(スペイン民法)                  元司法書士 古閑次郎

(平成27年4月見直し修正)

編 第14章 保証(fianza)

(第1節:保証の性質と範囲)

1822

保証により、ある者は、第三者の代わりにその(第三)者が支払わないまたは履行しない場合、支払いまたは履行する責任を負う。

 保証人が主たる債務者と共に連帯して責任を負う場合は、本編第1章第3節第4款の規定が適用される。

1823

保証は、約定、法定または裁判上、無償または有償であり得る。

 更に、主たる債務者の利益のみならず他の保証人の利益で、この後者が同意して、知らなくて、および、例え反対しても、保証を設定できる。

1824

有効な債務がないと、保証は存在できない。

 しかしながら、未成年者の抗弁のように、債務者の単なる人的抗弁の効力で無効を主張できる債務の上に設定することができる。

 親の膝下にある子(hijo de familia)*注:金持ちのどら息子)になされた消費貸借の場合は前段の規定から除かれる。

1825

総額未定の将来債務のために保証を設定することができる。但し、保証人に対しては債務が正味化(líquido)されるまでは請求することはできない。

1826

保証人に、量においても条件面の負担においても主たる債務者より過大に負わせることはできない。

 過大に負わされている場合は、債務者の責任の限度に減少される。

1827

保証は推定されない。明示でなければならなく、そこに含まれているもの以上に拡張することはできない。

 保証が単純または不特定である場合は、主たる債務のみならず裁判費用を含んでその従物を含む。裁判費用に関しては、保証人が支払請求された後で支払わられたものしか負担しない。

1828

保証人を付すべき債務者は、債務負担能力があり、かつ、保障する債務に答えるに充分な財物を有する者を提出しなければならない。保証人は、債務履行地の裁判官の管轄に服するものとみなされる。

1829

保証人が支払不能の状態にある場合は、債権者は前条で要求される資質を有する他の者を要求できる。債権者がある特定の者を保証人に出すように要求し約定した場合は除かれる。

(第2節:保証の効果)

(第1款:保証人と債権者間での保証の効果)

1830

債務者の全財産の事前検索なしに、債権者への支払いを保証人に請求できない。

1831

次の場合、検索は生じない:

①保証人が明示的に検索(の利益)を放棄したとき。

②債務者と連帯して責任を負うとき。

③債務者の破産の場合。

④債務者に(スペイン)王国内で裁判上請求できないとき。

1832

保証人が検索の利益を享受するには、保証人は、債権者の支払請求後に(検索の)抗弁をなさなければならず、また、債務全額をカバーするに充分であるスペイン国内の債務者の換金可能財産を債権者に示さなければならない。

1833

保証人が前条の条件全てを満たしたとき、示された財産の検索を怠った債権者は、その財産の限度で、その怠慢により引き起こされる債務者の支払不能に責任を負う。

1834

債権者は、主たる債務者に訴えを提起するとき、保証人を(その訴訟に)呼出すことができる。但し、両者に不利な判決が出ても、検索の利益は保存される。

1835

保証人が債権者となした和解は、主たる債務者に対しては効果を生じない。

 主たる債務者がなした和解も保証人に、その意思に反しては、効果を生じない。

1836

保証人の保証人は、保証人と主たる債務者に関して、検索の利益を享受する。

1837

同一の債務者と同一の債務に数人の保証人がいる場合、保証債務は全員に分割される。債権者は、連帯性が明示的に約定されていないと、各保証人にはその者に対応する弁済割合のみ請求できる。

 共同保証人に対しての分割の利益は、主たる債務者に対する検索の利益と同じ場合で、かつ、同じ事由で失われる。

(第2款:債務者と保証人間での保証の効果)

1838

債務者の代わりに支払う保証人に債務者は補償しなければならない。補償には次のものが含まれる:

①債務の全額。

②債権者のために利息が生じなかったとしても、債務者に支払いを通知したときからの債務の法定利息。

③支払請求されたことを債務者に通知した後で保証人に生じた費用。

④生じるときは、損害賠償。

 本条は、債務者が知らないで保証が提供されたとしても、適用される。

1839

弁済により、保証人は債権者が債務者に対して有する権利すべてを代位する。

 債権者と和解した場合は、実際に弁済した額以上を債務者に請求することはできない。

1840

保証人が債務者に通知しないで弁済する場合は、債務者は、弁済時に債権者に対抗できた抗弁すべてを保証人に対してすることができる。

1841

債務が期限付きで、保証人が満期前に弁済した場合は、満期までは債務者に償還を請求できない。

1842

保証人が債務者に通知しないで弁済し、債務者が、その弁済を知らないで、自身で弁済した場合は、保証人は債務者に請求はできないが、債権者には請求できる。

1843

保証人は、弁済前であっても、主たる債務者に対して(次の場合)司法手続きを取る(proceder)ことができる:

①弁済を裁判上請求されるとき。

②(主たる債務者の)破産または支払不能の場合。

③主たる債務者が確定期限で保証から(保証人を)開放するように義務づけられていて、その期限が到来したとき。

④弁済期限到来で債務が請求できることになったとき。

⑤主たる債務がその満期を定めていないときに、10年以上の期間で消滅され得るという性質でないと、10年経過した場合。

 これら全ての場合、保証人の訴権は保証の免除を得る目的、または、債権者の訴訟手続および債務者の支払不能の危険から保証人をカバーする保障を得る目的を持つ。

(第3款:共同保証人間での保証の効果)

1844

同一債務者の、かつ、同一債務のための保証人が2人またはそれ以上のとき、弁済した保証人は他の各保証人にその者に比例的に対応する部分を請求できる。

 ある者が支払不能に陥った場合は、その者の部分は同じ割合で全員に掛かる。

 本条の規定の適用には、弁済が裁判上の請求によってなされたこと、または、主たる債務者が破産の状態にある必要がある。

1845

前条の場合、共同保証人は、債務者が債権者に対して有していた(債務者自身の一身専属的抗弁でない)抗弁を弁済した保証人に対抗できる。

1846

復保証人(subfiador)は、その者が義務を負う保証人の支払不能の場合は、その保証人が設定したものと同じ条件で共同保証人に責任を負う。

(第3節:保証の消滅)

1847

保証人の債務は、債務者の債務と同時に、また、その他の債務と同じ事由により、消滅する

1848

債務者の人身と保証人の人身にそれらの一方が他方を相続するとき発生する混同は、復保証人の債務を消滅させない。

1849

債権者が任意に不動産または他の動産を債務の弁済として受領する場合、後で追奪により喪失しても、保証人は免除される。

1850

債権者が他の保証人の同意なしに保証人の一人になした免除は、免除された保証人の部分の範囲で全員を利する。

1851

債権者が保証人の同意なしに債務者に譲許した期限の延長は、保証を消滅させる。

1852

保証人は、連帯保証人であっても、債権者のある事実により債権者の権利、抵当権および先取特権を代位できない場合は、その(保証)債務から免除される。

1853

保証人は、主たる債務者の権限に属し、かつ、債務に付随する抗弁全てを債権者に対抗することができる。債務者の一身専属的抗弁では対抗できない。

(第4節:裁判上の保証)

1854

法律の処分または裁判所の命令の処分で付されるべき保証人は、第1828条が規定する資格を有していなければならない。

1855

前条の場合に保証を提供する義務者が保証人を見つけられない場合は、その代わりにその債務をカバーするに充分と評価される質(物)(prenda)または抵当が許容される。

1856

裁判上の保証人は、主たる債務者の財産の検索を請求できない。

 復保証人も、同じ場合、債務者の検索も保証人の検索も請求できない。

 

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