(スペイン民法)                  元司法書士 古閑次郎

(平成27年3月見直し修正)

 

4編 第3夫婦財産制(régimen económico matrimonial)

1総則

1315

夫婦財産制は、夫婦が、本民法典が規定する制限以外の制限を受けることなく、夫婦財産契約(capitulaciones matrimoniales)において約定する制度である。

1316

夫婦財産契約がないか、契約が効力を持たないときは、その制度は4節の取得財産共同体(sociedad de gananciales)である。

1317

夫婦財産制の婚姻中での変更は、第三者が既に取得した権利を全く害しない。

1318

夫婦の財物は、婚姻費用の決済(levantamiento)に服する。

 夫婦の一方がこれらの費用の決済に寄与する義務を履行しないときは、他方の申立てにより、裁判官は、その履行と必要な前払いを確保するために、または、将来の必要に備えるために、適当と判断する保全措置(medidas cautelares)を命じる。

 夫婦の一方が自己に十分な財物がない場合は、害意または無分別(temeridad)なしに他方配偶者に対して提起している訴訟、または、家族の利益のために第三者に対して提起している訴訟に(起因して)必要な費用は、共同財産の負担となる。共同財産がないときは、他方配偶者の経済状況が(豊かで)民事訴訟法の規定により当該一方が無償法律扶助(beneficio de justicia gratuita)を得られない場合、その他方配偶者の固有の財物の負担で捻出される。

1319

夫婦のどちらも、その土地の慣習と家族の状況に従がって、その者に託されている家族の通常必要費を手当することを目的とする行為をなすことができる。

 この権能の行使で負う事になった負債には、(夫婦)共同財物およびその負債を負う者の財物がそれに連帯して、また、他方配偶者の財物が補助的に、責任を負う。

 このような必要費を満足するために自己の財産を出捐した者は、その夫婦財産制に従がって回復する権利を得る。

1320

家族の住居および(家族が)通常利用する動産の権利を処分するためには、それらの権利が夫婦の一方のみに属していても、両方の、場合によっては、司法当局の同意が必要である。

 住居(の性質)に関する処分者の錯誤的または虚偽的表示は、善意の取得者を害しない。

1321

夫婦の一方が死亡したときは、夫婦共同住居の家具を構成している衣服、動産、諸道具は、(死亡者の)資産に計上されることなく、生存配偶者に引渡される。

 宝石、芸術品、歴史的物品およびその他の特に価値がある物は、家具の範疇には入らないものとみなされる。

1322

法律が管理または処分行為に夫婦の一方が他方の同意を得て行うように要求するときは、同意なしで実行された行為で、明示的または黙示的に追認されなかった行為は、同意を与えなかった配偶者またはその相続人の請求で取消すことができる。

 しかしながら、共同財物に関する無償名義での(管理・処分)行為は、他方配偶者の同意がない場合は、無効である。

1323

夫婦は、いかなる名義でも互いに財物と権利を移転し合うことができ、それら者の間でいかなる種類の契約も締結できる。

1324

夫婦間で特定の財物がその一方の所有物であることを証するためには、他方の自白(confesión)で充分である。但し、自己のみによるその自白は、自白者の必然相続人(*注:遺留分を持つ相続人)を害せず、また、共同財産または夫婦の各一方の債権者もしない。

2夫婦財産契約(capitulaciones matrimoniales)

1325

夫婦財産契約において、約定者は、その婚姻の財産制度を設定、修正もしくは取換えることができ、または、その財産制のためにいかなる他の規定も設定、修正もしくは取換えることができる。

1326

夫婦財産契約は、婚姻の前または後で取決めることができる。

1327

それを有効にするには、契約は公正証書(escritura pública)で証されなければならない。

1328

法律もしくは善良な慣習に反する条項または各配偶者に該当する権利の平等を制限する条項は無効である。

1329

法律に従がって婚姻できる親権開放されていない未成年者は、夫婦財産契約を締結できる。但し、(第6節)別産制(régimen de separación)または(第5節)収益分配制(régimen de participación)を取決めることに制限される場合を除き、その父母または後見人の協力(concurso)と同意を要する。

