(スペイン民法)                 元司法書士 古閑次郎

(平成27年3月見直し修正)

第4編 第4章:売買契約

(第1節:本契約の性質と方式)

1445

売買契約により、契約者の一方は、ある特定物を引渡す義務を負い、他方は、金銭または金銭を表象するもので、その物のために確かな対価(precio cierto)を支払う義務を負う。

1446

売却の対価が一部金銭と一部他の財物で構成されている場合は、その契約は、当事者の表明した意思により評価される。この意思が証されないと、対価の一部として給付された財物の価値が金銭またはその同等物の価値を越える場合は、交換とみなされる。また、逆の場合は、売買とみなされる。

1447

対価が確かな(cierto)とみなされるためには、他の確かな物に参照して確かであれば足りる。または、その(対価の)指示(señalamiento)を特定の者の裁定にまかせれば足りる。

 この者が指示できない、または、指示したくない場合は、契約は効力を生じない。

1448

有価証券、穀類、流動物およびその他の消費物の売却では、その売却物が特定の日、取引所または市場で有していた対価が示されるとき、対価は確かであるとみなされ、または、確かであると言う条件で、その日、取引所または市場の対価より高いもしくは低い対価が定められるときは、対価は確かであるとみなされる。

1449

対価の指示を、当事者の一方の裁量に委ねることはできない。

1450

契約の目的物と対価について協定した場合は、物や対価が引渡されていなくとも、売買は買主と売主の間で完成され、両者に義務を負わせる。

1451

売るまたは買う約束は、物と対価において一致すると、契約当事者に互いに契約履行を請求する権利を付与する。

 売買の約束を履行できないときは、売主と買主について、場合に応じて、本編での債務関係と契約についての規定が効力を有する。

1452

契約が完全となった後での売却物の損害または利益は第1096条と第1182条の規定により調整される。

 この規則は、消費物の個別に単一の対価でなされる売買に、または、その重さ、数もしくは量目を考慮しないでなされる売買に適用される。

 消費物が、重量、数または量目に関連して決められた対価により売却された場合で、買主が遅延に陥っていないときは、計量または計数がなされるまでは買主に危険は負わせられない。

1453

売却物の試用のためになされた売買、および、受領前に試味または試用する習慣がある物の売買は、停止条件付きでなされたものと推定される。

1454

売買契約に手付金が介入している場合は、買主は手付金を失うことを、または、売主は手付金の倍額を返還することを認諾して、契約を解除することができる。

1455

別段の約定がない場合は、(売買契約)公正証書(esrituras)作成の費用は売主の負担であり、正本の費用と売却後のその他の費用は買主の負担である。

1456

公用収容の事由による強制譲渡については特別法の規定が適用される。

(第2節:売買の行為能力(capacidad)

1457

本法が債務の負担を許す者全ては、次条以下の修正事項を除き、売買契約を締結できる。

1458

夫婦は相互に財物を売ることができる。

1459

(次の者は)公売または裁判所の競売であっても、自己またはある介入者によって売買で(次の物を)取得することはできない:

①後見に従事している者が、その監護または保護下にある者の財物を。

②受任者が、その者の管理または譲渡に委ねられた財物を。

③遺言執行者が、その責任に委ねられた財物を。

④公務員が、その者の管理に委ねられた国、市町村および公共施設の財物を。

⑤司法官(Magistrados)、裁判官、検察庁の職員、裁判所書記官および法務省職員が、自己の権能を行使する管轄または領域で裁判所に提起された訴訟にかかる財物と権利を。この禁止は譲渡(cesión)による取得行為に拡張される。

 この規則から、共同相続人間の相続請求権(acciones heredatarias)、債権弁済での譲渡または所持財物の担保(garantía)に係わる場合は除かれる。

 ⑤の禁止には弁護士(Abogados)と訴訟代理人(Procuradores)が、その職務・業務で介入する訴訟の目的である財物と権利に関して、含まれる

(第3節:売却物喪失のときの売買契約の効果)

