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(スペイン民法)                 元司法書士 古閑次郎

(平成27年3月見直し修正)

2編 第2章 所有権

(第1節:所有権一般)

348

所有権は、法律が設定したもの以上の制限なく、ある財物を使用・収益および処分する権利である。

所有権者は、財物を回復するため、その所持者及び占有者に対して請求権を有する。

349

何人も、事前の相当の補償を条件として、管轄当局(autoridad)により、かつ、公共利用の正当事由によらなければ、その所有権を剥奪されることはない。

この要件が先行しない場合は、裁判官は、被収用者を保護し、場合によっては、被収用者に占有を回復させる。

350

ある土地の所有者は、その地上面およびその下の部分の所有者であり、地役権を除いて、鉱山と水に関する法律および警察規則の規定に従って、そこに適当と考える工事、植栽、発掘をなすことができる。

351

埋蔵物は、それがある土地の所有者に帰属する。

しかしながら、他人または国の所有地から偶然に発見されたときは、半分が発見者に帰属する。

発見された物が科学または芸術に関係がある場合は、国はその正当な価額でそれらを取得できる。価額は上記に従って分配される。

352

法律上の効果について、適法に帰属が証されていない、隠れて忘れられた預金、宝石または貴重品は、埋蔵物とみなす。

2附合権(derecho de accesión)

353

財物の所有権は、その財物が産するもの全て、または、自然にまたは人工的にその財物に結合もしくは合体するもの全てへの権利を附合により与える。

(第1款:財物の産物に関する附合権)

354

(次の物は)所有者に帰属する:

①自然果実。

②生産果実(frutos industriales)

③法定果実。

355

土地の自然発生的生産物、動物の子および動物のその他の生産物は自然果実である。

耕作または労働の世話を受けて全ての種類の不動産が産出するものは生産果実である。

建物の賃料、土地の賃貸料および永久的金利所得(rentas)、終身的金利所得または他の類似物の額は法定果実である。

356

果実を取得する者は、その生産、収集および保管のため第三者がなした支出を支弁する義務を負う。

357

出現するか生まれていないと自然果実または生産果実とはみなされない。

動物については、生まれていなくとも、母の胎内にあるだけで足りる。

(第2款:不動産についての附合権)

358

他人の不動産に建てられたもの、植栽されたもの、または、種子がまかれたもの、および不動産になされた改善(mejoras)または修繕は、次条以下の規定に従ってその不動産の所有者に帰属する。

359

全ての工作、種まきおよび植栽は、別段の証明がないと、その所有者がその費用でなしたものと推定される。

360

土地の所有者が、その自己の土地に、他人の材料で持って、自己または他人により植栽、建築または工作をなした場合は、その(材料の)価値を支払う義務があり、更に悪意で工作したときは、損害賠償の責任を負う。材料の所有者は、(材料を)引離しても建設された工作物を壊すことがない場合、または、実施された植栽、建設または工作が破壊されない場合は、その材料を引離す権利を有する。

361

善意で建築、種まき、または植栽がなされた土地の所有者は、第453条および454条が規定する事前の補償によりその建築、種まき、または植栽を自己のものとする権利を得る。または、建築もしくは植栽した者に土地の価格を支払う義務を、および、種まきした者にその対応する地代(renta)の支払い義務を課す権利を得る。

362

悪意で他人の土地に建築、植栽または種まきする者は、補償を受ける権利なしに、建築物、植栽物または種まき物を失う。

363

悪意で建築、植栽または種まきされた土地の所有者は、建築、植栽または種まきした者の費用で原状に復するよう、工作物の撤去、植栽物および種まき物の引きぬきを請求することができる。

364

他人の土地に建築、植栽または種まきする者一方のみでなく、土地の所有者にも悪意があったときは、互いが取得する権利は、両者が善意で行った場合に取得するのと同一である。

土地所有者が抗議しないで、現認、知見および受忍してそれらの行為がなされるときは、所有者に悪意があったとみなされる。

365

材料、植物または種子が悪意で行動しなかった第三者に帰属している場合は、土地の所有者は、補助的に、かつ、それらを使用した者が支払うための財物を持たない場合のみ、それらの価値に責任を負わなければならない。

 この措置は、所有者が第363条で自己に認められる権利を行使する場合、適用されない。

366

水の流れにより土地が徐々に受ける(土地の)増加は河川の河畔に隣接するその土地の所有者に帰属する。

367

池または湖に隣接する土地の所有者は、水面の自然な減少により現われた土地を取得しない、また、水面が異常に増加して氾濫させた土地を失わない。

368

河川、小川(arroyo)または急流の流れが河畔の土地から土地の知れたる部分を分離し、それを他の土地に移すときは、分離された部分が帰属していた不動産の所有者はその所有権を保持する。

369

水の流れにより引離され、移送された樹木は、1ヶ月以内に前の所有者が請求しないときは、止まった土地の所有者に帰属する。請求するときは、樹木を引き取る、または、安全な場所に置くために掛かった費用を支払わなければならない。

370

水流の自然な変化により放置される(abandonado)こととなった川床は、川岸付近の土地の所有者に各々その長さに亘って帰属する。放置された川床が異なる所有者の土地を分離した場合は、新たな境界線は互いに等距離に引かれる。

