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(スペイン民法)                 元司法書士 古閑次郎

(平成27年3月見直し修正)

3編 第3章 相続

(第2節:相続)

(第1款:遺言による、または、遺言なしの相続能力)

744

法律で(相続)無能力者とされていない者は、遺言または無遺言相続手続により、相続できる。

745

(相続)無能力者は:

① 第30条に規定する条件を満たさないと考えられる、死産児。

② 法律で許可されていない団体(asociaciones)または会社。

746

教会と僧侶会(cabildos eclesiásticos)、地方議員団(Diputaciones provincials)と県、市役所と市、救済施設、福祉施設および公民教育施設、法律で認証または認知された団体ならびにその他の法人は、第38条の規定に従って、遺言により取得できる。

747

遺言者が、援助・慈善事業に対して自己の魂のために自己の財物の全部あるいは一部を、不特定かつその用途を特定しないで、処分する場合は、遺言執行人はその財物を売却し、その額を、半分は指定された援助および教会の所用と必要に向けられるように司教に提供し、そして、残りの半分を死亡者の住所地の福利施設に配分する、それがない場合は県の福利施設に、対応する県知事に提供して、配分する。

748

ある公共施設のためになされた条件付きまたは負担付の(相続人)指定は、政府が承認する場合のみ、有効である。

749条 

人あるいは市町村の指定がなく貧者一般のためになされた処分は、明示的にその意思は別であると証されない場合は、死亡の時の遺言者の住所地の貧者に限定されているものとみなす。

 貧者資格の決定と財物の分配は、遺言者が指定する者がそれをなし、その者がいないときは、遺言執行人がなし、それらがないときは、主任司祭(Párroco)、市長と市の裁判官がなし、疑義があると、これらが多数決で決する。

 これと同じ措置が、遺言者が自己の財物をある教区または特定の市町村のために(遺言)処分したときになされる。

750

 不明な者に対する処分は全て、ある事柄(evento)により明らかにできないと、無効である。

751

遺言者の親戚のために総称的(genéricamente)になされた処分は、親等の最も近い者になされたものとみなされる。

752

遺言者が瀕死の病状であるとき、そこで告白を受けた牧師、その牧師の4親等内の親族、または、その教会、僧会、共同体あるいは施設のために遺言者がなす遺言上の処分は効果を生じない。

753

同じく、遺言者の後見人または保佐人のための遺言上の処分は、(後見等)計算が確定的に承認された後になされた場合を除き、または、後見あるいは保佐の消滅後に計算を提供する必要がなかった場合を除いて、効果を生じない。

 しかしながら、遺言者の尊属、卑属、兄弟姉妹または配偶者である後見人あるいは保佐人のためになされた処分は有効である。

754

遺言者は、第682条で規定されている例外を除いて、その遺言書を認証する公証人または公証人の配偶者、4親等以内の親族もしくは姻族のためにその相続財産の全部または一部を処分することはできない。

これは、公証人有りまたは無しの場合での口頭遺言の証人にも適用される。

本条の規定は、特別方式の遺言作成するときの証人と(立会い)人にも適用される。

755

相続無能力者のための遺言上の処分は、有償契約の形式に仮装していても、または、中間者の名でなされても、無効である。

756

相続欠格(indignidad)事由による相続無能力者は次の者である:

① 自己の子供を遺棄した、売春させた、または、堕落させた父母。

② 遺言者、その配偶者、卑属または尊属の生命を侵害したとして有罪の判決を宣告された者。

もし、加害者が必然相続人(*注:遺留分のある相続人)の場合、遺留分の権利を失う。

③ 法律が懲役または禁錮以上の罰と規定している犯罪を犯したと遺言者を告訴した者で、その告訴が誣告とされた者。

④ 遺言者の変死を知っている成人の相続人で、1ヶ月以内に司法機関に、それが職権で手続していないとき、告発しない者。

法律で、告発義務がない場合は除く。

⑤ 遺言者に強迫、詐欺または暴力で遺言させ、または、それを変更させた者。

⑥ 同じ方式により他の遺言をすること、もしくは、作成した遺言を撤回することを妨げた者、または、後の遺言を改ざん、隠匿もしくは変更した者。

⑦ 障害者を相続する場合、第142条と第146条の規定を理解して、適切な保護をなさなかった相続に権利を持つ者。

757

欠格の事由は、遺言者が遺言をなすときそれらの事由を知っていたか、その後に知って、公署証書(documento público)でそれらを免除したときは、効力を失う。

758条 

相続人または受遺者の(相続)能力の評価に対しては、相続が問題となっている者の死亡時に着目する。

 第756条の②と③の場合は、確定判決が言い渡されるまで待ち、④の場合は告発に指定された1月が経過するまで待つ。

 (相続人の)指定または遺贈が条件付きの場合は、更にその条件の成就時に着目する。

759

条件成就前に死亡した相続人または受遺者は、たとえ遺言者より長生きしても、その相続人に権利を移転しない。

760

相続無能力者は、前数条の禁止に反して相続財産を占有するにいたった場合は、その附合物およびその者が収受した全ての果実と利益と共にその財産を返還する責任を負う。

761

無能力により相続から除かれた者が遺言者の子または卑属であり、また、(自己の)子または卑属を持っている場合、これらの者は遺留分の権利を取得する。

762

 相続無能力者が相続財産または遺贈物を占有してから5年経過すると、無能力を宣言するための訴えは提起できない。

(第2款:相続人の指定)

763

必然相続人(*注:遺留分を持つ相続人)(herederos forzosos))がいない者は、遺言によりその財物の全部または一部を、これらを取得する能力を有する者の利益に、処分できる。

  必然相続人がある者は、本節の第5款で規定する方式および限度でその財物を処分できる。

764

遺言は、たとえ相続人の指定を含んでいなくとも、または、財物全部を包含していなくとも、また、たとえ指定された者が相続を受諾しなくとも、または、相続欠格であっても、有効である。