1460

売買成立時に、その目的物が完全に喪失していた場合は、契約は効果がない。

 しかし、部分的に喪失していた場合は、買主は、契約を断念するか、残った部分を約定した全部に比例した対価を支払って請求するか、選択できる。

(第4節:売主の責任)                 

(第1款:総則)

1461

売主は、売買の目的物の引渡しと(瑕疵)担保(saneamiento)の責任を負う。

(第2款:売却物の引渡し)

1462

買主の支配と占有下に置かれたとき売却物は引渡されたものとみなされる。

  公正証書を介して売買がなされるときは、この公正証書の作成は契約目的物の引渡しと同等である。但し、その公正証書(の内容から)その結果とならない場合、または、別段のことが明白に推定される場合は、この限りではない。

1463

前条が規定する場合の他に、動産の引渡しは(次の行為で)実行される;貯蔵または保管されている場所の鍵の引渡しによって、また、売却物を売却時に買主の支配下に移すことができない場合または買主が他の手段で既にその支配下に置いている場合は、契約当事者の合意のみによって。

1464

無体物に関しては第1462条の第2段目の規定が適用される。当該規定が適用できない場合では、所有名義を買手の支配下に置く事実が、または、売主の同意による買主のその権利の使用が、引渡しとみなされる。

1465

特約がある場合を除いて、売却物の引渡し費用は売主の負担であり、運搬・移転費用は買主の負担である。

1466

売主は、買主が対価を支払わない場合、または、契約に支払い期限が指定されてない場合は、売却物を引渡す義務はない。

1467

売主は、支払いについて延長または期限で協定されていたとき、売買の後で買主が破産状態で売主がその対価を失う緊急の危険を被ると判明する場合は、売却物を引渡す義務はない。

 買主が協定された期間内に支払うことを保証する場合はこの規則から外れる。

1468

売主は、売却物を、契約成立時にあった状態で、引渡さなければならない。

 果実は全て、契約成立日から買主に属する。

1469

売却物の引渡し義務には、次の規則により、契約に表示される全てのものを買主の支配下に置く義務を含む:

 不動産の売買が、その面積が表示され、測定または数量の単位による対価の割合でなされた場合は、売主は、買主が要求する場合は、買主に契約で表示されたもの全部を引渡さなければならない。しかし、これが不可能である場合は、買主は、対価の比例的減少か契約の解除を選択できる。解除は、その不動産に帰せられる面積の減少が1/10を下回らないときに限られる。

 面積が同じであっても、ある部分が契約に表示されている品質でない場合は、同じこととなる。

 この場合、解除は、売却物の減少価値が約定対価の1/10を超えるときは、買主の意思のみで生じる。

1470

前条の場合、不動産の面積が契約で表示されたものより大きい場合で、大きい部分がその契約で表示された面積の1/20を超えないときは、買主は対価の超過部分を支払う義務を負う。しかし、1/20を超える場合は、買主は、不動産の増加価値を満足させるか、契約を断念するか選択することができる。

1471

不動産の売買が、総額(precio alzado)により、かつ、測定または数量の単位の割合でなく、なされた場合は、面積が契約で表示されたものより異なっているとしても、対価の増減は生じない。

 このことは、2以上の不動産がひとつの対価で売却されたときも、生じる。しかし、不動産の譲渡において不可欠な境界が表示されている他に、その面積が契約に指定されている場合は、売主は、その境界内に含まれる全てのものを、契約に表示されている面積を超過しているときでも、引渡す義務を負う。また、引渡しができない場合は(*注:例えば、他人の不動産がその境界内にあって)、売主は、買主が約定物の引渡しがされないことを甘受しなくて契約を取消さない限り、面積不足に比例した対価の減少を蒙る。

1472

3条から生じる請求権は、引渡しの日から数えて6月で消滅時効にかかる。

1473

同じ物が異なる(複数の)買主に売却されたときは、動産の場合は、所有権は善意で最初に占有を得た者に移転する。

  不動産の場合は、所有権は(所有権)登記簿に先に登記を得た取得者に属する。

  登記がない場合は、所有権は善意で最初に占有を得た者に属し、これがない場合は、善意を条件として、より以前の日付の権原証書を提出する者に属する。

3:(瑕疵担保責任(saneamiento)

