上位ページへ戻る。

(スペイン民法)                 元司法書士 古閑次郎

(平成27年3月見直し修正)

2編 第6章:用益権、使用権、居住権

(第1節:用益権)

(第1款:用益権一般)

467

用益権(*注:使用収益権)は、他人の財物を享有する権利を、その形体と本質を保存する義務を負わせて、与える。ただし、それを設定する権原または法律が他のことを認めるときは、その限りではない。

468

用益権は、法律により、生前行為中にまたは最終の意思中に表示された個人の意思により、および、時効により、設定される。

469

用益権は、物の果実の全部または一部に、一人または復数人のために、同時または順次に、および、全ての場合、ある特定の日からまたはその日まで、単純にまたは条件付きで、設定することができる。さらに、一身専属または移転できない権利ではない場合は、その権利の上に設定することができる。

470

用益権者の権利・義務は、用益権の設定権原が決める。その権原がない場合、または、不十分な場合は、次の2款の規定に従う

(第2款:用益権者の権利)

471

用益権者は、使用・収益される物の天然果実、生産果実(frutos industriales)および法定果実を全て収取する権利を有する。土地の内にある埋蔵物は別物(extraño)とみなされる。

472

用益権が生じるときに未収取である天然果実または生産果実は用益権者に帰属する。

用益権が消滅するときに未収取の物は所有者に帰属する。

2段の場合、用益権者は、用益権開始のとき、(所有者が)費やし費用を所有者に支払う義務はない。しかし、所有者は、用益権終了時に、未収取果実の収益でもって、用益権者が費やした耕作、種および同種の物の通常費用を支払う義務がある。

本条の規定は、用益権開始または終了時に取得された第三者の権利を害しない

473

用益権者が用益権の課された土地を賃貸して、用益権がその賃貸借終了前に消滅する場合は、その者またはその相続人および承継人は賃借人が支払うべき地代(renta)の比例部分を収取する。

474

法定果実は日毎に収取されるものとみなされ、用益権が存続している期間に比例して用益権者に帰属する。

475

金銭または果実もしくは無記名社債あるいは証券(títulos)の利息から成る年金または定期金を収取する権利の上に用益権が設定される場合は、各期間の満了はその権利の生産物(productos)または果実とみなされる(?)。

用益権が分配に一定の満期がない工業または商業開発への参加がもたらす利益の享受から成る場合は、それらの利益は前段と同様にみなされる。

2者の場合、法定果実として分配され、前条が規定する方式が適用される。

476

発見届出された(denunciado)または開発譲許(concedido)された鉱山の生産物で用益権開始の時に採鉱状態にある生産物は、用益権の設定権原に明示的に認められていないとき、または、包括的でないときは、鉱山がある土地の用益権者に帰属しない。

しかしながら、用益権者は、そうする義務があるもしくは必要な修理または作業のために、石切り場の石、石灰および石膏を採鉱することができる。

477

前条の規定に係わらず、法定用益権においては、用益権者は、発見届出がされた、譲許された、または、採鉱状態にあるその土地に存する鉱山を、費用を控除した後に残る利益の半分を自己のものとし、所有者に半分弁済して、開発できる。

478

用益権者の地位(calidad)は、鉱山法が定める方式と要件で用益権が設定された土地に存する鉱山の発見届出をするためおよび開発譲許を得るために鉱山法が全ての者に与える権利を(用益権者の)地位を有する者から奪わない

479

用益権者は、用益権設定物が附合により受ける増加、用益権者がその利益のために持つ地役権、および、一般的に用益権設定物に固有な利益全部を享有する権利を有する。

480

用益権者は、用益権設定物を自身で利用でき、他人に賃貸でき、および、その用益権を無償で譲渡できる。しかし、用益権者が締結する契約は、農業年の間は存続するとみなされる農地の賃貸借を除いて、用益権の終了で解除される。

481

用益権が消費されることなく使用により徐々に劣化する物を含んでいる場合、用益権者は、その物の目的に従ってそれを使用し、利用する権利を有する。また、用益権終了時には、そのままの状態に置く責任はあるが、それを回復する責任はない。しかし、所有者に自己の故意または過失で与えた劣化を賠償する責任がある。

482

用益権が消費なしには使用できない物を含んでいる場合は、用益権者は、その消費物(の価額)が見積もられたときは、用益権終了のときにその見積り額を支払う義務を負って、それを利用する権利を有する。見積りがなされなかったときは、同じ量と質でそれを返還する権利、または、用益権終了のときにその市場価格を支払う権利を有する。