これらの場合、法令に従がってなされた遺言処分は履行され、財産の残余は法定相続人(herederos legítimos)のものとなる。

765

相続分の指定がない(遺言)指定相続人(herederos instituidos)は均等に相続する。

766

遺言者の死亡前に死亡した遺言相続人(heredero voluntario)、相続欠格者および相続放棄者は、第761条と第857条での規定を除いて、それら(自身)の相続人にいかなる権利も移転しない。

767

相続人指定または受遺者の指名の虚偽表示は、遺言書から遺言者がそのような指定または遺贈を、事由の虚偽さを知っていたなら、しなかったと結論づけされない場合は、書かれていないものとみなされる。

 法律に反する事由の表示は、真実であっても、書かれなかったものとみなされる。

768

ある特定物の(遺言)指定相続人(heredero instituido)は受遺者とみなされる。

769

遺言者が、複数の相続人を、“NN、およびNの子たちを吾が相続人に指名する”と言うように個々にあるいは集団的に指名するときは、集団的に指名された者たちは、遺言者の意思が別であると明らかに証されないと、個々に指名されたものとみなす。 

770

 遺言者がその全血と半血の兄弟姉妹を指定した場合は、無遺言で死亡する場合のように相続財産は分割される。

771

遺言者が、ある者およびその者の子たちを相続人に指定するときは、これら者全ては、次々ではなくて、同時に指定されたものとみなす。

772

 遺言者は相続人をその名と姓で指定する、同姓同名の者が2人いるときは、遺言者は、被指定者を判別するために相当な状況を表示しなければならない。

 遺言者が相続人の名を遺漏したときでも、誰が指定されたのか疑いない程度に指定している場合は、その指定は有効である。

 養親の遺言書では、子または子たちという一般的表現は養子も含む。

773

相続人の名、姓または資格の誤りは、指定された者が誰かが別の方法で明白に知ることができるときは、指定の瑕疵ではない。

 同姓同名の者たちの間で、状況が同じで、かつ、それらの状況では被指定者を判別することができない場合は、誰も相続人ではない。

代替相続(sustitución)

774

遺言者は、指定相続人を、これらの者が遺言者より前に死亡する場合、または、相続を承認しない、あるいは、承認できない場合に対処して、1人または2人以上の者で代替させることができる。

 (上記の)場合の表示がない単純代替は、遺言者が別段の処分をしていない場合は、前段の3例示を含む。

775

 父母およびその他の尊属は、(男女の)14歳未満であるそれらの卑属に代替相続人(sustitutos)を、卑属がその年齢の前に死亡する場合に対処して、指名できる。

776

尊属は、統合失調症で無能力者であると法律上宣言された14歳以上の卑属に代替相続人を指名できる。

 前段の代替相続は、無能力者が正気の間に、または、理性を回復した後になされた無能力者の遺言により効力を失う。

777

2条の代替は、被代替者が(遺留分を持つ)法定相続人を有しているときは、これらの者の権利を害しない範囲でのみ効力を有する。

778

2人以上の者が1人を代替することができ、反対に、1人が2人以上の相続人を代替することができる。

779

異なる持分で指定された相続人が相互に代替される場合は、遺言者の意思が別であったと明らかにされないと、指定におけると同じ持ち分を代替において獲得する。

780

 代替相続人は、遺言者が明示的に別段の処分をなしておらず、または、負担あるいは条件が(相続)被指定者の一身専属ではないときは、被指定者に課されたと同じ負担と条件に従がう。

781

相続人に相続財産の全部または一部を保全して第三者に移転させる責任を課している信託遺贈(sustituciones fideicomisarias)は有効であり、また、(信託遺贈が)2親等を超えない場合、または、遺言者死亡のときに生存している者のためになされる場合、信託遺贈は効力を有する。

*注:信託遺贈とは、遺言者が相続人または受遺者に、遺産または遺贈を保全する義務を課し、その者の死亡時に遺言者が指定した他の者にそれらを移転させる義務を課すものである。)

782

 信託遺贈は遺留分に負担をかけることは決してできない。但し、第808条に規定された条件において、裁判上無能力である子または卑属の利益のため厳格遺留分(legítima estricta)に負担を課す場合は除かれる。割増遺留分(mejora)に割当られた(遺産の)1/3上に信託遺贈が課される場合は、卑属のためにのみ信託遺贈をなすことができる。

783

信託遺贈への指定(llamamiento)が有効になるためには、それは明示されていなければならない。

 受託者は、相続財産を、遺言者が別の定めをしていた場合の他は、適法な費用および(相続財産に対する)債権および有益分(mejoras)に対応する控除分を除いて、受益者へ引渡す義務を負う。

784

信託の受益者は、受託者より前に死亡しても、遺言者の死亡のときから相続の権利を取得する。その権利は(受益者の)相続人に移る。

785

(次のものは)効果を生じない:

① 明示的になされていない信託遺贈で、この名を冠し、また、被代替者(substituido)に第2順位の或る相続人に財物を引渡す決定的債務を課するもの。

② 永久譲渡禁止を含む処分(disposicion)、および一時的禁止であっても第781条に示される制限を越えた処分。

2親等を超えて幾人かの者に順次に定期金あるいは年金を支払う義務を相続人に課する処分。

④ 相続財産の全部または一部をある者に残す目的を持つ処分で、遺言者がその者に通知した留保指示に従ってその者がその財産を使用または投資するためになす処分。

786

信託遺贈の無効は、相続人指定の有効性および最初の(相続)召集(llamamiento)の相続人を害しない。単に、信託条項が記載されていないものとみなされる。

787

 遺言者がある者に相続財産の全部あるいは一部を与え、他の者に(それらの財物の)用益権を与える処分は有効である。用益権に幾人かの者が同時ではなく順次に(相続)召集される場合は、第781条の規定に従がう。

