(スペイン民法)                 元司法書士 古閑次郎

(平成27年4月見直し修正)

第4編 第16章 約定なしに締結される債権・債務

1準契約(cuasi contratos)

1887

第三者に対してその行為者が義務を負うことになる行為で適法かつ単に任意な行為、および、時として当事者間で双方的債務となる行為は準契約である。

1事務管理(gestión de negocios ajenos)

1888

他人の委任なしに、任意にその他人の事務の代理または管理をなす者は、当該事件およびその付随的事件の終了まで、自己の管理を継続する責任を負い、または、(当事者が)自身で管理することができる状態にある場合は、当事者をして管理を引受けるように要求する責任を負う。

1889

事務管理者は、善良な家父の注意をもってその業務を実施しなければならず、また、自己の過失または怠慢で管理する財物の所有者または業務主(dueño de negocios)に加えられる損害を賠償しなければならない。

 裁判所は、しかしながら、事件の事情に従って賠償額を緩和できる。

1890

事務管理者が他人にその職務の義務の全部またはある部分を委託した場合は、受託者の業務主に対する直接責任は別として、受託者の行為に責任を負う。

 事務管理者が2人以上あるとき、管理者の責任は連帯である。

1891

業務(negocios)の事務管理者は、業務主がなす習慣がない大胆な行為をするとき、または、業務主の利益を自己の利益の後に置いたときは、偶発的出来事に責任を負う。

1892

業務主による管理の追認は明示の委任の効果を生じる。

1893

事務管理が明示に追認されていなくとも、事務管理の利益を享受する財物の所有者または業務主は、自己の利益に締結された債務の責任を負い、事務管理者が費やした必要費および有益費並びにその仕事の遂行で被った損害を事務管理者に賠償する責任を負う。

 事務管理がある緊急かつ明白な損害を避ける目的でなされたときは、結果的に誰も益しなかったとしても、同じ責任がそれらの者に課される。

1894

扶養義務者の知見なしに、第三者が扶養料を与えたときは、その第三者は、信心でそれを与え、請求意思がないと証明されないと、義務者にその扶養料を請求する権利を得る。

 家柄やその地方の慣習に釣合った葬儀費用は、死亡者が財産を残さなかったとしても、その生前扶養義務を負っていた者が弁済しなければならない。

2不当受領非債弁済(cobro de lo indebido)

1895

受取る権利を持たなかった或る物を、および、錯誤で不当に引渡された或る物を受領するときは、それを返還する義務が生じる。

1896

非債弁済(pago indebido)を受ける者は、悪意でなした場合は、元本に関して法定利息を支払わなければならなく、または、受領物が果実を生じるときは、受領した果実、もしくは、受領すべきであった果実を保証しなければならない。

 更に、物が被った毀損、および、物の引渡者がそれを回復するまでに蒙った損害の責任を負う。偶然の場合は、物が引渡者の支配下にあっても物に同じ様に影響を与えることができたときは、責任を負わない。

1897

善意で、ある特定物の非債弁済を受けた者は、その物および付属物の損傷または喪失のみに責任を、それらで利益を得た限度で、負う。それらを譲渡した場合は、価額を返還するか、または、価額支払請求権を譲渡する。

1898

非債で物を受領した者によってなされた改良と費用の支払いについては、第2編第5章の規定を適用する。

1899

弁済が適法かつ存在する債権のためになされたと善意で信じて、証書を破棄した者、権利を時効消滅させた者、質物を放棄した者、または、自己の権利の保証を抹消した者は、返還する責任を免じられる。非債弁済した者は、真の債務者または請求権がその保証人に関して生きているところの保証人にのみ請求を向けることができる。

1900

弁済の証明は、弁済したと主張する者に責任がある。また、弁済をなしたところの錯誤の証明も、被告が返還請求物を受領したことを否定しなければ、主張する者にある。この(否定する)場合は、原告が引渡しを証明すると、(原告は)全証明(責任)を免じられる。このことは、(被告が)受領したと仮定することが被告にとって正当であったと証明するための被告の権利を制限しない。

1901

引渡されるべきでなかった物、または、すでに弁済された物が引渡されたときは、弁済に錯誤があったと推定される。但し、返還請求をされるその者は、引渡しが贈与名義または他の正当事由でなされたことを証明することができる。

(第2節:過失または怠慢で生じる債務)

1902

過失または怠慢を介入させて作為または不作為により他人に損害を与える者は、生じた損害を賠償する責任を負う。

1903

前条が課する債務は、自己の作為または不作為によるのみでなく、(その者に)責任を負わなければならないところのその者の作為または不作為によっても、請求できる。

 父母は、その監護下にある子が起こした損害に責任を負う。

 後見人は、その権限下にあり、同居している未成年者または無能力者が起こした損害に責任を負う。

 ある施設または企業の所有者もしくは管理者は、その従業員が、雇用されている分野の役務で、または、それらの者の活動の際に、起こした損害に関して責任を負う。

 高等教育ではない教育施設の名義人である者または団体は、未成年である生徒がその施設の教員の支配もしくは看視下にあって、校内外の活動および補完的活動を展開する期間に起こした損害賠償責任を負う。

 本条にかかる責任は、そこで言及されている者が損害回避のために善良な家父の注意を払っていたと証明するときは、免ぜられる。

1904

従業員が起こした損害を弁償する者は、弁済したものをそれら従業員に求償することができる。

 高等教育ではない教育施設にかかるときは、その名義人は、教員が損害の原因であるその職務の行使において故意または重過失に陥っていた場合は、弁済額をその教員に請求することができる。

1905

動物の占有者または動物を使用している者は、その動物が逃げても、または、行方不明になっても、それが起こした損害の責任を負う。この責任は、損害が不可抗力、または、損害を被った者の過失で生じた場合のみ、免ぜられる。

1906

猟場の所有者は、その獲物の増殖を抑えるために必要な措置をなさなったとき、または、増殖を抑えるための隣地所有者の行為を困難にしたときは、猟場が隣地に起こした損害に責任を負う。

1907

建物の所有者は、建物の全部または一部の崩壊で生じる損害の責任を、その崩壊が必要な修繕の欠缺で発生した場合、負う。

1908

同じく、所有者は次の事由で生じた損害に責任を負う:

①適切な注意で管理されていなかった機械の爆発により、および、安全かつ適切な場所に保管されていなかった爆発物の発火により。

②人身または所有物に有害な過剰な蒸気により。

③交通の場所に植えられている樹木の不可抗力によらない倒壊により。

④下水道または感染物質の貯蔵所が存在する場所に適切な配慮をしないでそれらが建設されたときで、下水道または感染物質の貯蔵所からの流出により。

1909

2条にかかる損害が建築の欠陥で生じた場合は、損害を被る第三者は、建築家に、または、場合によっては建築業者に法定期間内にのみ求償することができる

1910

ある家またはその一部に住む家長は、その家から落ちた物により生じた損害に責任を負う。

 

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