483

ぶどう園、オリーブ畑またはその他の樹木もしくは潅木の用益権者は、その枯れた幹を、また、偶然にへし折られ、または、引抜かれたものを、他のもので置換える義務を負って、利用することができる。

484

災害または異常事態の結果、ぶどう園、オリーブ園およびその他の樹木または潅木が、再植栽が不可能なほど、または、それに多額の費用がかかるほど多く消失した場合は、用益権者は、枯れた幹、倒れた幹またはへし折られた幹を所有者の処分にまかせて、所有者にそれらを取り除いて土地を支障なきようにするよう請求できる。

485

山の用益権者は、その山がその性質に従って生産できるもの全てを享受する。

山が伐採用か建築資材用の場合、用益権者は、所有者が通常なす伐採をそこですることができる。それがない場合は、様式、数量および時期おいて、その土地の慣習に従って伐採する。

全ての場合、土地の保全を害しない様式で伐採する。

樹木の栽培地において用益権者は必要な間伐を、残余のものが適宜に育つことができるように、なすことができる。

  前各号の規定以外で、用益権者は、用益権設定物の置換えまたは改良をするのでなければ、幹の部分で樹木を切ることはできない。切る場合は、事前に所有者にその必要性を教示する必要がある。

486

ある土地、物権またはある動産(の回復)を請求する訴権の用益権者は、それを実行する権利、および、このために訴権の所有者にその代理権を用益権者に付与し、また、(所有者が)利用できる証拠方法を用益権者に提供する義務を(所有者に)科す権利を有する。訴権の行使の結果請求物が(回復)取得されると、所有権は所有者に帰属して、用益権は果実のみに制限される。

487

用益権者は用益権の目的物に、その形状または実質を変えないで、有益な改良または適当と思われる娯楽的(recreo)な改良を施すことができる。しかし、それに対する補償の権利は有しない。しかしながら、その改良(部分)の引き離しが目的物の毀損なしにできると、引き離すことができる。

488

用益権者は財物の不完全さをそれになした改良で補完することができる。

489

他人が用益権を有する財物の所有者は、それを譲渡することができる。しかし、その形状または実質を変えること、または、用益権者を害することをその財物になすことはできない。

490

ある共有物の持分の用益権者は、管理および果実または利息の収取に関してその持分の所有者に対応する権利全てを行使する。共有物を分割して共有関係が止むと、所有者または共有者が取得する部分の用益権が用益権者に帰属する。

(第3款:用益権者の義務)

491

用益権者は、財物の享受に入る前に、次の義務を負う:

①所有者またはその適法な代理人を呼出し、動産を評価させて、また、不動産の状況を記述して、全ての物の財産目録を作成すること。

②本款の規定に従って用益権者に対応する責任の履行を約して、保証を提供すること。

492

前条②の規定は、売却物または贈与物の用益権を留保した売主もしくは贈与者に適用せず、また、父母(padres)が再婚(ulterior matrimonio)しなかった場合、子の財物の用益権者である父母に適用せず、さらに、配偶者が再婚しなかった場合、用益権の法定持分について生存配偶者には適用しない。

493

用益権者は、使用収益の権原がなんであっても、誰にも害とならないときは、財産目録の作成または保証提供義務を免かれることができる。

494

保証を提供すべき場合に用益権者が保証を提供しないと、所有者は、不動産を管理下に置くこと、動産を売却すること、公債(efectos públicos)、記名債権証書または無記名債券証書をinscripcionesに転換させ、または、銀行もしくは公共施設に保管させること、および、金銭資本(capitales)またはsumasおよび動産の譲渡価格を有価証券に投資することを請求できる。

動産の価額の利息、公債および有価証券の利息並びに管理に供された物の生産物は用益権者に帰属する。

また、所有者は、そう望むときは、用益権者が保証を提供しない間、または、保証を免除されている間は、管理者の地位を持って、(用益物からの)正味収益をその管理により協定されるかまたは裁判で宣告される合計額を控除して用益権者に引渡す責任を負って、用益物をその支配下に置くことができる。

495

保証を提供しなかった用益権者が、宣誓保証(caución juratoria)の下で、その利用のために必要な動産の引渡しを求める場合、また、使用収益の中に含まれる家屋において自身およびその家族のために部屋の割当を求める場合は、裁判官は、状況を考慮して、この請求を認諾することができる。

同様のことが、用益権者が従事する事業に必要な道具、工具その他の動産について適用される。

所有者が、ある動産を、その芸術性によりまたは愛着(afección)していることにより、売却することを望まない場合は、評価価格の法定利息の支払いを保証して自己に引渡すことを請求できる。