371

スペインの海岸に隣接する海、航海・浮遊可能な川の中に形成される島は国に帰属する。

372

航海・浮遊可能な川の中で、流れが変わって、私有土地に新たな川床が開かれるときは、この川床は公共財産となる。その土地の所有者は、自然にまたは適法に承認された工事により川床が乾いた状態に戻ると、それを回復する。

373

川の中での上部運搬物(arrastres superiors)の継続的堆積により形成される島は、各島に最も近い川縁または岸の所有者に帰属する。島が川の中央に位置する場合は、長さ方向に半分ずつ分割して、両方の川縁の所有者に帰属する。このようにして形成された島がある川縁から遠い場合は、近い方の川縁の所有者が島全部の所有者となる。

374

川の流れが、ある土地またはその一部を分離させて、分かれるときは、その土地の所有者は所有権を保持する。同じく、流れにより土地からその一部が分離された場合も所有権を保持する。

(第3款:動産についての附合権)

375

異なる所有者に属する2つの動産が、悪意の介入なしに、一つの動産を形成するように結合されるときは、前の所有者に弁償して、主物の所有者がその付属物を取得する。

376

合体した2つの物の間で、一方が装飾として、または、その利用のためもしくは完成のために付属させられたところの他方は主物とみなされる。

377

前条の規定で、合体した2つの物のどれが主物か決定することができない場合は、高価な物を主物とみなし、価格が同じだと、嵩が大きい方を主物とみなす。

378

結合された物が毀損することなしに分離できるときは、それぞれの所有者は分離を請求できる。

しかしながら、他方の利用、装飾または完成のために結合された物が主物より高価であるときは、その高価物の所有者は、合体された他方がいくらかの毀損を蒙っても、分離を請求できる。

379

付属物の所有者が悪意でその合体をなしたときは、合体された物を失い、主物の所有者に損害があれば賠償する責を負う。

悪意で行った者が主物の所有者の場合は、付属物の所有者は、主物の所有者にその価額を支払わせるか、または、主物が破壊されても自己の所有物を分離させるか選択する権利を有する。両方の場合、更に、損害賠償が発生する。

所有者のどちらかが、他方の現認、知見および受忍で、合体をなした場合は、善意で工作した場合の規定に従って各々の権利を決定する。

380

その同意なしに使用された材料の所有者が補償を受ける権利を持つときは、鑑定評価に従って使用された物と種類・価格が同一の物を引渡して補償するか、またはその価額で補償するか請求することができる。

381

(複数)所有者の意思で同種もしくは異種の2つの物を混ぜ合わせる場合、または、混合が偶然なされる場合、また、後者の場合で毀損なしに分離できない場合、各所有者は、混合または混同された両物の価格に従って自己に対応する部分に比例した権利を取得する。

382

一方のみの意思で、しかし、善意で、同種または異種の2つの物を混ぜ合わせる場合、各所有者の権利は前条に従って決定される。

混合または混同をなした者が悪意であった場合は、その者は、混合された他方の物の所有者に発生した損害の賠償義務を負う他に、混合または混同された自己の所有物を失う。

383

新たな種類の工作物を形成するために他人の材料を全部または一部善意で使用した者は、その工作物を、材料の所有者の材料の価格を弁償して、自己の物にする。

材料がそれが使用された工作物より貴重か、または、高価である場合は、その所有者は、その選択で、工作物の価格を弁償してその新たな物を自己のものにするか、または、材料の補償を請求できる。

新たな物の形成中に悪意が介入すると、材料の所有者はその実行者に何も支払うこと無く工作物を自己の物とする権利、または、材料の価格と損害が発生するとその損害の弁償を実行者に請求する権利を持つ。

(第3節:境界の確定と境界設定)

384

所有者の全ては、隣接土地の所有者を(裁判に)呼出して自己の所有地の境界を定める権利を有する。

この同じ権能は物権を有する者にも属する。

385

境界確定は、各所有者の権原証書(títulos)に従ってなされる。充分な権原証書がない場合は、隣接地の占有関係の結果によりなされる。

386

権原証書が各所有者に属する境界または面積を決定しない場合、また、その問題が占有関係または他の証拠方法でも解決されない場合は、境界確定は紛争土地を等分に分配してなされる。

387

隣接土地の権原証書がその土地の全部を包含する面積より多いかまたは少ない面積を表示する場合は、その増分または減分は比例して分配される。

(第4節:農地を囲む権利)

388

全ての所有者は、壁、溝、生垣、垣根またはその他の方式で、自己の土地を、その土地上に設定された地役権を損なうことなく、囲むことができる。

(第5節:壊れかけの建物および倒壊の危険がある樹木)

389

建物、壁、柱または他の建築物が壊れる危険がある場合、所有者は、その撤去の責任、または、その倒壊を避けるために必要な工事を実施する責任を負う。

壊れかけた工作物の所有者がそれを実行しない場合は、当局は所有者の費用で撤去することができる。

390

朽ちている樹木が、他人の不動産または公共または私的道路を通行する者に害を与えるように倒壊する危険がある場合、樹木の所有者はそれを引抜いて撤去する責任を負う。実行しない場合は、その者の費用で当局の命令によりなされる。

391

前二条の場合、建物または樹木が倒壊すると、第1907条と1908条の規定が適用される。