788

定期的にある程度の額を、貧しい少女への贈り物、学生または貧困者あるいは福祉施設や公共施設のための定期金のように福利事業に投資する義務を相続人に課す処分は、次の条件下で、有効である:

 その負担が不動産上に課され、一時的である場合は、相続人は、その(負担の)登記が抹消されない間は負担が止むことはないものとして、その負担付不動産を処分することができる。

 その負担が永久であると、相続人はその負担を元本化する(capitalizar)ことができ、また、十分な一番抵当権を付して利息付き元本を(不動産に)課す(imponer)ことができる。

 元本化と元本の負担は、その地方の知事が介入し、検察庁の意見を聞いてなされる。

 全ての場合、遺言者がその福利処分の管理・適用の順番を設定していないときは、法律に従って対応する行政機関がそれをなす。

789

相続人についての本節の規定は、また、受遺者に適用する。

(第4款:相続人の指定、条件付きまたは期限付き遺贈)

790

 包括名義および特定名義での遺言処分は、条件を付けてすることができる。

791

相続人および受遺者に課された条件は、本款に規定されていないと、条件付き債権債務に関して設定されている規則により律せられる。

*注:第413節参照)

792

 不能条件および法律または善良な慣習に反する条件は、たとえ遺言者が他のことを規定していても、課されていないものとみなされ、相続人あるいは受遺者を害さない。

793

(最初の)婚姻しないまたは再婚しないと言う絶対条件(condición absoluta)は、それが死亡した配偶者またはその者の尊属もしくは卑属により寡夫または寡婦になされたものではないと、課されていないものとみなす。

 しかしながら、独身あるいは寡夫(寡婦)である間は、用益権、使用権もしくは居住権または年金もしくは債権的給付はどちらにも遺贈され得る。

794

相続人または受遺者がその(自身の)遺言で遺言者または他の者の利益のため或る(遺言)処分をするという条件の下でなされた(遺言)処分は無効である。

795

 相続人または受遺者に課された単純随意条件(condición puramente potestitiva)は、遺言者の死後に、それをそれらの者がいったん知ったら、それらの者により成就されなければならない。

 その条件が既に成就されて、繰り返すことができない場合は除かれる。

796

偶成または混成条件(condición causal o mixta)の場合は、遺言者が他の定めをしていないと、遺言者の生死に関わらず、いつでも実現あるいは成就すれば足りる。

 遺言をなすときに既に存し、あるいは、成就されており、かつ、遺言者がそれを知らない場合は、成就されているものとみなす。

 遺言者がそれを知っている場合は、(条件が)もう存することができず、あるいは、新に成就できないという性質のものであるときのみ成就したものとみなす。

*注:混成条件とは、一部は、当事者の一方の意思に依存し、さらに、その他の状況に依存するもの。)

797

(相続人)指定または遺贈の対象の表示、遺言者が残した物の運用(aplicación)義務、または、遺言者が課す負担は、条件がその者の意思であったと思えないときは、条件とはみなされない。

 このように残された(相続)財物は直ぐに(移転を)要求することができ、また、遺言者が指示したことの履行を保証し、また、この義務に背いた場合は果実と利息付で収受したものの返還を保証する相続人に移転できる。

798

遺言者が指示したものと同じ条件では、相続人もしくは受遺者の過失または自己の行為なしに、前条に関わる指定または遺贈が効果を有し得ないときは、遺言者の意思に最も近似する他の条件で成就されなければならない。

 成就、不成就に利害を有する者が、相続人もしくは受遺者の過失または自己の行為なしに、その成就を妨害するときは、条件は成就したものとみなす。

799

停止条件は、それが成就される前でも、相続人または受遺者がそれらの者のそれぞれの権利を取得し、また、それら自身の相続人に(権利を)移転することを妨げない。

*注:本条は、第759条と矛盾している。)

800

相続人もしくは受遺者に課された随意条件が消極的または不作為もしくは不給付である場合は、それらの者は、遺言者が禁じていることをしないこと、または、与えないことを保証し、また、違反した場合は、果実と利息を付して収受した物を返還することを保証することで成就させる。

801

相続人が停止条件の下で指定されている場合は、相続財産は、その条件が実現されるか、実現できないことが確かになるまで管理の下に置かれる。

 同様なことが、相続人または受遺者が前条の場合に保証を提供しないときに、なされる。

802

 前条が言及する管理は、無条件で指定された相続人に、これらの者と条件付き(指定)相続人の間に(相続分の)増加権(derecho de acrecer)があるときは、委託される。受遺者についても同様に解される。

803

条件付き相続人が共同相続人を有しない場合、または、有していてもそれら共同相続人との間に(相続分の)増加権がない場合は、その条件付き相続人は保証を提供して管理に加わる。

 (条件付き相続人が)保証を提供しないと、管理は、保証提供した推定相続人 (heredero presunto)に委託される。これらの者が互いに保証を提供しないと、裁判所は、同じく保証提供してその任を取る第三者を指名する。保証は相続人の介入(intervención)を得て提供される。

804

管理者は、失踪者の財産に関するのと同様な権利義務を持つ。

805

相続人または受遺者の指定の効果が開始する日もしくは止むべき日、または、それらの時期の指定は有効である。

両方の場合、指示された期日の到来まで、または、その期日の終了のときに、法定相続人(heredero legítimo)は(相続に)召集されたものとみなされる。前者の場合、法定相続人は、(遺言)指定相続人の介入を得て十分な保証を提供した後でなければ、財物の占有に加わらない。

(第5款:遺留分)

806

遺留分とは、法律が必然相続人(*注:遺留分を持つ相続人)(herederos forzosos)と呼ばれる特定の相続人に留保することで遺言者が自由に処分できない財物の割合である。