496

用益権者が保証を提供すると、用益権の設定権原に従って収取開始すべき日から全ての収益に対し権利を得る。

497

用益権者は、善良な家父として用益権設定物に注意を払わなければならない。

498

自己の用益権を譲渡または賃貸する用益権者は、用益権者に代わる者の過失または怠慢によって用益権設定物が被った毀損の責任を負う。

499

用益権が家畜の一団または一群の上に設定されている場合、用益権者は、毎年普通に死亡または害獣に食べられて減った家畜を幼獣と置き換える義務を負う。

用益権者の過失によらず、伝染病または通常でない事件により用益権が設定されている家畜がすべて死亡した場合は、用益権者は、その悲劇からまぬかれた残骸の引渡しでもって履行する。

家畜の一団の一部が事故で用益権者の過失なく死亡する場合は、用益権は残った部分に存続する。

用益権が不妊の家畜の場合、その効果については、あたかも消費物の上に設定されているものとみなされる。

500

用益権者は、用益物に必要な通常の修繕をなす責任を負う。

物の通常使用から生じる劣化または毀損に必要な修繕は通常の修繕とみなされる。所有者が要求してもその修繕を行わない場合は、所有者は自身で用益権者の費用で修繕することができる。

501

特別な修繕は所有者の負担である。用益権者は、その修繕の必要性が緊急のときは、所有者に通知する責任を負う。

502

所有者が特別の修繕をなす場合は、用益権が継続する間は修繕に投資した額の法定利息を用益権者に請求する権利を有する。

修繕が物の保全に不可欠なときでそれを所有者がなさない場合は、用益権者はそれをなすことができる。しかし、用益権が終了するときに、その工事の結果不動産が獲得した価値の増加を所有者に請求する権利を取得する。

所有者がその額の支払いを否定する場合、用益権者は、その物を留保する権利を、その物からの生産物で充足されるまで、取得する。

503

所有者は、用益権設定不動産になす余地がある工事および改良を、または、不動産が農地の場合そこでの新たな植栽を、それらの行為で用益権の価値が減少せず、かつ、用益権者の権利を害しないと言う条件で、なすことができる。

504

毎年の公租公課の支払い、および、収益の税金(gravámenes)とみなされる公租公課の支払いは、用益権が継続する間は、用益権者の負担である。

505

用益権の期間中に資産(capital)に直接課される税金は、所有者の負担である。

所有者がそれらの税金を弁済すると、用益権者は、当該目的で支払った総額に対応する利息を所有者に償還しなければならない。また、用益権者が税金を前払いする場合は、用益権終了時にその額を受領しなければならない。

506

用益権がある家産(patrimonio)の総体に設定される場合で、設定時に所有者が借金があるときは、用益権の存続について、また、その借金を弁済する用益権者の義務については、贈与に関する第642条と643条の規定が適用される。

同じ措置は、知れたる資産(capital)がなくとも、用益権設定時に所有者が定期的給付の支払の責任を負った場合に適用する。

507

用益権者は、その者に対応する保証を提供したか、または、提供すると、用益権の一部を構成する満期が来た債権を自身で請求することができる。保証の提供を免除されている、保証を設定できていない、または、保証設定が充分でない場合は、その債権を取立てるには、所有者の承認、または、それがない場合は、裁判官の承認が必要である。

保証した用益権者は、その資産(capital)に適当と考える目的を実現させることができる。保証していない用益権者は、所有者との協定でその資産に利息を付けなければならない。両者に協定がない場合は裁判所の承認をもってしなければならない。全ての場合、用益される資産の完全性を保つために充分な保障をもってしなければならない。

508

包括的用益権者は終身定期金または扶養料年金の遺贈を全て支払わなければならない。

相続財産の持分の用益権者はその割合に比例して支払わなければならない。

前2者の場合、所有者は償還の責任を負わない。

ある特定の1以上の物の用益権者は、定期金または年金が確定的にそれらの物の上に設定されているときは、遺贈を支払うのみである。

509

抵当権設定不動産の用益権者は、抵当権で担保されている借金を弁済する責任はない。

借金の弁済のためにその不動産が差押さえられたり、裁判上で売却されると、所有者は用益権者にそのために失ったものについて責任を負う。

510

用益権設定が遺産の全部または割合的部分である場合は、用益権者は、相続負債の支払のためにその用益権設定物に対応する額を前払いすることができる。そして、用益権消滅の時、利息なしでその償還を所有者に請求する権利を得る。

用益権者がその前払いを拒んだら、所有者はその借金を支払うため用益権設定物の一部の売却を請求できる。または、自己の金銭で借金を弁済できる、この場合、対応する利息を用益権者に請求する権利を得る。

