(スペイン民法)                 元司法書士 古閑次郎

(平成27年4月見直し修正)

編 第11章 寄託(depósito)

(第1節:寄託一般およびその種類)

1758

寄託は、ある者が他人の物をそれを保管し返還する義務を負って受領するときから、設定される。

1759

寄託は、裁判上または裁判外で設定できる。

(第2節:本来の意味の寄託)

(第1款:寄託契約の性質と基本)

1760

別段の約定がない場合は、寄託は無償契約である。

1761

動産のみが寄託の目的物となることができる。

1762

裁判外の寄託は必要寄託または約定寄託である。

2任意寄託(depósito voluntario)

1763

任意寄託は、寄託者の意思により引渡しがなされる寄託である。また、自分が寄託物に権利があると信じる2人またはそれ以上の者は、第三者に寄託することができ、その第三者は場合によって対応する者に引渡しをなす。

1764

契約能力者が他の無能力者がなす寄託を引受ける場合、前者は受寄者の責任全てに服する。また、寄託者の後見人、保佐人または管理者により、または、能力を得た場合は本人により、返還が義務つけられ得る。

1765

能力者が無能力者に寄託した場合、寄託者は、寄託物が受寄者の支配下にある間は、寄託物の返還請求権を有するのみで、または、受寄者が物もしくは価額で得た利得を寄託者に支払う請求権を有するのみである。

(第3款:受寄者の責任)

1766

受寄者は、物を保管し、請求があるときは、寄託者、その承継人または契約で指定された者に返還する責任を負う。物の保管と喪失に関する受寄者の責任は、本編の第1章の規定により規律される。

1767

受寄者は、寄託者の明示の許可がない場合は、寄託物を使用することはできない。

 これに反する場合は、損害賠償の責任を負う。

1768

受寄者が寄託物使用の許可を得ているときは、その契約は寄託の形態を喪失し、消費貸借または使用貸借に変換する。

 許可は、その存在を証明しなければならず、推定されない。

1769

寄託物が封緘および封印されて引渡されるときは、受寄者は同じ状態で返還しなければならない、また、封印または封緘が過失で開けられた場合は、損害賠償責任を負う。

 別段の証明がない場合は、受寄者の過失が推定される。

 寄託物の価値については、開封が受寄者の責に帰されるときは、別段の証明がないと、寄託者の申出に従う。

1770

寄託物はその全ての産物と付属物と共に返還される。

 寄託物が金銭の場合は、第1724条の受任者に関する規定が適用される。

1771

受寄者は、寄託者が寄託物の所有者であることを証明することを(寄託者に)請求できない。

 しかしながら、寄託物が盗品であると判明し、真の所有者が誰であるか判明する場合は、この(真の)所有者に寄託を告げなければならない。

 (真の)所有者が、これにも係わらず、1ヵ月以内に請求しない場合は、受寄者は、寄託物を預けた者に返還すると、全責任から開放される。

1772

寄託者が2人以上であるとき、それらが連帯していなく、また、物が分割できる場合は、各人は自己の持分以上を請求することはできない。

 連帯性があるとき、または、分割できないときは、本法の第1141条と第1142条の規定が適用される。

1773

寄託者が寄託後に契約能力を喪失するときは、寄託物を(寄託者の)財物と権利を管理する者に返還することができる。

1774

寄託時に返還場所を指定した場合は、受寄者はそこに寄託物を持って行かなければならない。但し、運搬に要した費用は寄託者の負担となる。

 返還場所を指定しなかった場合は、寄託物が存する場所で、たとえ、そこが寄託された場所と同じでなくとも、受寄者側の害意が介入していないと、返還しなければならない。

1775

寄託物は、契約に返還の確定期間または期日が定められていても、寄託者が請求するときに、返還されなければならない。

 この措置は、裁判上で寄託物が受寄者の支配下に置かれているとき、または、第三者が寄託物の返還または移転に反対する旨の通知を受寄者にしたときは、効力を生じない。

1776

寄託物を保管しない正当事由を有する受寄者は、指定期日前でも、寄託者に返還することができる。また、寄託者が拒む場合は、裁判官からその供託(許可)を得ることができる。

1777

不可抗力で寄託物を喪失し、その代わりに他の物を受領した受寄者は、この代替物を寄託者に引渡さなければならない。

1778

寄託物であることを知らずに善意で売却した受寄者の相続人は、受領した価額を返還する責任、または、価額が未払いの場合は買主に対する(支払)請求権を譲渡する責任のみを負う。

(第4款:寄託者の責任)

1779

寄託者は、寄託物保管のためになした費用を受寄者に償還する責任、および、寄託物から受寄者に生じた損害全部を補償する責任を負う。

1780

受寄者は、寄託のために寄託者が受寄者に負う弁済を完了するまでは、寄託物を質に留置できる。

5必要的寄託depósito necesario))

1781

寄託は次の場合必要的である:

①法律から発生する債務(obligación legal)の履行において(寄託が)なされるとき。

②火災、崩落、略奪、難破またはその他同種のもののような災害発生で(寄託が)生じるとき。

1782

前条の①に包含される寄託は、それを設定する法律の規定により規律される。その法律がない場合は、任意寄託の規定により規律される。

 ②に含まれる寄託は任意寄託の規則により規律される。

1783

宿屋および旅館に旅人が持込んだ身の回り品(efectos)の寄託は必要的寄託とみなされる。宿屋または旅館の主人は、自身またはその従業員が持込まれた身の回り品について(旅人から)告知を受け、そして、旅人が、主人またはその代理人が身の回り品の注意と監視について警告したことを、遵守する場合は、受寄者と同じく、それら身の回り品に責任を負う。

1784

前条に係る責任には旅人の身の回り品に下男・女中もしくは従業員または第三者がなした損害が含まれる。但し、武装窃盗に起因するもの、または、他の不可抗力で生じた損害は含まれない。

3押収(secuestro)

1785

裁判上の寄託または押収は、係争物の差押または保全が命令されるときに、生じる。

1786

押収は、動産および不動産をその目的とすることができる。

1787

押収目的物の受寄者は、裁判官が全利害関係人の同意により、または、他の適法事由により(受寄者の責任開放を)命じないと、その原因なった紛争が終了するまでその責任から開放されない。

1788

押収物の受寄者はそれらの物に関して善良な家父の全責務を履行する責任を負う。

1789

本法に規定されていないことでは、裁判上の押収は民事訴訟法の規定により規律される。

 

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