(スペイン民法)                  元司法書士 古閑次郎

(平成27年4月見直し修正)

第4編 第18章 時効

(第1節:総則)

1930

法が規定する要式および条件で、時効により所有権その他物権は取得される。

  また、権利および請求(訴)権(acciones)は、いかなる種類であろうと、その固有の様式(modo)で時効により消滅する。

1931

財物(bienes)または権利をその他の適法な様式により取得できる者は、それらを時効により取得できる。

1932

権利および請求権は、法人を含む全ての人を害して法定の期間で時効消滅する。

  自己の財物の管理を妨害された者は、時効の原因となった不注意を引き起こした法定代理人に対しての請求(訴)権について、常に保護される。

1933

共有者の一人が取得した時効はその他の者も益する。

1934

時効は、相続の承認前において、また、棚卸実施と熟慮に付与された期間内において、相続財産の有利および不利に、その法的効果を及ぼす

1935

譲渡能力を有する者は獲得した時効を放棄できる。しかし、継続するものについては時効にかかる権利を放棄することはできない。

(その放棄が)獲得された権利の放棄を推定させる行為の結果であるときは、時効は黙示的に放棄されたものとみなす。

1936

人の商取引きに在る全ての物は時効にかかる。

1937

債権者、および、時効を有効にすることに利害関係を有する他の何人も、債務者または所有者の明示または黙示の放棄にかかわらず時効を援用できる。

1938

本章の規定は、時効の特定の場合に関して本法または特別法が規定するものを害しないものとみなす。

1939

本法公布の前に開始した時効は、前法の規定が適用される。但し、本法が遵守されて以降、本法で時効に要求される期間が全て経過した場合は、前法でより長い期間が要求されていても、時効は効力を生じる。

(第2節:所有権およびその他物権の時効取得)

1940

所有権およびその他物権の通常時効(prescripción ordinaria)取得のためには、善意および正権原(justo título)を持って法が規定する期間それらの物を占有することを要する。

1941

占有は、所有の意思で(en concepto de dueño)、公然、平穏および無中断であることを要する。

1942

許可の効果によって、または、所有者の単なる寛容によって行使された占有的性格の行為は、占有について有用ではない。

1943

占有は、時効の効果について自然的または法定的(civilmente)に中断する。

1944

いかなる原因であろうとも一年以上占有が止むと、占有は自然的に中断する。

1945

法定中断は、管轄のない裁判官の命令(mandato)であっても、占有者に対してなされた裁判上の召還(citación judicial)により生じる。

1946

なされたとみなされない裁判上の召還および中断を生じない裁判上の召還は次の場合である:

①法定方式(solemnidades legales)の欠缺により無効である場合。

②原告の取下げまたは原告の申立て(instancia)の期限徒過の場合

③占有者が訴えから開放された場合

1947

また、法定中断は調停行為により、その実施後2月以内に問題となっている物の占有または所有に関する訴えが裁判官に提起されると、生じる。

1948

占有者が所有者の権利についてなした明示または黙示のいかなる承認も、占有を中断させる。

1949

所有権登記簿に登記されたある権原に対しては第三者を害して所有権または物権の通常時効取得は生じないが、同様に登記された他の権原(の効力)により、その第2権原の登記から期間を開始させて、それらの通常時効取得が生じる(?)。

1950

占有者の善意は、物を受け取ったその相手が所有者であると信じ、その者がその所有権を移転できると信じたことに基礎を置く。

1951

本法第433条から436条の規定で占有に関して要求される善意の条件は、所有権およびその他の物権の時効取得でのその要件決定に同じく必要である。

1952

時効取得に係わる所有権または物権を移転させるために法的に充分な権原は正権原とみなされる。

1953

取得時効のための権原は真正かつ有効でなければならない。

1954

正権原は証明されなければならない、推定はされない。

1955

動産の所有権は、善意で3年間の無中断占有で時効取得される。

同じく、動産の所有権は、6年間の無中断占有で、他の条件を要せず、時効取得される。

遺失物または不法に侵奪された物を回復する所有者の権利については、競売、取引場もしくは市場で、または、合法的に設立されて同種の物の取引きに通常従事している商人から取得された物についてと同様に、本法第464条の規定に従う。

1956

盗まれた動産は、犯罪もしくは軽犯罪またはその刑罰が時効にかからないと、また、犯罪または軽犯罪から生じた民事的責任の請求権が時効消滅しないと、盗んだ者、共犯者または隠匿者によって時効取得されない。

1957

不動産の所有権および不動産上のその他の物権は、善意および正権原を持って、現住者間(entre presentes)では10年間の占有で、不在者間(entre ausentes)では20年間の占有で時効取得される。