807

必然相続人としては:

① (被相続人たる)父母と尊属に関しては、子および卑属。

② ①の者がいないときは、(被相続人たる)子と卑属に関しては父母および尊属。

③ 本法が規定する方式と算定額で、寡夫または寡婦。

808

父母の相続財産の2/3は子と卑属の遺留分を構成する。

  しかしながら、父母は、遺留分を構成する2の部分の1を、それらの子または卑属へ割増遺留分(mejora)として当てるために処分できる。

残りの1/3の部分は自由処分できる。

子または卑属のある者が裁判上無能力者(judicialmente incapacitado)であるときは、遺言者は、その裁判上無能力者である子または卑属を受託者(fiduciarios)とし、必然共同相続人を受益者(fideicomisarios)として、厳格遺留分(legitima estricta)である1/3の上に信託遺贈を設定できる。

809

子と卑属の遺産の半分は、被相続人の寡夫(婦)配偶者が競合する場合を除いて、父母または尊属の遺留分を構成する。競合する場合は、遺産の1/3となる。

810

 父母の遺留分は両人に均等配分される。一方が死亡しているときは、生存している者に全て配分される。

遺言者に父も母もいなくて、同一親等の父系・母系の尊属がいる場合は、相続財産は両系に均等に配分される。尊属の親等が異なる場合は、一方または他方の系統の最も近い者に配分される。

811

卑属が他の尊属または兄弟から無償(名義)(título lucrativo)で取得した財物をその卑属から相続する尊属は、三親等以内に在ってかつその財物が由来する系列に属する親族の利益のために法律上当然に取得した財物を保全する義務を負う。

812

尊属は、子孫なくして死亡した子あるいは卑属に(彼ら自身が)与えた物を、それらの物が相続財産中に存在するときは、他の者を廃除して、相続する。譲渡されている場合は、譲渡者が譲渡物について有する全ての請求権を、売却されているときは、その価額を、または、交換のときは、代替されている財物を相続する。

813

遺言者は、法律の明文の規定による場合以外は、相続人からその遺留分を剥奪できない。

また、寡夫(婦)の用益権に関して(遺言)処分されているものを除き、また、裁判上無能力である子若しくは卑属について第808条で設定されているものを除いて、遺留分に負担、条件またいかなる種類の代替(sustitucion)を課すことはできない。

814

或る必然相続人の(遺言中の)脱漏は遺留分を害さない。遺贈、割増遺留分及びその他の遺言処分に先んじて、相続人の指定(institución de heredero)を取り消す(reducir)

 しかしながら、子または卑属の故意でない脱漏は次の効果を生じる:

① 全て脱漏すると、財産についての遺言処分は取消される。

② 他の場合は、相続人の指定は取消される、但し、いかなる名義でなされた遺贈と割増遺留分は、遺留分を害しない限度で、有効である。しかしながら、配偶者になされた相続人の指定は、遺留分を害する限度でのみ取消される。

 脱漏されていない他の卑属の卑属は、尊属の相続においてその卑属を代襲し、また、脱漏されていないものとみなす。

 脱漏している必然相続人が遺言者より前に死亡すると、遺言は全効果を生じる。

 遺留分を除いて、全ての場合、遺言者が命じたことが優先する。

815

遺言者がいかなる権原かによって必然相続人にそれに対応する遺留分よりも少なく残した場合は、その相続人は当該遺留分の補充を請求できる。

816

遺留分を与える者(=被相続人)とその必然相続人との間の将来遺留分の放棄または取引は無効であり、後者は、前者が死亡したときは、遺留分を請求できる。しかし、後者は、放棄または取引によって受領した物を持ち戻さなければならない。

817

必然相続人の遺留分を減らす遺言処分は、それらの者の請求により、遺留分を害するまたは過剰である限度で取り消される(reducir)

818

遺留分を確定するには、負債と負担を控除して、遺言者の死亡時に存する財物の価額に着目する。但し、(控除する)負債と負担の内には遺言中に課したものを含めない。

 相続財産の正味価値(valor líquido)には持ち戻すべき贈与の価値を付加する。

819

子に対してなされた割増遺留分の性質を有しない贈与は、その者の遺留分に参入される。

 第三者になされた贈与は、遺言者が終意で処分できた自由財産部分に参入される。

 (贈与は)遺留分を侵害する限度で、または、自由処分可能割合を超過する限度で、次条以下の規定に従って減殺される。

820

前各条に従がって遺留分が確定すると、減殺は次のようになされる:

① 遺言でなされた遺贈を必要があれば減殺あるいは取消すことで遺留分が満足される間は、贈与は尊重される。

② 遺贈の減殺は、区別なく、割合に応じてなされる。

 遺言者が、ある遺贈を他に優先するように定めた場合は、それは、他の遺贈全部を遺留分の支払に当てた後でないと減殺の対象とはならない。

③ 遺贈が用益権または終身年金で構成され、その価額が(遺言者の)処分可能部分より大きいと、必然相続人は遺言処分を履行するか、遺言者が自由に処分できる相続財産部分を受遺者に引渡すか、選択できる。

821

減殺対象の遺贈が分割できない不動産で構成されているときで、減殺がその価額の半分に達しない場合は、不動産は受遺者のものとなり、反対の場合は、必然相続人のものとなる。しかし、受遺者と必然相続人は、金銭で対応する債権を決済しなければならない。

 遺留分の権利を有する受遺者は、その不動産全体を、その価額が処分可能部分および遺留分としてその者に対応する割合の総額を越えていない場合は、取得することができる。

 相続人または受遺者が本条でそれらの者に与えられる権利を利用しない場合は、利害関係人の申立てでその不動産を公売で売却する。

822

障害のある遺留分権利者(legitimario)のために、住居の上にその名義人(遺言者)が設定する居住権の贈与または遺贈は、死亡のときに両者がそこに居住していた場合、遺留分の計算には参入しない。