1474

1461条に関する(瑕疵)担保の効力として、売主は買主に(次のことに)責任を負う:

①売却物の適法かつ平穏な占有に。

②その物が有する、隠れた疵(vicios)または欠陥(defectos)に。

(追奪(evicción)の場合の担保責任)

1475

確定判決により、また、購入前の(*他人の)権利の効力により、買主が買った物全部または一部を剥奪されたときは、追奪(担保)責任が生じる。

 売主は、契約に表示されていなくとも、追奪(担保)責任を負う。

 契約当事者は、しかしながら、売主のこの法定義務を増加、減少または消滅させることができる。

1476

売主側に悪意があったときは、追奪(担保)責任を負うことを売主に免除する約定は無効である。

1477

買主が追奪の場合の担保の権利を放棄していたとき、追奪が起こったら、売主は、追奪時に売却物が有していた対価のみを引渡さなければならない。但し、買主が追奪の危険を知ってかつその結果に服してその放棄をなした場合はその限りではない。

1478

(追奪)担保が約定されているとき、または、この点についてなにも約定されていないときに、追奪が行われた場合は、買主は売主に(次のことを)要求する権利を得る:

①追奪の時に売却物が有していた対価の返還。たとえ、売買価額より多額または少額であったとしても。

②果実または収益。裁判で(買主に)勝訴した者にそれらの引渡しが判決された場合。

③追奪の原因となった訴訟の費用、また、場合によっては、追奪(担保責任)追及のために売主との引続く訴訟の費用。

④買主が支払った場合は、契約の費用。

⑤悪意で売却した場合は、損害賠償、利息および約定費用または単純な付随費用。

1479

追奪により、買主が売却物の一部を喪失した場合、これがないと購入しなかったであろうと言えるほど重要であるときは、契約の解除を請求できる。しかし、その物を、取得時にその物が有していたもの以上の負担なしで、返還する義務を負う。

 2つ以上の物を一緒に総額でまたは各個に固有な対価で売買されたときも、買主が他物がないと一方の物を買わなかったであろうことが明白に証されると、同様である。

1480

買主は、(追奪)担保を、取得物の全部または一部を喪失させる判決が(買主に)確定するまでは、請求できない。

1481

売主は、追奪訴訟が買主の申立で売主に通知されたと証明される場合、対応する担保責任を負う。通知がない場合は、売主は担保責任を負わない。

1482

訴えられた買主は、民事訴訟法が応訴に指定する期間内に、その訴えを売主に可及的速やかに通知するように申立てる。

 通知は、同法が被告を召喚するために規定する方法でなされる。

 買主について訴えへの応答期間は、売主に出頭および訴えに応答するために指定される期間(これは全ての訴えについて民事訴訟法が決定するのと同じ期間であり、本条の第1段が規定する通知から数える)が経過しない間は、中断する。

追奪で召喚された者が期日にしかるべく出頭しない場合は、買主に関しては、訴えに応答する期間は継続する。

1483

売却不動産に或る負担または隠れた地役権が、公正証書に記載なく、買主がそれを知っていたら取得しなかったであろうと推定されるべき性質で、課されている場合は、買主は、対応する補償を望まないときは、契約の解除を請求できる。

 公正証書作成から数えて1年以内は、買主は解除権の行使または補償の請求ができる。

 1年経過すると、負担または地役権を発見した日から数えて同じ期間内(1年)に補償のみを請求できる。

1484

売主は、売却物の隠れた瑕疵がその物を本来の利用に適しないようにさせる場合、または、買主が瑕疵を知っていたら取得しなかったように、もしくは、対価を減額したように、その利用価値を減じる場合は、その瑕疵担保責任を負う。但し、(すでに)現れていた瑕疵または一目瞭然の瑕疵については責めを負わず、また、買主が専門家で、その職業または業務上容易に瑕疵を知るべき場合は、責めを負わない。