511

用益権者は、所有権(の諸権利)を損なう恐れがある第三者の行為を知ると、所有者に知らせる義務を負う。また、それをしない場合は、自己の過失で起こったものとして、損害を賠償する責任を負う。

512

用益権上に提起された訴訟の支出、費用および(給付を命ずる)判決は用益権者の負担とする。

(第4款:用益権消滅の様式)

513

用益権は次により消滅する:

①用益権者の死亡。

②設定期間の有効期限の到達または設定権原で規定された解除条件の成就。

③用益権と所有権の同一人への混同。

④用益権者の放棄。

⑤用益権の目的物の完全な滅失。

⑥設定者の権利の解除。

⑦消滅時効。

514

用益権設定物が一部滅失した場合は、その権利は残存物について存続する。

515

用益権は、町村(puebro)、会社または組合のために30年以上の期間で設定することはできない。設定された場合、その期間の前に町村に住民がいなくなり、会社または組合が解散すると、用益権はその事実で消滅する。

516

ある第三者がある確定年齢に達する期間で設定されている用益権は、その第三者がその前に死亡しても設定された年数存続する。但し、その用益権がその者の存在に注目して明示的に設定されている場合は除かれる。

517

ある建物がその一部を形成している不動産(*注:土地+建物)(finca)の上に用益権が設定されていて、その建物が事由の如何にかかわらず滅失する場合は、用益権者はその土地と材料を享受する権利を得る。

用益権が建物の上のみに設定されていて、建物が滅失する場合も同じ事が起こる。しかし、その場合、(建物)所有者が他の建物を建てたい場合、所有者は、用益権が存続する期間の土地および材料の価値に対応する総額の利息を用益権者に支払う義務を負って、土地を占有し、材料を使用する権利を得る。

518

用益権者が所有者と共に用益権が設定されたある不動産の保険に参加する場合は、用益権者は、災害の場合に新しい建物が建てられたら、それの使用を継続する。または、建物建設が所有者に不都合だと、保険金の利息を収取する。

所有者が不動産の保険に寄与することを拒み、用益権者のみが自身で設定した場合、用益権者は、災害の場合保険金を全て受取る権利を得る。但し、不動産の再建築に投資する義務を負う。

用益権者が不動産の保険に寄与することを拒み、所有者のみが自身で設定した場合は、所有者は、前条で用益権者に与えられた権利を除いて、災害の場合保険金を全て受取る権利を得る。

519

用益権設定物が公用収用される場合、所有者は、同様な条件と同じ価値の物で代替するか、または、用益権が存続すべき全期間において(収用)保障額の法定利息を用益権者に償還するかの義務を負う。所有者が後者を選ぶと、定期金支払を保証しなければならない。

520

用益権は用益権設定物の不良使用では消滅しない。しかし、その濫用が所有者に大きな害をもたらす場合は、所有者はその物の引渡しを請求できる。しかし、用益権者にその物からの正味収益(producto líquido)を、費用とその管理に当てられる割増金(premio)を控除して、毎年支払う義務を負う。

521

設定時に生存している複数人のために設定された用益権は、最後の者の死亡までは消滅しない。

522

用益権が終了すると、(有益費など)回復されるべきものの支出により用益権者またはその相続人に属する留置権を除いて、用益権設定物は所有者に引渡される。引渡しが確認されると、保証または抵当は解消される。

(第2節:使用権と居住権)

523

使用権者および居住権者の権限と義務はこれらの権利を形成する権原によって規律される。その権原がない場合は、以下の規定により規律される。

524

使用権は、他人の物の果実のうち使用権者およびその家族の必要を満たす部分を、たとえ家族が増えたとしても、収取する権利を与える。

居住権は、その権利者に他人の建物のうち自身およびその家族の構成員に必要な部分を専有する権能を与える。

525

使用権と居住権は、いかなる権原によっても他人に賃貸および移転できない。

526

家畜の一団または一群の使用権を得た者は、自身および家族の消費のために足るだけ、その幼獣、乳および毛を利用できる。同様に、耕作する土地の肥料のため必要な糞を利用できる。

527

使用権者が、他人の物の果実全部を消費する場合、または、居住権者が家の全部を占有する場合は、用益権者と同じく、耕作の費用、保全の通常修繕および税金の支払の義務を負う。

果実の一部を収取する場合または家の一部を占有する場合は、それらの費用および負担をカバーするために充分なほどに果実または利用の一部が所有者に残っていると、何の寄与もする必要はない。充分でない場合は、足らない分を補填する。

528

用益権について設定された規定は、使用権と居住権に、本節の規定に反しない限り、準用される。

529

使用権および居住権は、用益権と同じ事由により、さらに、物と住居の重大な濫用により消滅する。