 遺言者が別の定めをなしていないか、明示的に廃除していない場合は、居住権を必要とする障害を持つ遺留分権利者に、この居住権は法律上当然に同一の条件で付与される。しかし、その(居住権)名義人は、その他の遺留分権利者が、それらが必要とする間は、居住し続けることを妨げることはできない。

 前2段に係る権利は譲渡できない。

 初めの2段の規定は、共同居住権と併存する本法第1406条と第1407条に規定される権利を配偶者に付与することを妨げない。

(第6款:割増遺留分)

823

父または母は、血縁または養子関係の子または卑属の或る者(たち)のために、遺留分に当てられる2/3のうち1/3を割増遺留分として処分できる。

824

割増遺留分の上には、必然相続人またはその卑属の有利に設定されるもの以外の負担を課することはできない。

825

必然相続人である子あるいは卑属のための単純または負担付の生前契約による贈与は、贈与者が明示的に割増の意思を表示していない場合は、割増遺留分とはみなされない。

826

公正証書で夫婦財産契約中になされた割増する、または、割増しない約定は有効である。

 その約定に反する遺言者の定めは効果を生じない。

827

割増は、財物の引渡しで実行されていても、夫婦財産契約または第三者と締結された有償契約でなされていないと、撤回できる。

828

遺言者が子または卑属の一人になした遺贈は、遺言者が割増遺留分と明示的に表示したとき以外、または、自由処分部分に入る余地がないとき以外は、割増遺留分とはみなされない。

829

割増遺留分はある特定物に指定することができる。この物の価額が割増遺留分に当てられる1/3を超過し、かつ、割増を受ける者に対応する遺留分を超過する場合は、この者は金銭でその他の利害関係人に差額を支払わなければならない。

830

割増する権能を他の者に委託することはできない。

831

① 前条の規定に関わらず、共通の子または(共通の)卑属の利益のために自由処分の1/3の部分の負担で割増を実現させ、一般に、遺言者が死亡したら、(未清算の解消された夫婦財産制の財物を目的とする分割を含めて)いかなる承継名義もしくは分割による具体的財物の取得または帰属を実現させ得る権能を遺言で(生存)配偶者に授けることができる

   これらの割増、取得または帰属は、配偶者が、一つのまたは数個の、同時または順次の行為で実現することができる。この権能が遺言で付与されていない場合、または、期間が指定されていない場合は、相続開始から、または、場合によっては共通の末子の親権解放から数えて2年の期間を持ってする。

   特定の財物を目的とする配偶者の処分は、恩恵を与えられた子または卑属に(その特定の財物の)所有権を付与する以外に、更にその子または卑属にその者の承諾の事実により占有を、その処分に別のことが設定されていないと、授ける。

② 前段に係る権能がかかっている財物の管理は生存配偶者の責任である。

③ 委託された権能を行使するときは、配偶者は、共通卑属の厳格遺留分およびその者たちのための被相続人の割増遺留処分およびその他の処分を尊重しなければならない。

  ある共通卑属の厳格遺留分または被相続人がその者の利益のために命じた遺産中の分割割合が尊重されないときは、その者は、損なわれた利益を満足するために必要な限度で配偶者の行為の取消しを請求することができる。

  共通の子または卑属のための被相続人の処分および遺留分は、それらのいずれかが、全部または一部でその権能を行使する配偶者にのみ属する財物で満足されたとしても、十分に満足された場合は、尊重されたものとみなされる。

④ 前記の権能の配偶者への付与は、遺留分の様式(régimen)および被相続人の処分の様式を、これらのいずれかで利益を受ける者が共通卑属でないときは、変更しない。そのような場合は、利益を受ける者の直系の親族でない配偶者は、その権能に影響を受ける財物について、そのような遺留分もしくは処分に関連する実行行為または取得行為を共通卑属の利益のために(por cuenta de)履行する権限を有する。

  生存配偶者の卑属ではない或る卑属が(死亡した者の)相続に故意にではなく脱漏されているときは、配偶者に委託された権能の行使は脱漏された者の部分を害することはできない。

⑤ 配偶者に付与された権能は、遺言者が別の定めをしている場合を除いて、再婚したとき、あるいは、同様な事実関係に移ったとき、または、共通でない子を持ったときから終了する。

⑥ 前各号の規定は、また、共通直系卑属を有する者たちがその間で婚姻していないときに適用される。

832

割増遺留分が特定物に指定されていないときは、財物分配における相続人の公平を確保するための第1061条と第1062条の規定をできるだけ尊重して同種の相続財物により弁済される。

833

割増を受けた子または卑属は相続を放棄する(renunciar a herencia)ことができ、また、割増遺留分を承認することができる。

(第7款:寡婦(夫)配偶者)

834

その配偶者の死亡の時に法的または事実上別居していない夫(妻)は、子または卑属と競合するときは、割増遺留分に当てられる1/3の部分の用益権を取得する。

835

別居している夫婦間で本法の第84条に従い別居を審理した裁判所に通知された和解が調った場合は、生存配偶者は自己の権利を保持する。

836条:削除(1981年)

837

卑属がなく、尊属がある場合は、生存配偶者は遺産の1/2の用益権を取得する。

838

卑属も、尊属もない場合は、生存配偶者は遺産の2/3の用益権を取得する。

839

相続人は、終身定期金、特定財物の生産物または現金での資本(capital)を指定して、両者の合意を先行させて、それがないと、司法命令(mandato judicial)により、配偶者の用益権を(それらで代替して)満足させることができる。