1330

裁判上の無能力者は、その父母、後見人または保佐人の援助を得てのみ夫婦財産契約を締結することができる。

1331

夫婦財産契約の修正が有効になるためには、その修正は、その契約に約定者(otorgantes)として介入した者が生存していて、かつ、その修正がそれらの者が譲許した権利に影響する場合、それらの者の援助と協力で実現されなければならない。

1332

前契約の修正協定(pactos modificaticos)の存在は、前の約定(estipulación)を包含する公正証書の中に注記でもって表示され、公証人は、それが発給する謄本でそれを証する。

1333

身分登録簿への婚姻の登録(欄)に約定された夫婦財産契約が場合によっては記載され、同様に夫婦財産制を修正する協定、裁判上の決定およびその他の事実も記載される。夫婦財産契約またはこれら(協定・裁決・事実)が不動産に影響する場合は、抵当法が規定する様式と目的で所有権登記簿に記載される。

1334

将来婚姻する仮定の下で夫婦財産契約において約定される事項全ては、1年以内に婚姻しない場合は、効力を有しない。

1335

夫婦財産契約の無効については契約の一般規定が適用される。取消しの効果は善意の第三者を害さない。

(第3節:婚姻を理由とする贈与)

1336

婚姻を考慮して夫婦の一方または両方の利益に婚姻締結前に何人かがなす贈与は、婚姻を理由とする贈与である。

1337

次数条によって修正されない間は、これらの贈与は通常の規則で規律される。

1338

法律に従って婚姻できる親権開放されていない未成年者は、夫婦財産契約の内で、または、その外で、その父母または後見人の承認を得て、その者の婚姻を理由とする贈与をなすことができる。この贈与を受けるためには、本法の第3編第2章の規定が適用される。

1339

夫婦に共同して贈与された財物は、贈与者が別段の定めをなしていない場合は、両者に通常の共有状態で、持分均等で属する。

1340

婚姻を理由として与える者または約束する者は、悪意で行為した場合は、追奪または隠れた瑕疵による担保責任のみを負う。

1341

婚姻を理由として将来配偶者は現存財物を(互いに)贈与することができる。

 同様に、財産契約において婚姻前に将来財物を、死亡の場合に対処してのみ、遺言相続に係る処分で示される様式で、贈与することができる。

1342

婚姻を理由とする贈与は、1年以内に婚姻しないと、効果を失う。

1343

これらの贈与は、子の生き残り(supervivencia)または後の出生(superveniencia)の場合を除いて、通常の原因(causas comunes)により撤回することができる。

 第三者がなした(負担付き?)贈与では、原因の如何にかかわらない婚姻の取消し、別居および離婚は、受贈者たる配偶者が判決によりそれらを引起した事実の責任を負わせられる場合、贈与に課し得たその他の特定負担を含めて、負担の不履行とみなされる。

 婚姻締結者がなした贈与では、婚姻の取消しは、受贈者が悪意で行動した場合は、特定負担の他に、負担の不履行とみなされる。受贈者が第855条の相続人廃除の事由に陥る場面(supuesto)、または、判決により別居または離婚の原因の責めを負わされる場面は、法定の場面の他に、忘恩行為とみなされる。

4取得財産共同体(sociedad de gananciales)

(第1款:総則)

1344

取得財産共同体を介して、夫婦のいずれかが(財物の帰属)不分明に取得した利益(ganancias)または収益(beneficios)は、夫婦にとって共同財産となり、共同体解散のとき半分ずつ分配される。

1345

取得財産共同体は、婚姻締結の時に、または、その後、夫婦財産契約の中で取決めた時に開始する。

(第2款:特有財産(bienes privativos)と共有財産(comunes)

1346

次の財物は、夫婦の各人の特有財産である:

