた)場合、正式な(反対の)意思表示が婚姻の前に、または後で子の出生後6ヶ月以内に、両方の合意でなされなかった場合に限る。

118

夫婦の法律上または事実上の別居の事由により夫の父性推定が欠けていても、両者の合意があると、婚姻内(として)親子関係を登録できる。

119

婚姻が子の出生後になされたときは、親子関係の事実が次款の規定に従って法律上決定されるという条件の下で、親子関係は両親の婚姻の日から婚姻内の性格を有する。

 前段の規定は、場合によっては、死亡した子の卑属を益する。

(第3款:婚姻外親子関係の決定(determinación)

120

婚姻外親子関係は(次により)法律上決定される:

身分登録所の責任者の面前での認知により、遺言中で、または、他の公署証書で。

② 身分登録法に従って手続きされた調書(expediente)に附される裁決(resolución)により。

③ 確定判決により。

④ 母については、身分登録法の規定に従って期間内になされた出生登録で母性親子関係が証されるとき。

121

無能力者または年齢の理由で婚姻できない者による認知は、それを有効にするためには検察庁の意見を聞いての裁判所の承認が必要である。

122

親の一方が単独に認知する場合、他方の身元(identidad)を、それが法律上決定されていないと、認知中に表明することはできない。

123

成年者である子の認知は、その者の明示的または黙示的同意がないと、効力を生じない。

124

未成年者または無能力者の認知が効力を有するには、その法定代理人の明示的同意または検察庁と法律上知れたる親の意見を聞いた裁判所の承認が必要である。

  認知が遺言中でなされた場合または規定の出生登録実行期間内になされた場合は、同意または承認は必要ない。そのように実行された父(性)の登録を、出生から1年以内の母の単独の申立で中断することができる。父が登録の確認を求める場合は、検察庁の意見を聞いて裁判所の承認が必要である。

125

未成年者もしくは無能力者の父母が兄弟姉妹または直系の血族である場合で、一方(の親)について親子関係が法律上決定されたときは、他方(の親)については、検察庁の意見を聞いての裁判所の事前承認によって、未成年者または無能力者にとって適当であるときは、法律上決定できる。

126

既に死亡した子の認知は、その卑属自身またはその法定代理人が同意するときのみ効力を有する。

(第3節:親子関係訴訟)

(第1款:総則)

127条~130条:削除

(第2款:請求)

131

適法な利害を有する何人も、不断の身分占有(posesión de estado)により表示された親子関係が確認される(declararse)ための請求(訴)権を有する。

申立てにかかる親子関係が他の法律上決定された親子関係に矛盾する場合は除かれる。

132

対応する身分占有がない場合、婚姻内親子関係請求(訴)権(これは消滅時効にかからないが)は、父、母または子に属する。

  子が、能力者になったときから4年経過する前に、または、請求を基礎づけるべき証拠の発見から1年以内に、死亡した場合は、その請求(訴)権はこれらの期間が満了するまでの間その相続人に属する。

133

婚姻外親子関係請求(訴)権は、それぞれの身分占有がないときは、子に生涯に亘り属する。

  (本段は、20051027日と2006216日憲法裁判所判決で違憲とされている)

子が、能力者になったときから4年経過する前に、または、請求を基礎づける証拠の発見から1年以内に、死亡した場合は、その請求(訴)権はこれらの期間が満了するまでの間その相続人に属する。

134

子または親による前各条に従っての請求(訴)権の行使は、全ての場合、矛盾する親子関係の否認を許容する。

135条:削除

(第3款:取消し(impugnación)

136条:

父は、父性の取消(訴)権を、身分登録簿への親子関係の登録から1年以内に行使することができる。しかしながら、その期間は父が出生を知らない間は進行しない。

  (本段は、200569日憲法裁判所判決で違憲とされている。)

前段に示される期間が経過する前に父が死亡するときは、取消(訴)権は当該期間が満了する間各相続人に属する。

父が出生を知らないで死亡した場合は、その1年は相続人がそれを知ってから数えられる。

137

父性は、親子関係の登録から1年以内に子によって取消しされ得る。子が未成年者または無能力者のときは、その期間は、成人に達したときから、または、能力者になったときから数える。

  取消(訴)権の行使は、同じく、未成年者または無能力者である子の利益に、親子関係の登録から1年以内に、親権を持つ母または検察庁に属する。

  家族関係において婚姻内親子関係の身分占有がない場合、訴えはいつでも子またはその卑属が提起できる。

138

法律に従って婚姻内親子関係を決定する認知は、第141条の規定に従って同意の瑕疵により取消しできる。他の事由による父性の取消は本款に含まれる規定に留意する。

139

母は、分娩の見せかけ(suposición)または子の同一性が確かでないことを証明してその母性の取消(訴)権を行使できる。

140

家族関係において身分占有がないときは、婚姻外の父性または母性の親子関係は、それで損害を受ける者によって取消すことができる。

  身分占有があるときは、取消(訴)権は、子または親であると見える者およびその親子関係によって必然相続人(*注:遺留分を有する相続人)(herederos forzosos)としての資格が影響を受ける者に属する。取消(訴)権は、親子関係が登録されると、子が対応する身分占有を享受して4年経過すると、失効する。

  子は、全ての場合、能力者になった後1年間は取消(訴)権を保持する。

141

錯誤、強迫または脅迫を介してなされた認知の取消(訴)権は、それをなした者に属する。その取消(訴)権は、認知のときからまたは同意の瑕疵が止んだときから1年で失効し、また、1年経過前に死亡したときは、その相続人によって行使もしくは継続できる。