それが実現されない間は、遺産の全財物は、配偶者に対応する用益権部分の弁済の負担を課せられる。

840

配偶者が被相続人のみの子と遺産に競合するときは、配偶者は、子の選択により現金または相続財物のある部分を指定して、その用益権を満足させるよう請求できる。

(第8款:特別な場合での相続分の弁済(pago)

841

遺言者または遺言者が明示的に承認した(遺産)分割清算人(contador-partidor)は、相続財産の全部または一部を子もしくは卑属の或る者に、その他の遺留分権利者の相続分を金銭で弁済するように処置して、与えることができる。

 また、前段の同じ場合における金銭での弁済権能は本法の第1057条に係る選定分割清算人に対応する。

842

前条の規定に関わらず、その兄弟の相続割合を金銭で弁済する義務を負う子または卑属は何人も、その割合は相続財物で満足させられるべきであると主張できる。そのような場合は、本法の第1058条~第1063条の規定が遵守されなければならない。

843

子または卑属全員の明示的確認が無い場合は、前2条に係る分割は裁判所の承認を要する。

844

金銭での弁済決定は、相続開始から1年以内に受領者に通知されないと、効果を生じない。弁済は、別段の約定がないと、1年足した期間内になされなければならない。金額(cantidad)の受遺者のために設定された法定担保は金額の受領者に属する(corresponder)

 弁済がなされなくてその期間が経過すると、遺言者または分割清算人が子または卑属に付与した権能は失効し、分割についての一般規定に従がう相続財産分配に移行する。

845

前各条に係わる選択権(opcion)は特定物の遺贈には影響しない。

846

また、特定物に指示された遺言者の分割処分にも影響しない。

847

子または卑属に支払われるべき合計を決めるためには、それらの者にその対応部分を清算する時の財物の有する価値に(その時までに生じた果実または収益を考慮して)注目する。清算の時から金銭債権は法定利息を受取る。

(第9款:相続人の廃除(desheredación)

848

相続人廃除は、法律が明文で規定する事由によってのみ起こり得る。

 (*注:廃除対象は、必然相続人(遺留分を持つ相続人)となる。)

849

相続人廃除は、遺言においては、その中にその基礎となる法的事由を表示して、なすことができる。

850

 相続人廃除の事由が確かであるとの証明(責任)は、被廃除人が否定する場合、遺言者の相続人に属する。

851

事由の表示なくしてなされた、もしくは、否認されている場合でその確かさが証明されない事由でなされた、または、次4条に示されるものの1つでない廃除は、被廃除者を害する限度で相続人の指定(institución de heredero)を取消す。しかし、遺贈、割増遺留分およびその他の遺言処分で当該遺留分を害しないものは有効である。

852

相続人廃除の正当事由は、第853条、第854条及び第855条が特に規定する範囲で、第756条の1号、2号、3号、5号及び6号に表示される相続欠格による無能力の事由である。

853

756条の2号、3号、5号及び6号以外に次のものは子および卑属を廃除する正当事由である:

① 合法的理由なしに、(子および卑属を)廃除するところの父または尊属の扶養を否定した。

② 行為によって虐待した、または言葉によってひどく虐待した。

854

756条の1号、2号、3号、5号及び6号以外に次の事由は父母および尊属を廃除する正当事由である:

① 第170条に規定される事由で親権を喪失した。

② 合法的理由なしに、子または卑属の扶養を否定した。

③ 父母の一方が他方の生命に危害を加えようとした場合で、両者間で和解が調っていない。

855

756条の2号、3号、5号及び6号以外に次の事由は配偶者を廃除する正当事由である:

① 配偶者の義務をひどく、または、繰り返し履行しない。

② 第170条の規定に従って親権喪失を生じさせる事由。

③ 子または他方配偶者の扶養を否定した。

④ 遺言者配偶者の生命に危害を加えようとした場合で、和解が調っていない。

856

加害者と被害者間のその後の和解は、被害者の廃除権を奪い、既になされた廃除の効果を喪失させる。

857

被廃除者の子または卑属は、被廃除者の地位を占め、遺留分に関して必然相続人の権利を保持する。

(第10款:遺贈)

858

遺言者は、遺贈とともに、その相続人のみならず受遺者にも負担を課すことができる。受遺者は、遺贈の価値の範囲内で負担に応ずる義務を負う。

859

遺言者が遺贈とともに相続人の或る者に負担を課す場合は、その者だけがその履行義務を負う。

  特定の者に負担を課さない場合は、(相続人)全員は相続人であるのと同じ割合で負担に応じる義務を負う。

860

遺贈の引渡し義務者は、物が不特定物で、単に種類で表示されている場合、追奪(evicción)の場合に責任を負う。

861

他人物の遺贈は、遺言者が遺贈時にそのことを知っている場合は、有効である。相続人は、受遺者に引渡すために取得する義務を負う。それが不能のときは受遺者にその正当な評価額を与える義務を負う。

 遺言者がその物が他人物であることを知っていたという証明責任は受遺者にある。

862

遺言者が遺贈物が他人物であることを知らなかった場合は、遺贈は無効である。

 しかし、遺言作成後にそれを取得すると有効である。

863

或る相続人または受遺者の固有物の第三者への遺贈は有効である。それらの者は、相続承認のとき、遺贈物またはその正当な評価額を、次条に規定される制限でもって、引渡さなければならない。

 前段の規定は必然相続人の遺留分を害しないとみなされる。

864

遺言者、相続人または受遺者が単に遺贈物の1部分あるいは1つの権利しか有していないときは、遺言者が明示的にその物全部を遺贈すると表示していないと、遺贈はこの部分または権利に限られているとみなされる。