①共同体開始時にその者に属していた財物と権利。

②その後無償名義で取得した財物と権利。

③特有財産の負担で、または、代替して取得した財物と権利。

④夫婦の一方のみに属していた買戻権により取得された財物と権利。

⑤一身専属の財産的財物と権利および生前は移転できない財物と権利。

⑥夫婦の一方の身体またはその特有財産に引起された損害の賠償。

⑦特別高価でない衣服および個人的に利用する物。

⑧職業または業務の遂行に必要な道具。但し、これらが共有の性格がある施設または機械設備の構成部分もしくは付属物である場合を除く。

 ④と⑧の財物は、それが共同の資金で取得された場合でも、その特有財産の性格を喪失しない。しかし、この場合は、(共同資金で)支払われた価額でもって、共同体が所有者である配偶者の債権者となる。

1347

次の財物は、(共同)取得財産である:

①夫婦のどちらでもその労働または技能(industria)により取得された財産。

②特有財産および取得財産が生む果実、収益および利息。

③共同財産の負担で有償取得された財産。共同財産のために取得されたか、夫婦の一方のみのために取得されたかを問わない。

④(共同)取得財産の性格がある買戻し権により取得された財産。特有資金でなされた場合も該当するが、この場合は、共同体は(特有資金で)支払われた価額でその配偶者の債務者となる。

⑤取得財産共同体が有効な間に夫婦のいずれかが共同財産の費用で設立した事業(empresas)および施設。事業または施設の成立に特有資本と共同資本が集中される場合は、第1354条の規定が適用される。

1348

ある確定年数にわたり支払われる金額または債権が夫婦の一方に特有的に属しているときは、婚姻中に期限が到来して取立てられる総額(sumas)は(共同)取得財産ではなく、債権が所属する者に従って、夫婦の一方または他方の資本(capital)と推定される。

1349

夫婦の一方に属する用益権または年賦金(pensión)の権利はその者自身の財物の一部を構成する。但し、婚姻中に得られた果実、定期金または利息は(共同)取得財産である。

1350

夫婦の各人が特有財産として持寄った家畜の頭数を共同体解消の時に超えている家畜の頭数は取得財産とみなされる。

1351

夫婦のいずれかが賭博(juego)で取得した収益またはその他の返還を免除する事由に起因する収益は、取得財産共同体に属する。

1352

特有財産の資格(titularidad)の帰結として申込まれた新株、他の証券または会社持分は、また、特有財産である。申込み権の譲渡により取得された金額も同様である。

 申し込みの支払のために共同資金が利用された場合、または、株式が(共同)収益の費用で発行された場合は、支払われた価値が(共同体に)償還される。

1353

夫婦両方に持分の特別の指定なく贈与された財物、または、(同様に)遺言で残された財物は、贈与を両人が受入れ、かつ、贈与者もしくは遺言者が別段の定めをしていなかったときは、(取得財産)共同体が存続する間、(共同)取得財産とみなされる。

1354

一部は(共同)取得財産での、一部は特有財産での対価(precio)または反対給付によって取得された財物は、取得財産共同体と配偶者にそれぞれの持寄り財産の価額に比例して共有となる。

1355

夫婦は、対価または反対給付の出所および弁済方式と期限がいかなるものであろうと、共同の合意により婚姻中に有償で取得した財物に(共同)取得財産の地位を付与できる。

 取得が共同で割合の付与なしになされた場合は、その意思は、それらの財物の(共同)取得財産的性格に有利に推定される。

1356

共同体が存続していて、夫婦の一方が分割払いにより取得した財物は、最初の支払が取得財産の性格を有していた場合は、残りの期間分が特有金銭で支払われるとしても、(共同)取得財産の性質を得る。最初の支払が特有財産の性格を有していた場合は、その財物はその性質を持つ。

1357

共同体の開始前に夫婦の一方が分割払いで購入した財物は、分割払いの対価の全部または一部が(共同)取得財産の金銭で弁済されるとしても、常に特有財産の性格を得る。

 住居と家庭の家具は除かれ、これらについては第1354条が適用される。

1358

取得資金の出所に関係なく本法に従がって財物が特有財産または(共同)取得財産とされるときは、それぞれ共通財産または固有財産の負担で支払われた価額は、(共同体)清算時に現在化(actualizado)して得られるその総額を組み入れる方法で、(各々に)返還されなければならない。