1485

売主は、知らなかったとしても、買主に対して売却物の隠れた瑕疵または欠陥による担保責任を負う。

 この規定は、反対の約定があり、かつ、売主が売却物の隠れた瑕疵または欠陥を知らなかった場合は、適用されない。

1486

2条の場合、買主は契約を、支払った費用を戻させて、断念するか、鑑定人の判断により対価を比例的に減額するか選択することができる。

 売主が売却物の隠れた瑕疵または欠陥を知っていて、買主に示さなかった場合は、買主は同様な選択権を得て、更に、解除を選択した場合、損害賠償を受ける。

1487

売却物が隠れた瑕疵により喪失した場合、売主がその瑕疵を知っていると、売主はその喪失を被り、対価を返還しなければならない、また、損害賠償と共に契約費用を支払わなければならない。知らなかった場合は、対価を返還し、買主が支払った契約費用を支払わなければならない。

1488

売却物が売買時に隠れた瑕疵を持っていて、その後、偶然の事由または買主の過失により喪失する場合は、買主は、喪失時のその物の価値を減額して売主に支払った対価を請求できる。

 売主が悪意で行為した場合は、買主に損害賠償と利息を支払わなければならない。

1489

裁判上の売却では損害賠償責任は発生しない。但し、前数条に定められている事項は全て生じる。

1490

5箇条の規定で生じる請求権は、売却物の引渡しから数えて6月で消滅する。

1491

2頭以上の動物を一緒に、総額で、または、各頭に対価を指定して売買するとき、各頭の解除原因となる瑕疵は、単にその動物の売買の解除のみを生じさせ、買主が瑕疵のない健康な動物を買わなかったと見えない場合は、他の動物の解除とはならない。

 このことは、2頭立て、3頭立て、一対または一組で買われるときは、それを構成する各動物に別々の対価が指定されていても、推定される。

1492

動物の売買に係る前条の規定は他の物の売買に同じく適用される。

1493

次条で規定される場合を除いて、動物および家畜の隠れた瑕疵による担保(責任)は、市場または公売でなされた売買、また、廃物として譲渡された馬の売買では発生しない。

1494

流行性疾病に罹患している家畜および動物は売買契約の目的とはならない。これらに関してなされたいかなる契約も無効である。

 家畜および動物の売買契約は、その契約にそれらが提供する役務または利用が表示されていて、それが提供できない結果となった場合は、同じく無効である。

1495

動物の隠れた瑕疵が、その発見するために専門家による知見をもっても足りない性質のものであるときは、専門家の検査がなされたとしても、解除可能な瑕疵とみなされる。

 しかし、専門家(profesor)が不知または悪意で発見または表示しない場合は、その者は損害賠償の責任を負う。

1496

動物の瑕疵または欠陥に基く解除訴権は、各地方の慣習により期間の長短が規定されている場合を除いて、買主への引渡しの日から数えて40日以内に提起されなければならない。

 動物の売買でのこの訴権は、法律または土地の慣習が決める瑕疵と欠陥に関してのみ行使することができる。

1497

動物が購入から3日で死亡した場合、専門家の判断で死亡原因となった疾病が契約の前に存在していたときは、売主が責任を負う。

1498

売買が解除されたら、その動物は売却・引渡された状態で返還されなければならない。また、買主は、その不注意に起因する損傷で、解除原因となる瑕疵または欠陥から生じない損傷について責任を負う。

1499

解除原因となる瑕疵を持つ動物および家畜の売買では、買主は、また、第1486条に規定される権能を享受する。但し、解除権の行使にそれぞれ指定されているのと同じ期間内にその権能を利用しなければならない。

(第5節:買主の義務)

1500

買主は、契約で定められた時期と場所で売却物の対価を支払う義務を負う。

 時期と場所が定められていない場合は、支払いは、売却物が引渡されるその時と場所でなされなければならない。

1501

買主は、次の場合、物の引渡しと対価の支払いとの間の期間、利息に責任を負う:

①そのように協定した場合。

②売却・引渡された物が果実または収益を生じる場合。

③第1100条に従い、遅延となった場合。

1502

買主がその取得物の占有もしくは所有が妨げられた場合、または、(他人の)回復訴権(acción reivindicatoria)もしくは抵当権によりそうなる恐れを持った場合は、買主は、売主がその場合に対価の返還を保証しないなら、または、その種類の偶発事件に係わらず買主が支払いを保証する義務を負う旨が規定されていないならば、売主がその妨害または危険を排除するまでは対価の支払いを停止することができる。