865

商業(取引)の外にある物の遺贈は無効である。

866

遺言作成時に遺贈物が受遺者の固有物になっていると、それに他の者がある権利を有していても、その遺贈は効果を生じない。

 遺言者が明示的にその物からこの権利または負担を取除くよう定めていると、これについては遺贈は有効である。

867

遺言者が、ある請求可能債務の保証のために抵当権が設定された物を遺贈するときは、この債務の弁済は相続人の責任である。

 相続人が弁済しないで受遺者が弁済する場合は、受遺者は、相続人に対して請求するために債権者の地位と権利を代位する。

 遺贈物が影響を受けるその他の恒久的または一時的負担はいかなるものも、遺贈物と一緒に受遺者に移転する。しかし、両方の場合、定期金および遺言者の死亡までに生じた利子は相続財産が負担する。

868

遺贈物に用益権、使用権または居住権が設定されている場合は、受遺者はこれらの権利を、それらが合法的に消滅するまで、尊重しなければならない。

869

遺贈は(次の場合)効果がない:

① 遺言者が遺贈物を、それが有していた形状または名称を保たないで、変形させる場合。

② 遺言者が遺贈物またはその一部を、権原または事由の如何に関わらず、譲渡する場合。一部の譲渡の場合は、遺言者が、遺贈が譲渡部分については効果がないと、認識している場合。譲渡の後でその物が遺言者の所有に復帰する場合は、契約の無効による復帰であっても、再取得が売戻し(retroventa)の約定によりなされる場合を除いて、遺贈はこの事実の後で効力を有しない。

③ 遺言者生存中に、または、その死後、相続人の過失無く、遺贈物が全て滅する場合。しかしながら、遺贈物が種類において特定されていない場合は、第860条の規定に従がって、遺贈(弁済)義務者は追奪(担保)責任を負う。

870

第三者に対して有する債権の遺贈、または、受遺者の債務の免除の遺贈は、遺言者死亡時に存在する債権または債務の部分においてのみ効果を生じる。

 前者の場合、相続人は、債務者に対抗できる全ての請求権を受遺者に譲って履行する。

 後者の場合、要求されると、(相続人は)受遺者に受取り証書(carta de pago)を交付する。

 両方の場合、遺贈には遺言者死亡時にその債権または債務により支払われるべき利息が含まれる。

871

前条に係る遺贈は、遺言者が遺贈(?遺言)をなした後で債務者に裁判上その債務の弁済を請求した場合は、その弁済が死亡のときに実現されていなくとも、失効する。

 債務者になされた質入れ物の遺贈は、質権が免除されたものとのみみなされる。

872

債務の免除の包括遺贈には遺言時に存在する債務が含まれ、その後のものは含まれない。

873

 債権者になされた遺贈は、遺言者が明示的にそう表示していない場合は、その者の債権の弁済の充当とはならない。

 表示している場合、債権者は債権または遺贈の超過部分を取立てる権利を有する。

874

 選択的遺贈では、遺言者の明示的意思に起因する修正を除いて、同一種類の債権債務に関する規定が適用される。

875

種類動産の遺贈は、遺産中にその種類の物がなくとも、有効である。

 特定されていない不動産の遺贈は、遺産中にその種類の物がある場合のみ、有効である。

 選択は相続人が行う。相続人は下等または上等でない物を給付して履行する。

876

遺言者が相続人または受遺者に選択権を明示的に与えている場合は、相続人は両者にとってより良いと思われる物を給付し、受遺者は両者にとってより良いと思われる物を選択する。

877

相続人または受遺者に選択権が与えられていた場合において、選択できないときは、選択権は(選択権が与えられていなかった)相続人に移行する。しかし、いったん選択がなされると、撤回できない。

878

遺贈物が遺言の時に受遺者の固有物である場合は、その後譲渡されたとしても、遺贈は効果を持たない。

 受遺者が遺言の後に無償名義(titulo lucrativo)でその物を取得した場合は、受遺者はそれにより何も請求できない。更に、有償名義で取得した場合は、取得のために給付したものを補償するよう相続人に請求できる。

879

教育費の遺贈は、受遺者が成年になるまで存続する。

 扶養料の遺贈は、遺言者が別の定めをしていない場合は、受遺者が生きている間存続する。

 遺言者がこれらの遺贈について量を表示していない場合は、受遺者の状態および遺産の総額に従って決定される。

 遺言者が生存中に受遺者に扶養料の形で金銭または他の物をある量与えることを習慣にしていた場合で、遺産の量と著しく不均衡とならないときは、同量が遺贈されたものとみなされる。

880

定期年金または年、月あるいは週毎の定期金が遺贈された場合は、遺言者が死亡すると、最初の期間の定期金を請求でき、引続く期間の定期金は、その期間の始めに請求できる。受遺者が、開始したある期間の終了前に死亡しても、(その期間分は)返還する必要はない。

881

受遺者は、遺言者の死亡時から単純遺贈物(legados puros y simples)について権利を取得し、また、それを自身の相続人に移転する。

882

遺贈が特定物で、遺言者の固有物であるときは、受遺者は、遺言者の死亡時からその所有権を取得し、死亡前に発生して未弁済の利息を除いて、未収拾の果実または利息を自己のものとする。

 遺贈物はその同じ時から受遺者の危険負担となり、受遺者は、よって、その滅失または損傷を蒙り、また、その増加または改良を享受する。

883

遺贈物は、その付属物全部と一緒に、遺言者死亡時の状態で引渡されなければならない。

884

遺贈が特定物でなく種類または量である場合は、その果実および利息は、遺言者がそのように明示的に定めていたときは、遺言者死亡の時から受遺者に属する。

885

受遺者は自己の権能により遺贈物を占有することはできなく、相続人に、または、遺言執行者が給付する権限を与えられているときは、その遺言執行者に、その引渡しと占有を請求しなければならない。