1359

(共同)取得財産および特有財産中に実現される建築物、植栽およびその他の改良は、支払われた価額の返還は別として、それらが影響を与える財物に対応する性格を得る。

 しかしながら、特有財産になされた改良が共同資金または夫婦のどちらでもその活動に依拠する場合、共同体の解消または改良された(特有)財物の譲渡のときに、共同体が改良の結果として財物が得る増加価値の債権者となる。

1360

前条の規定は、機械設備、商業施設または他の種類の事業(empresa)に一体化される財産の増加分に適用される。

1361

婚姻中に存在する財物は、夫婦の一方に個人的に属していないと証明されない間は、(共同)取得財産と推定される。

(第3款:取得財産共同体の負担と義務)

1362

次の事由のいずれかによって生じる費用は取得財産共同体の負担とする:

①家庭の維持、共通の子の扶養と教育および家庭の慣習と状況に適合した予防的仕事(atenciones de previsión)

  夫婦の一方のみの子の扶養と教育は、家族的家庭で共同生活するときは、取得財産共同体の負担となる。反対の場合は、これらの概念から派生する費用は取得財産共同体により出捐されるが、(協同体)清算のときに回復される。

②共同財物の取得、所持と享有。

③夫婦の特有財産の通常の管理。

④事業の尋常な開拓、または、各人の職業、技術もしくは業務の遂行。

1363

夫婦が共同の合意で贈与したまたは約束した額は、夫婦の一方の特有財産で全部または一部を弁済すべきと約定していないときは、また、共同体の負担とする。

1364

共同体が負担する費用または弁済のために、特有財産を拠出した配偶者は、共同財産の負担でその価額を回復する権利を得る。

1365

(共同)取得財産は、次の場合、夫婦の一方が締結した負債の債権者に直接責任がある:

①法律または契約によりその者に該当する家長権(potestad doméstica)の行使または(共同)取得財産の管理もしくは処分の行使において。

②職業、技術もしくは業務の通常の行使において、または、自己の財物の通常管理において。夫婦の一方が商人であると、商法の規定が適用される。

1366

夫婦財産共同体の利益での、または、財物の管理の範囲内の、その者の行為の結果である夫婦の一方の契約外債務は、債務者である配偶者の詐欺または重過失に起因した場合を除いて、夫婦財産共同体の責任および負担となる。

1367

(共同)取得財産は、いずれにしても、夫婦が共同で、または、一方が他方の明示の同意を得て、締結した債務について責任を負う。

1368

(共同)取得財産は、また、事実上の別居をしている夫婦の一方が、取得財産共同体が負担する子の維持、保護と教育の費用に当てるために、締結した債務について責任を負う。

1369

共同体の債務でもある夫婦一方の債務に、その共同体の財物は、また、連帯して責任を負う。

1370

夫婦の一方が他方の同意を得ないで取得した(共同)取得財産の分割支払金に対して、その取得された財物は、本法の規則に従う他の財物の責任は別として、常に責任を負う。

1371

婚姻中に夫婦のどちらかが種類を問わず賭博で喪失・弁済したものは、その喪失額が家庭の慣習と状況に応じて緩和されると考えられるときは、取得財産のその者の対応部分を減少させない。

1372

勝ったものを請求するための訴権を法律が譲許するところの(つまり、合法な)賭博で夫婦のどちらかが負けて弁済していないものは、排他的に債務者の特有財産が責任を負う。

1373

各配偶者は、自己の債務に自己の財産でもって責任を負う。そして、自己の特有財産では債務を弁済するに充分ではない場合は、債権者は(共同)取得財産の差押えを請求でき、差押えは他方配偶者に速やかに通知される。この他方配偶者は、差押えにおいて夫婦財産共同体中に債務者である配偶者が有する持分でもって共同財物に代わるよう請求できる。この場合、差押えは夫婦財産共同体の解消をもたらす。

 共同財物の上に強制執行がなされる場合、債務者である配偶者は、自己の他の財産でもってそれらを支払うときのそれら共同財物の価値、または、夫婦財産共同体解消時のそれら共同財物の価値を、自己持分の負担で受領したものとみなされる。