1503

売主が売却不動産と対価の喪失を恐れる合理的動機を持った場合は、速やかに売買の解除を請求することができる。

 この動機がない場合は、第1124条の規定が適用される。

1504

不動産の売買では、約定した期間内に対価の支払いがないと契約解除権が発生する旨の条項があったときでも、裁判上または公証人証書(acta notarial)による請求がない間は、買主はその期間経過後でも支払うことができる。請求がなされたら、裁判官は新たな期限を付与することはできない。

1505

動産に関しては、買主が、物の引渡し期限経過前に、その物の受領のために現れなかったとき、または、現れても、対価の支払いについて延期が約定されていた場合を除いて、その時に対価を提供しなかったときは、売主の利益で売買解除は完全な権利で発生する。

(第6節:売買の解除(resolución)

1506

売買は、全ての債務関係と同じ事由により、更に、前数節に規定された事由により、また、約定買戻しまたは法定買戻しにより、解除される。

(第1款:約定買戻し(retracto convencional)

1507

売主が、第1518条で規定される事項およびその他の約定事項の履行義務を負って売却物を回復する権利を留保するときは、約定買戻し権が生じる。

1508

前条に係る権利は、明示の約定がない場合は、契約の日から数えて4年間存続する。

 約定する場合は、期間は10年を超えることはできない。

1509

売主が第1518条の規定を履行しない場合は、買主は、売却物の所有権を取消し不能的(irrevocablemente)に取得する。

1510

売主は、買主から権利を得る占有者全てに対して、2番目の契約に約定買戻し権の記述がなされなかったとしても、自己の訴権(acción)を行使できる。但し、第三者に関する抵当法の規定は除かれる。

1511

買主は、その権利および訴権全てにおいて売主に交替する。

1512

売主の債権者は、売主の財物に執行した後でなければ、買主に対して約定買戻し権を利用することはできない。

1513

共有不動産の一部の買戻し約定を負っている買主は、第404条の場合にその不動産全部を取得すると、売主が買戻し権を行使する場合は、売主に全て買戻し(redimir)するように請求することができる。

1514

複数人が、一緒に一つの契約で、共有不動産を買戻しの特約付きで売却するときは、いずれの者も自己に対応する部分を超えてその権利を行使することはできない。

 ある不動産を単独で売却した者が複数の相続人を残した場合も、同様である。その場合は、各相続人は(相続で)取得した部分のみを買戻すことができる。

1515

前条の場合、買主は、売主または共同相続人全てに売却物全部の買戻しに同意するように請求できる。同意しなかった場合は、部分的買戻しを買主に課すことはできない。

1516

自己の持分を別々に売却した共有不動産の共有者の各人は、各自の部分に買戻し権を、同様に別々に行使することができる。また、買主は、不動産全体を買戻すように請求することはできない。

1517

買主が複数の相続人を残した場合は、買戻し請求権は、(遺産が)不分割(indivisa)であろうと、それらの者の間に分配されていようとも、各相続人に対してではなくそれぞれの持分に行使することができる。

 遺産が分割され、売却物が相続人のある者に分与された場合は、買戻し請求権はその者に対し全部について行使できる。

1518

売主は、売却代金と次のものを返還しないと買戻し権を行使することはできない:

①契約費用及び売買でのその他の正当な費用。

②売却物になされた必要費用と有益費用。

1519

売買実施時に、その不動産に明白なまたは生じた果実があったときは、買戻しのときに存する果実の支払も按分分配もなされない。

 売買の時にはなかったが、買戻しの時に存する場合は、買主に売買から数えて最終年の不動産占有期間に対応する部分が与えられて、買戻し人と買主の間で按分分配される。

1520

売却物を回復する売主は、買主が課した全ての負担または抵当権を排除してその物を受領する。但し、買主が善意で、また、物が存する土地の慣習に従ってなした賃貸借を受容する義務を負う。