886

相続人は、そうできる場合は、遺贈物その物を給付しなければならない。その評価額の給付でもって履行できない。

 金銭での遺贈は、遺産中に金銭が無くとも、金銭で弁済されなければならない。

 遺贈物引渡しに必要な費用は遺産の負担である。但し、遺留分を害しない。

887

相続財産が遺贈全部をカバーするに不足する場合は、弁済は次の順序でなされる:

① 報償的(remuneratorios)遺贈。

② 相続財産の一部を構成する特定物の遺贈。

③ 遺言者が優先と表示した遺贈。

④ 扶養料の遺贈。

⑤ 教育費の遺贈。

⑥ 割合的にするその他の遺贈。

 

888

受遺者が遺贈を受けられない、もしくは、受けたくないとき、または、遺贈が何らかの事由で効果がないときは、代位と増加権の場合の他は、遺産の中に混ざる。

889

受遺者は、遺贈の一部を承認して、負担付き(oneroso)であるその他を拒否することはできない。

 (受遺者が)数人の(自己の)相続人を残して遺贈を承認する前に死亡した場合は、それらの相続人の或る者は遺贈中でその者に対応する部分を承認でき、他の者は拒否できる。

890

1つが負担付である2個の遺贈の受遺者は、負担付のものを拒否して、他のものを承認できない。2個とも負担付または無償遺贈の場合は、全て承認するか、拒否したいものを拒否するのは自由である。

 同時に受遺者である相続人は、相続を拒否して遺贈を承認でき、または、遺贈を拒否して相続を承認できる。

891

遺産が全て遺贈に配分されている場合は、遺言者が別の定めをしていないと、遺産の債務と負担は受遺者の間にそれらの割当てに比例して配分される。

(第11款:遺言執行者(albacea)

892

遺言者は1人以上の遺言執行者を指定できる。

893

債務を負担する能力がない者は遺言執行者になることはできない。未成年者は、父または後見人の許可があっても、遺言執行者になれない。

894

遺言執行者には、包括遺言執行者または特定遺言執行者がある。

全ての場合、遺言執行者は共同的、継続的、または、連帯的に指定され得る。

895

遺言執行者が共同的であるときは、全員が一致してなす事、1人がその他の者の適法な承認を得てなす事、または、不一致の場合多数が同意する事のみが有効である。

896

緊急な場合は、遺言執行者の1人は、その他の者に速やかに報告して、その個人的責任の下で、必要な行為を実行できる。

897

遺言者が明示的に遺言執行者の連帯性を設定せず、また、その業務を実行する順番を定めていない場合は、それらの者は共同的に指定されているとみなされ、前2条で規定されているようにその業務を実行する。

898

遺言執行者の業務は任意(voluntario)の職務である。指定の通知を受けてから6日以内に拒否しない場合、または、指定を既にその者が知っていると、遺言者の死亡を知った日か6日以内に拒否しない場合は、指定された者は受任したものとみなされる。

899

この業務を受任する遺言執行者はそれを実行する責任を負う。但し、正当事由を裁判官の慎重な自由裁量に主張して辞任できる。

900

業務を受任しない、または、正当事由無く辞任する遺言執行者は、遺言者がその者に残した物を、遺留分に対して有する権利を除いて、失う。

901

遺言執行者は、遺言者が明示的に付与した、法律に反しない権能全部を有する。

902

遺言者が特に遺言執行者の権能を特定していない場合は、次の権能を有する:

① 遺言者が遺言で定めたことに従って、それが無い場合はその地の慣習に従って、遺言者の供養と葬儀を行い、費用を支払う。

② 相続人へ通知しその許可を得て金銭での遺贈を弁済する。

③ 遺言で命じられているその他全てのことの実施について監視する。

④ 現の相続人の参加で、財物の保全と保管に必要な注意をなす。

903

遺産中に葬儀と遺贈の弁済に充分な金銭がなく、相続人が自からそれを用意しない場合は、遺言執行者は動産の売却を遂行し、これらで不足すると、相続人の参加を得て不動産の売却をなす。

 未成年者、失踪者、会社または公共施設が相続に関係する場合は、財物の売却はそのような場合に法律が規定する方式でなされる。

904

遺言者がその期間を指定していない遺言執行者は、その業務を受任から、または、遺言もしくはそのいくつかの定めの有効・無効について遂行される訴訟の終結から1年以内に履行しなければならない。

905

遺言者が法定期間を拡張したい場合は、延長期間を明示的に指定しなければならない。指定していない場合は、期間は1年延長されたものとみなされる。

 この延長期間が経過しても遺言者の意思が履行されない場合は、裁判官は、事案の状況に留意して、必要な期間延長を付与できる。

906

相続人および受遺者は、合意して、必要と思われる期間遺言執行を延長できる。しかし、合意が多数決でなされた場合は、延長は1年を超えることはできない。

907

遺言執行者は、その業務の計算を相続人に提供しなければならない。

遺言執行者が、特定の相続人に財物を引渡すためでなく、法が許可する場合で遺言者が定めた投資または配分を相続人になすために、指定されていた場合は、計算は裁判官に提出する。

 本条に反する遺言者の定めは無効である。

908

遺言執行者の職務は無償の業務である。しかしながら、遺言者は、適当と思われる報酬を遺言執行者に定めることができる。(遺産)分配の業務または他の権能により遺言執行者に対応するものを受領するための権利は別である。

 遺言者が、(複数)遺言執行者にある報酬をいっしょくたにして遺贈または指示する場合は、業務を受任しない遺言執行者の部分は受任する者たちの分を増やす。

909

遺言執行者は、遺言者の明示の承認がないと、その業務を(他に)委任できない。

910

遺言執行者の職務は、遺言執行者の死亡、無能力、辞任または解任で、並びに、遺言者、法律、および、場合によっては、利害関係人が指定した期間の経過で、終了する。

911

前条の場合、および、遺言執行者が業務を受任しなかった場合は、遺言者の意思の実行は相続人が受け持つ。