1374

前条の(共同体)解消の後では、3ヵ月以内に債務者の配偶者が公署証書で新たな取得財産共同体の開始を選択する場合を除いて、財物の別産制が適用される。

(第4款:取得財産共同体の管理)

1375

婚姻財産契約で約定がない場合、(共同)取得財産の管理と処分は、次条以下で決定されることは別として、夫婦が共同してする。

1376

管理行為の実行において夫婦の合意が必要な場合で、一方が合意を提供できないか、または、不当にそれを拒否しているときは、請求がある場合は、裁判官がそれを補充できる。

1377

(共同)取得財産の有償処分をなすためには、夫婦の合意が要求される。

 一方が合意を拒否した場合、または、合意提供が妨げられている場合は、裁判官は、家庭の利益となると判断するときは、事前に簡略な通知をして(previa información sumaria)一または複数の処分行為を許可する。例外的に、適当と評価する制限または予防措置を承認する。

1378

無償での処分行為は、夫婦の合意がない場合は、無効である。しかしながら、各人は、使わなくなった(共同)取得財産は無償処分できる。

1379

夫婦の各人は、(共同)取得財産の半分を遺言で処分できる。

1380

ある(共同)取得財物の遺言処分は、その財物が遺言者の遺産に取り込まれた場合、その全効果を生じる。

1381

特有財産の果実と収益および夫婦のどちらでもその所得は取得財産共同体の資産を構成し、その共同体の負担と責任に服する。しかしながら、夫婦の各人は、自己の特有財産の管理者として、この(管理)目的のためにのみ、自己の財物の果実と生産物を処分できる。

1382

夫婦の各人は、他方の同意なしに、しかし、その者が知っていることを条件として、その者に必要な取得財産の現金(numerario ganancial)を、家庭の慣習と状況に従って、自己の職業の行使または自己財物の通常管理のために、前払いとして受け取ることができる。

1383

夫婦は互いにかつ定期的に自己の経済活動の状況と収益について知らせ合わなければならない。

1384

配偶者が実施した、自己の名が付された、または、その支配下にある財物の管理行為は有効であり、また、自己の名が付された、または、その支配下にある金銭または有価証券の処分行為は、有効である。

1385

債権の権利は、その性質がいかなるものであろうと、(権利が)その名で設定されているところの夫婦の一方により行使される。

 夫婦のいずれも訴え(acción)または抗弁(excepción)を介して共同の財物と権利を保全することができる。

1386

必要かつ緊急な支出をなすには、異常な支出であるときでも、夫婦の一方のみの同意で足りる。

1387

取得財産共同体の財物の管理と処分は、法律上当然に、その配偶者の後見人または法定代理人である配偶者に移行する。

1388

裁判所は、管理権能を、夫婦の他方が同意を与えることができない状況にあるときもしくは家庭を遺棄したとき、または、事実上の別居状態のとき、一方のみに付与することができる。

1389

2条の規定(の効力)により管理をすることになる配偶者は、裁判官が家庭の利益を考慮し、また、事前に簡略な通知をして(previa información sumaria)予防または制限措置を設定する場合を除き、そのための完全な権能を得る。

 いずれにしても、不動産、商業施設、高価品または有価証券について処分行為をなすためには、(株式)優先申込権を除いて、裁判所の許可を要す。

1390

夫婦の一方がなした管理行為または処分行為の結果として、その者が排他的に自己に収益または利潤を得た場合、または、共同体に詐欺的に損害を与えた場合は、その者は、その行為の効果が望ましい(proceder)ときで他方が異議申立てしなくとも、共同体に対してその総額で債務者となる。

1391

配偶者が、その他方配偶者の権利を欺いてある行為をなしたときは、いずれにしても、前条の規定が適用される。さらに、取得者が悪意で行為した場合は、その行為は取消すことができる。

(第5款:所得財産共同体の解消と清算)

1392

所得財産共同体は次の場合完全に終了する:

①婚姻が解消するとき。

②(婚姻が)無効と宣告される(declarado)とき。

③夫婦の別居が裁判上決定されるとき。

④夫婦が本法で規定される方式で異なる夫婦財産制を協定するとき。

1393

所得財産共同体は、また、夫婦の一方の請求で、裁判上の決定により次の場合終了する:

①他方配偶者が裁判上の無能力者であった、浪費者、失踪者もしくは破産状態にあると裁判上決定された、または、家庭の遺棄により刑に処せられた。

  裁判官が解消を決定するには、請求配偶者が該当する決定書を提出するだけで足りる。

②他方配偶者が自己のみで、詐欺、損害もしくは危険を内包している処分行為または財産管理行為を、共同体における他方配偶者の権利のために実行している。

③互いの合意によりまたは家庭の遺棄により1年以上事実上別居している。

④自己の経済活動の状況と収益について教示する義務を繰返し履行しない。

 (共同財産の)夫婦の一方の部分の自己の債務による差押えに起因する共同体解消に関しては本法の特別規定が適用される。

1394

前条の規定の解消の効果は、(裁判官の)決定の日から生じる。解消事由の競合について訴訟が提起され(seguirse)、訴訟手続が開始したら、棚卸が実行される。また、裁判官は、通常の管理を超える行為には裁判所の許可が要求されるので、財産の管理のために必要な措置を適用する。

1395

所得財産共同体が婚姻の無効で解消され、また、夫婦の一方が悪意であると宣告された(declarado)ときは、他方は本款の規定に従って夫婦財産制の清算か収益分配制に係る処分かを選択でき、また、悪意の婚姻締結者は、その配偶者が取得した収益に参加する権利を有しない。

1396

共同体が解消されたら、その清算に移行する。清算は共同体の資産と負債の棚卸しをして開始する。

1397

次のものは資産に含まれる:

①解消時に存在する(共同)取得財産。

②不法または詐欺的取引により譲渡された財物が回復されなかった場合で、その財物が譲渡時に有していた価値の現在化額、

③共同体が弁済した、夫婦一方のみの負担であった価額の現在化額、および、一般にその者に対して共同体が債権者である価額の現在化額。

1398

共同体の負債は次の項目にまとめられる:

①共同体の負担である未決済の負債。

②特有財産が共同体の利益に費消されて金銭で回復されなければならないときの(費消された)特有財産の価額の現在化額。

  同様な規則が、共同体の利益に使用することで当該財物に生じた損害に適用される。

③夫婦の一方のみが弁済した、共同体の負担であった数額の現在化額、一般に、共同体に対して夫婦が債権者である価額の現在化額。

1399

棚卸が終了したら、いずれにしても優先権のある扶養料から始めて、最初に共同体の負債が弁済される。

 その他のものに関しては、棚卸財産がそれに及ばない場合は、債権の競合と優先についての規定が適用される。

1400

債務の弁済に充分な金銭がないときは、(共同)取得財産の分与(adjudicaciones)をその弁済目的ですることができる。しかし、いかなる当事者または債権者もが(その分与を)願う場合は、それらを譲渡し、その価額で弁済することとなる。

1401

共同体の負債全部が弁済されない間は、債権者は債務者であるところの配偶者に対して自己の債権を保持する。債務者でない配偶者は、適法に裁判上または裁判外の棚卸がなされた場合は、自己に分与された財物で責任を負う。

 これの結果として夫婦の一方が、自己に課されるべき額より多く弁済した場合は、他方に対して求償する(repetir)ことができる。

1402

取得財産共同体の債権者は、遺産の分割・清算において法律が認めるものと同じ権利をその(共同体)清算において得る。

1403

共同体の債務と負担が弁済されたら、(共同体が)夫婦の各人に負っている賠償(金)と払い戻し(金)が、配偶者が共同体の債務者であるときは相殺されて、棚卸財産の範囲で支払われる。

1404

前数条が規定する棚卸財産についての(各種)控除がなされたら、残余は取得財産共同体の(純)資産を形成する。これは夫婦間またはその各々の相続人間で半分に分けられる。

1405

夫婦の一方が清算時に他方の債権者であった場合は、債務者が任意に弁済する場合を除いて、共同財産の分与で自己の債権を満足するように請求することができる。

1406

夫婦の各人は、(次の財物を)自己の取分資産(haber)に、これが及ぶ範囲で、優先して含める権利を有する:

①第1346条⑦に含まれていない個人的利用の財物。

②その者が実効的に管理している経済設備。

③自己の職業を実施してきた区画(local)

④他方の死亡の場合は常居所があった住居。

1407

前条の③と④の場合は、その配偶者は、自己の選択で、それらの財物を自己の所有物に帰させるか、または、それらの上に自己の利益に使用権または居住権を設定させるか請求することができる。それらの財物または権利の価値が取得者たる配偶者の取分資産(haber)の価値を超過する場合は、差額を金銭で支払わなければならない。

1408

棚卸財産の清算がなされている間、および、取分資産が引渡されるまで、共有財物から扶養料が夫婦に、場合によっては、生存配偶者と子に与えられる。しかし、果実および収益に関してはその者に対応した扶養料を超過して付与された部分は(その者の)取分資産から減ぜられる。

1409

もし、同一人が締結した2つ以上の婚姻の取得財産共同体の清算を、各共同体の資本を決定するために、同時に行わなければならない場合は、棚卸がないときはあらゆる種類の証拠が許容される。疑義がある場合は、(共同)取得財産は、各共同体の継続時間およびそれぞれの配偶者の財物と収入に留意して、異なる共同体に比例的に分配される。

1410

棚卸の形成、財物の評価と売却についての規則、財産の分割、共有者への分与および明示的に決定されていないその他の事項に関して本節が規定していない事項には、遺産の分割と清算についての規定が適用される。

収益分配制(régimen de participación)

1411

収益分配制では、夫婦の各人は、当該制度が有効であった期間中にその配偶者が取得した収益に参加する権利を取得する。

1412

婚姻締結の時にその者に属していた財物およびその後なんらかの名義で取得できる財物の管理、享有および自由処分は(取得する)各配偶者に対応する。

1413

本節に規定されていない事項には、収益分配制の有効な間は、別産制に係る規則が適用される。

1414

収益分配制の夫婦が共同してある財物または権利を取得する場合は、それは通常の共有で夫婦に属する。

1415

取得財産共同体について(その消滅が)予定されているケースでは、第1394条と第1395条の規定が適用されて、収益分配制は消滅する。

1416

夫婦の一方は、他方の不正規な管理でその利益がひどく危うくなるときは、収益分配制の終了を請求できる。

1417

終了したら、各配偶者の初期と最後の財産間の差額でもって収益が決定される。

1418

各配偶者の初期財産は次のもので形成されたと評価される:

①収益分配制開始の時にその者に属していた財物と権利によって。

②その後、相続、贈与または遺贈名義で取得された財物と権利によって。

1419

収益分配制開始時、配偶者の債務は、場合によっては、相続または遺贈の財物を超えない範囲で承継的債務または贈与もしくは遺贈に付加している負担は、控除される。

1420

消極財産が積極財産より大きい場合は、初期の財産は存在しない。

1421

初期財産を構成する財物は、収益分配制が開始した時に、または、場合よっては、取得された時に、その財物が有していた状態と価値に従って評価される。

 評価の額は、収益分配制が止んだ日に現在化されなければならない。

1422

各配偶者の最終の財産は、その者が収益分配制終了の時に名義人であった財物と権利から未弁済債務を控除して、形成される。

1423

最終財産には、慣習的贈与(liberalidades de uso*注:レストランでのチップみたいなもの)の場合を除いて、夫婦の一方が他方の同意なしに無償で処分した財物の価額が含まれる。

1424

同じ規則が、夫婦の一方が他方を欺いて行った行為について適用される。

1425

最終財産を構成する財物は、収益分配制終了時に財物が有していた状態と価値に従って評価される。また、無償または詐欺的に譲渡された財物は、譲渡の日に有していた状態に従い、終了日まで保有されていたとした場合の価値により評価される。

1426

夫婦の一方が他方に対して有する債権は、いかなる名義であっても、前者の債務を手当てまたは履行したことによるものを含めて、債権者である配偶者の最終財産に計算され、債務者である配偶者の財産から控除される。