1958

取得時効のためには外国居住者は不在者(ausente)とみなされる。

ある期間は現住者間であり、ある期間は不在者間の場合、不在者間占有の各2年間は10年間の現住者間占有を完成するには1年間と計算される。

丸々1年間でなくかつ継続していない不在者間占有は、計算には算入されない。

1959

また、不動産所有権および不動産上のその他の物権は、第539条で規定される例外を除いて、権原と善意を要しないで、また、現住者間と不在者間の区別なく、30年間の無中断占有で時効取得される。

1960

時効取得に必要な期間の計算には次の原則が適用される:

①現在の占有者は取得時効に必要な期間の完成のため、自己の期間とその権利発生者の期間と合わることができる。

②現在の占有者は、以前に占有者であった場合、反対の証明がなされないと、その間の期間は継続して占有者であったと推定される。

③計算開始の日は丸々1日とみなされる。しかし、最後の日は丸々達成されなければならない。

(第3節:請求権(acciones)の時効消滅)

1961

請求権は、法律に定める期間の単なる経過で時効消滅する。

1962

動産についての物的請求権は占有の喪失から6年で消滅時効にかかる。但し、占有者が第1955条の規定に従って6年以内に所有を回復した場合、及び、同条第3段目の規定に従う紛失物、公売物及び盗品は除かれる。

1963

不動産に係る物的請求権は30年で消滅時効にかかる。

  この規定は、所有権または物権の時効取得に関する規定を害しないものと解される。

1964

抵当権(実行?)請求権(acción hipotecaria)20年で消滅時効にかかり、時効の特別期間が規定されていない債権的請求権は15年で消滅時効にかかる。

1965

共同相続人間、共有者間または隣地所有者間では、遺産の分割、共有物の分割または隣合う所有土地の境界設定を請求する権利は、消滅時効にかからない。

1966

5年経過で次の債務の履行を請求する権利は消滅時効にかかる:

①扶養料支払い請求権。

②土地または建物であっても、賃料支払い請求権。

③年単位で、または、より短い期間でなされるべきその他の支払い請求権。

1967

3年経過で次の債務の履行請求権は消滅時効にかかる:

①裁判官、弁護士、登記官、公証人、司法書士(escríbanos)、会計士、仲介業者および弁理士への謝礼と手数料支払い債務、および、それら債務に係わる事件においてそれらの業務または職務の遂行で費やされた費用および支出の支払債務。

②薬剤を提供した薬局への支払債務、教授および師匠へのそれらが与えた教育またはその職業、技能もしくは業務に対する謝礼および報酬の支払債務。

③職人、家事従事者および日雇いへのそれらの役務の価額支払債務、および、それらに係わってなされた提供物または支出の価額の支払債務。

④食事と居室代の旅館主への支払債務、および、非商人にまたは商人ではあるが異なる流通に従事する者に売却された商品の価額の商人への支払債務。

 ①~③に係わる請求権の消滅時効に対する期間は、各々の役務提供を止めたときから起算する。

1968

(次の請求権は)1年経過で時効消滅にかかる:

①占有を回復または留保する請求権。

②侮辱または中傷による、または、第1902条に係わる過失もしくは怠慢から派生した債務による民事責任の請求権。被害者がそれを知ったときから起算する。

1969

全種の請求権の消滅時効期間は、別の期間を設定する特別規定がないときは、行使できた日から起算する。

1970

利息付きまたは金利付きでの元本債務の履行請求を目的とする請求権の消滅時効期間は、金利または利息の最後の支払いから開始する。

 委託的不動産定期金支払請求権の元本に関しても同じことが解される。

 永小作的および留保的不動産定期金支払請求権では、消滅時効期間は年金または収益の最後の支払いから同様に数えられる。

1971

判決で確認された債務の履行請求権の消滅時効期間は、判決確定から開始する。

1972

収支計算(cuentas)の報告請求権の消滅時効期間は、収支報告すべき者がその業務を停止した日から開始する。

 収支報告の結果による請求権に対応する消滅時効期間は、利害関係人の一致によりそれが承認された日から開始する。

1973

請求権の消滅時効は、裁判所でのその(請求権の)行使により、債権者の裁判外請求により、また、債務者による債務の承認行為により中断する。

1974

連帯債務での請求権の消滅時効の中断は、全債権者および全債務者を等しく利し、または、害する。

 この規定は、全種の債務において債務者の相続人に対して同じく適用される。

 共同債務では、債権者が債務者の一人にその者に対応する割合を超えて請求しない場合は、そのことで他の共同債務者に関して時効は中断しない。

1975

債務の裁判上の請求による主たる債務者に対する時効中断は、保証人に対しても効果を生じる。但し、債権者の裁判外の請求または債務者の私的承認により生じる中断は保証人を害さない。

(最終規定)

1976

本法の目的である全事項において共通民事法を構成する法令集団(cuerpos legales)、慣例および慣習は全て削除され、また、直接強行的法律および補完的法令としての効力を失う。この規定は、本民法典において継続すると宣言されている法律には適用されない。

 

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