(第2款:法定買戻し権(retracto legal)

1521

法定買戻し権は、購入または代物弁済により取得する者の地位を、契約で約定されたのと同じ条件でもって、代位する権利である。

1522

共有物の共有者は、その他の共有者全員の、または、それらのある者の持分が第三者に譲渡される場合は、(法定)買戻し権を行使することができる。

 2人以上の共有者が買戻し権を行使したいときは、共有物にそれらの者が有する持分の割合で行使することができる。

1523

1ヘクタールを超えない農地の(売買の)場合、隣接土地の所有者は買戻し権を有する。

 前段に係わる権利は、小川、掘割、がけ、道および他の土地のための表現地役権で分離されている隣接土地には適用されない。

 2つ以上の隣接土地が同じ時期に買戻し権を行使する場合は、面積の小さい隣接土地の所有者が優先する。同じ面積である場合は、最初に請求する者が優先する。

1524

法定買戻し権は、(所有権)登記簿への(売買)登記から数えて、それがないときは、買戻し権者が売買を知ったときから数えて9日以内に行使することができる。

 共有者の買戻しは、隣接土地の買戻しを排除する。

1525

法定買戻しには第1511条と第1518条の規定が適用される。

(第7節:債権およびその他の無体財産権の移転)

1526

債権、権利または訴権(acción)の譲渡は、第1218条と第1227条に従ってその日が確定されるべきときから第三者に対して効力を生じる。

 不動産に関する場合は、(所有権)登記簿へのその登記の日からとなる。

1527

譲渡を知る前に債権者に弁済する債務者は債務から免れる。

1528

債権の売買または譲渡には、保証、抵当権、質権または先取特権などの従的な権利の売買もしくは譲渡が含まれる。

1529

善意の売主は、疑義ある債権として売買された場合でないと、売買時での債権の存在と適法性に責任を負う。但し、債務者の支払能力については、明示的約定がある場合でないと、または、支払不能が以前に公になった場合でないと、責任がない。

これらの場合であっても、売主は、受領した対価と第1518条の①の費用のみには責任を負う。

 悪意の売主は、常に全ての費用と損害の弁済に責任を負う。

1530

善意の譲渡者が債務者の支払能力に責任を負っていて、契約当事者がこの責任の存続期間について約定していなかったときは、この責任は、(債権の履行)期限が過ぎている場合、債権譲渡から数えて1年間のみ存続する。

 債権が未だ期限が来ていない手形(pagadero)であった場合は、その責任は満期後1年で止む。

 債権が終身年金(renta perpetua)の場合は、その責任は、譲渡の日から数えて10年で消滅する。

1531

遺産を、その構成物を列挙しないで、売却する者は、その相続人資格のみに責任を負う。

1532

総額または全体で、一定の権利、収益または利益の全部を売却する者は、全部の適法性に責任を負って履行する。しかし、全部または主要部分の追奪の場合を除いて、それを構成する各部分の担保責任には義務を負わない。

1533

売主がある果実を得ていた場合、または、売却した遺産からある物を収受していた場合は、別段の約定がないと、買主にそれらを弁済しなければならない。

1534

一方、買主は、別段の約定がないと、売主が遺産の債務および負担のため、また、遺産に対して(買主が)有する債権のため弁済したもの全部を売主に弁済しなければならない。

1535

係争中の債権が売却される場合、債務者は、譲受人が支払った対価、発生した費用および対価の支払い日からの利息を償還して、その債権を消滅する権利を得る。

 債権は、それに関連する訴えに応訴するときから係争中とみなされる。

 債務者は、譲受人が弁済を請求するときから数えて9日以内に自己の権利を行使できる。

1536

(次の者に)なされた譲渡または売買は、前条の規定から除かれる:

①譲渡された権利の共同相続人または共有者。

②自己の債権のお返しでの(? en pago de)債権者。

③譲渡される係争中の権利が課された不動産の占有者。

(第8節:総則)

1537

本章の全ての規定は、不動産に関して抵当法が規定する事項に従うものと解される。

 

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