1427

配偶者各人の最終財産と初期財産の間の差額がプラスの結果となるときは、増加額が少ない配偶者は、自己の増加分と他方の増加分の間の差額の半分を受領する。

1428

一方のみがプラスの結果となるときは、分配の権利は、その(プラス)財産の名義人でない配偶者のために、その増加の半分において継続する。

1429

収益分配制を設定する時、前2条が規定する分配(方法)と異なる分配(方法)を約定することができる。但し、その分配(方法)は、両方の財産について等しくかつ同じ割合で、また、配偶者両方の(利益の)ためでなければならない。

1430

共通でない卑属が存する場合は、半分ではない分配(方法)は約定できない。

1431

分配債権(credito de participación)は金銭で弁済されなければならない。速やかな弁済が困難な場合は、裁判官は期限を、3年を超えない範囲で、かつ、債務とその法定利息が十分に担保される条件の下で、延長することができる。

1432

分配債権は、利害関係人の同意により、または、債務者の請求で裁判官がそれを譲許した場合は、具体的財物の分与により弁済することができる。

1433

収益分配権を有効にするための財物が債務者の財産中にない場合は、債権者たる配偶者は、その同意なしに無償でなされた譲渡およびその権利を欺いてなされた譲渡を取消す(impugnar)ことができる。

1434

前条に係る取消し権は、収益分配制消滅から2年で失効し、また、有償かつ善意の取得者に対しては適用されない。

4別産制(régimen de separación)

1435

(次の場合)夫婦の間に別産制が存在する:

①そのように協定したとき。

②夫婦が、それらの者の財物を律すべき規則を示さないで、夫婦財産契約中で取得財産共同体は夫婦間で適用されないと協定したとき。

③婚姻継続中に取得財産共同体または収益分配制が消滅するとき。但し、当事者の意思で他の異なる制度で代替された場合は除かれる。

1436

別産制の訴え(demanda de separación de bienes))およびそれを宣告した確定判決は、不動産上になされた場合は、該当する所有権登記簿に、各々、注記または登記されなければならない。確定判決は身分登録簿にも注記される。

1437

別産制では、その開始時に各配偶者が有していた財物およびその後なんらかの名義で取得した財物はその(取得)者に帰属する。同様に、それらの財物の管理、享有と自由処分は各人に帰属する。

1438

夫婦は婚姻費用の負担に寄与する。協定がない場合は、それぞれの経済的資源に比例して寄与する。家事労働は負担への寄与と数えられ、また、別産制消滅時に合意がないと裁判官が指示する補償を得る権利を与える。

1439

夫婦の一方が他方の財物または利息を管理していた場合は、その者は、受任者と同じ義務と責任を負う。しかし、収受・消費した果実の計算を提出する義務は、婚姻費用の弁済(levantamiento)とは別の目的に投入したと証されるときを除いて、負わない。

1440

各配偶者が締結した債務はその者の排他的な責任である。

 通常の家長権(potestad doméstica)の行使で締結された債務については夫婦の両方が本法の第1319条と第1438条に規定される方式で責任を負う。

1441

ある財物または権利が夫婦のどちらに属するか証明することができないときは、それは両者に半分づつ帰属する。

1442

ある配偶者が破産宣告されたら、他方配偶者が宣告前1年以内または破産の遡及効が及ぶ期間中に有償で取得した財物は、反対の証明がないと、債権者の利益に破産配偶者が半分贈与したものと推定される。この推定は、夫婦が裁判上または事実上別居している場合は、効力がない。

1443

(判決で)宣告された別産制は、別居している夫婦の和解によって、または、別産制を引起したその他の何らかの事由の消滅によって、変更されない。

1444

前条の規定に係わらず、夫婦は、別産制以前と同じ規則が再び効力を持つように夫婦財産契約において合意することができる。

 各人が新に持寄る財物は夫婦財産契約において証され、それら財物は、別産制の事由により実施される清算の前に収益の性格をその全部または一部で持っていたとしても、特有財産とみなされる。

 

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