(スペイン民法)                  元司法書士 古閑次郎

(平成27年4月見直し修正)

第4編 第17章 債権の競合(concurrencia)と優先(prelación)

(第1節:総則)

1911

債務者は、自己の現在および将来の財産全てで債務を履行する責任を負う。

1912条から1920条までは、200491日から削除)

(第2節:債権の分類(配当順位の決定))

1921

債権は、その弁済順位と支払について、本節が規定する順位と条件により、分類される。

 破産(concurso)の場合は、債権の配当順位と弁済順位は破産法の規定が適用される。

1922

債務者の特定の動産に関して、次の債権は先取特権(preferencia:優先権)を享有する:

①債務者の支配下にある動産の製作、修繕、保存または売却対価による債権。それら動産の価値が及ぶ範囲で。

②債権者の支配下にある質物で保障された債権。質物の上にその価値が及ぶ範囲で。

③公的施設もしくは商業施設で設定された手形または証券保証で担保された債権。保証の上に、その保証手形・証券の価値により。

④運送債権。運送物の上に、その物の価額、輸送・保管の費用と手数料により、引渡までおよび引渡後30日以内に。

⑤宿泊債権。宿坊にある債務者の動産の上に。

⑥種子および債務者に前払いされた耕作・収穫費用による債権。収穫果実の上に。

1年の賃料・地代の債権。賃貸借不動産内に在る賃借人の動産の上に、また、その不動産の果実の上に。

 先取特権が付される動産が窃取された場合は、債権者は、窃取されたときから30日以内の期間に、それを保持する者に請求することができる。

1923

債務者の特定の不動産および物権に関して、次の債権は先取特権を享有する:

①国の債権。納税者の財物の上に、納付期限が来て支払われていない税金の最後の一年分の額について。

②保険業者の債権。付保される財物の上に、2年分の保険料について。相互保険の場合は、分配された最後の2回の配当について。

③所有権登記簿に付記登記または登記された抵当権付債権と修繕債権。被抵当物または修繕目的物の上に。

④差押え、押収または判決の執行によって、裁判所の命令で所有権登記簿に予防的に付記登記された債権。付記登記された財産の上に、また、後発の債権についてのみ(優先する)。

⑤付記登記も登記もされていない修繕費債権。修繕に係わる不動産上に、また、前4者に記載されている債権以外のその他の債権のみについて(優先する)。

1924

債務者のその他の動産および不動産に関して、次の債権は先取特権を享有する:

①県または市町村の債権。第1923条①に含まれない、期限が来て弁済されていない最後の1年間の税金。

②次のもののために)支払われた債権:

A) 200491日削除。

B) 土地の慣習に従って、債務者の葬式費用。また、(配偶者と子が)自己の財産を持たない場合は、債務者の配偶者および債務者の親権下にある子の葬式費用。

C) 死亡の日から数えて最後の1年間に費やされた、債務者、その配偶者および子の最後の病気の費用。

D) 他人のための労働者の給与および家事労働の給与。最後の1年間に対応する部分。

E) 前条に従ってより優先するものがないときは、前号に示されるのと同じ期間に対する補助金、社会保険および相互扶助の義務的制度に対応する保険料。

F) 食料、衣料または履物において、前と同じ期間における債務者およびその権威下にある家族のために債務者になされた前払い金。

G) 200491日削除。

③特別の優先権なく次のもので証される債権:

A) 公正証書で。

B) 訴訟の目的であった場合、確定判決で。

 これらの債権は、それらの中では、証書および判決日付の古い順により先取特権を持つ。

1925

前数条に包含されていない、他のいかなる種類の債権、または、他のいかなる名義による債権も先取特権を享受しない。

(第3節:債権の優先権(prelación)

1926

特定の動産に関して先取特権を享受する債権は、先取特権にかかる動産の価値が及ぶ範囲で、その他の債権全てを排除する。

 特定の動産に関して2個以上の債権が競合する場合は、その弁済の優先権について、次の規則が適用される:

①質権付き債権は、質物の価値が及ぶまで、その他の債権を排除する。

②担保の場合、一人以上の債権者のために適法に設定されたときは、それらの間の優先権は担保提供日の順番により決せられる。

③種子の前払い金、耕作・収穫の費用による債権は、それらが役立った収穫果実の上において、賃料に優先する。

④その他の場合では、動産の価額は、それらに関して特別の先取特権を享受する債権間で比例して分配される。

1927

特定の不動産または物権に関して先取特権を享受する債権は、先取特権に係る不動産または物権の価値が及ぶ範囲までその債権額につきその他の債権全てを排除する。

 特定の不動産または物権に関して2個以上の債権が競合する場合は、それら先取特権に関しては次のことが適用される:

①第1923条の①と②の債権が、順々に、同条の他の号の債権に優先する。

②第1923条③の付記登記または登記された抵当権付債権および修繕債権並びに同条④の債権は、所有権登記簿へのそれぞれの登記または付記登記の古い順番でそれらの間で先取特権を享受する。

③第1923条⑤に係わる付記登記も登記もされていない修繕債権は、それらの間では、新しい順番で先取特権を享受する。

1928

債務者財産の残余は、特定の動産または不動産に関して先取特権を享受する債権が弁済された後で、その他の債権の弁済のために、債務者が持っていた自由財産に加算される。

 特定の動産または不動産に関して先取特権を享受するが、それらの額では完全な満足を得られなかった債権は、不足額に関して、それらの各々の性質に従って(債権に)対応する順位で満足を得る。

1929

特定の財物に関して先取特権を享受しない債権、および、享受するが、未実現額について、または、先取の権利が時効消滅しているときは、次の規則に従って満足を得る:

①第1924条の順番により。

②日付による優先、日付の順番による優先、および同じ日付の債権は割合で。

③第1925条に係わる普通債権(créditos comunes)は、その日付に関係なく。

 

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