(スペイン民法)                 元司法書士 古閑次郎

(平成27年4月見直し修正)

編 第8章 組合契約(sociedad)

(第1節:総則)

1665

組合契約は、2人以上の者が利益をそれらの間で分配する目的で、金銭、財物または労務(industria)を共有に置くことを義務つけられる契約である。

1666

組合は、適法な目的を有し、組合員の共通の利益で設立されなければならない。

 不法な組合の解散が宣告されるときは、利益は、組合の住所地の福祉施設に、それがないと、当該地方の福祉施設に振向けられる。

1667

民亊組合(sociadad civil)は、不動産または物権の出資(この場合は公正証書が必要)以外は、いかなる様式でも設立することができる。

*注:民事組合とは、我が国の民法組合類似のものである。ただし、法人格を持つ(1669)。)

1668

不動産を出資するとき、公正証書に合綴されるべきそれら不動産の棚卸(これには当事者が署名する)がなされない場合は、組合契約は無効である。

1669

その約款が組合員間で秘密にされ、かつ、組合員の各人が自己の名で第三者と契約する組合は、法人格を有さない。

 この種類の組合には財物の共有に関する規定が適用される。

1670

民亊組合は、その目的のために、商法が認める全ての形式(formas)を帯びることができる。この場合、本法の規定に抵触しない限度で商法の規定が適用される。

1671

組合には、包括(組合)(universal)または特定(組合)(particular)がある。

1672

包括組合は、現存全財物(todos los bienes presentes)または全収益(todas ganancias)で構成され得る。

1673

現存全財物の組合(sociedad de todos los bienes presentes))は、それによって当事者が自身に現に帰属する全ての財物を、それらの財物で取得する全収益と同様に、それらの者の間でそれら財物を分配する意思でもって、共有に置く組合である。

1674

現存全財物の包括組合では、それら財物で取得する全収益と同様に、各組合員に属する財物は組合員の共有となる。

 その包括組合においては他のいかなる収益の相互の交差(comunicación)を約定することはができる。しかし、組合員がその後に相続、遺贈または贈与で取得する財物を、その果実は(組合に)含めることはできるとしても、含めることはできない。

1675

収益の包括組合(sociedad universal de ganancias)は、組合が継続する間に組合員がその技能または労務で取得するもの全てを含む。

 各組合員が(収益の包括)組合契約締結の時に所持する動産または不動産は、その用益権のみを組合に移して、個人所有を継続する。

1676

包括組合契約は、その種類を決めないで締結されると、収益の包括組合をのみ設立する。

1677

贈与または便宜(ventajas)を相互に約定することを禁じられた者たちは、それらの間で、包括組合契約を締結することはできない。

*注:例えば、2211号)

1678

特定組合(sociedad particular)は、特定物、その利用もしくはその果実、指定された事業、または、ある職業もしくは技芸(arte)の行使を目的とするのみである。

(第2節:組合員の責任)

(第1款:組合員間での責任)

1679

組合は、別段の定めがない場合は、契約締結時から開始する。

1680

組合は協定された期間存続する。協定がないと、組合の排他的目的であった取引が継続する間、その期間が性質上限定される場合は、存続する。および、その他の場合では、第1700条で留保される権能と第1704条の規定を除いて、組合員の生涯に亘って存続する。

1681

各組合員は、出資を約束したものについて組合の債務者となる。

 また、組合に出資した特定物に関して、売主の買主に対すると同じ場合および同じ様式で、追奪(担保責任)に服する。

1682

金銭である額を出資する義務があって、出資していない組合員は、その者が引起した損害を補償することは別として、出資すべき日からの利息の法律上の債務者である。

 同じことが、組合の金庫(caja social)から引出した金額についても生じ、利息の計算はその者の個人的利益のためそれらの金額を引出した日から開始する。

1683

労務出資組合員(socio industrial)は、その組合に(出資)目的として働く労務の範疇でその者が組合存続中に取得した収益は組合への負債である。

*注:つまり、競業避し義務を負っている)

1684

業務執行を任された組合員が、自己名義の請求可能債権金額(cantidad exigible)を、その他に更に組合にも請求可能債務負っていた者から受領するときは、受領金額は、その者の単独の資産勘定から受領書を発給したとしても、それらの額に比例して2つの債権に充当されなければならない。但し、組合資産勘定から受領書が発給された場合は、その組合資産に全て充当される。

 本条の規定は、債務者が第1172条でその者に譲許される権能を行使できることを、組合員の個人的債権が(債務者にとって)より重い場合のみ、害しないと解される。

1685

ある組合債権において自己の持分を全部受領した組合員は、その他の組合員が自己の持分を受領していない場合、その後債務者が支払不能に陥るときは、受領書を自己の持分のみについて発給したとしても、受領したものを組合資産に持寄る義務がある。

1686

全組合員は、組合がその組合員の過失で被った損害であって、その者の労務により提供された収益では組合が相殺できない損害の賠償を組合に負わなければならない。

1687

その使用と果実を共有にすることでのみ組合に出資される非代替物である特定物の危険は、所有者たる組合員にある。

 出資物が代替物である場合、毀損することなしに保管できない場合、または、売却のために出資される場合は、危険は組合が負う。特別の約定がない場合も、棚卸評価を受けた出資物の危険も同様である。この場合は、請求は評価額に限定される。

1688

組合は、全組合員に対して組合に出捐した金額と対応する利息に責任を負う。また、(組合は)組合員が善意で組合業務のために締結した債務およびその経営(dirección)から分離不能な危険について責任を負う。

1689

損失と収益は約定に従って分配される。収益についてのみ各組合員の持分が約定された場合は、損失は均等である。

 約定がない場合は、収益と損失の各組合員の持分は、出資に比例しなければならない。労務のみ出資した組合員は、最も少なく出資した者と同じ持分を得る。労務に加えて資本を出資した場合は、更に、資本においてその者に対応する比例持分を受領する。

1690

組合員が収益・損失の各人の持分の指定を第三者に委託するように協定した場合は、明らかに均等を失するときのみ、その第三者がなした指定は取消され得る。第三者の決定を実行し始めた組合員、または、知ったときから3ヵ月以内に決定に異議を唱えなかった組合員は(取消し)請求することができない。

 損失と収益の指定を組合員の一人に委託することはできない。

1691

収益または損失において全部を1人もしくはそれ以上の組合員から排除する約定は無効である。

 労務提供組合員のみは損失において全責任から除外することができる。

1692

組合員契約において業務執行組合員に指定された組合員は、悪意で遂行する場合でないと、その同僚の反対にもかかわらず業務執行行為(actos administrativos)全てを行使することができる。また、その権限は正当事由なしには撤回不能である。

 契約後に与えられた権限は、その契約でそれを譲許する定めがない場合は、いつでも撤回することができる。

1693

2人またはそれ以上の組合員が組合の業務執行責任を負っている場合で、その機能が定められていないとき、または、他方の同意無しには行使できないとされてないときは、各人は個別に全ての業務執行行為を行うことができる。但し、それらの者は誰でも、他方の業務に、その業務が法的効果を生じる前に、反対することができる。

1694

業務執行組合員は互いに他の業務執行組合員の同意なしには行為してはならないとの規定がある場合は、その行為の有効性のためには、それらの者のうちのある者の失踪または無能力を主張できないと、組合に重大または回復できない損害の危急危険がある場合を除いて、全員の一致(concurso)が必要である。

1695

業務執行の様式が定められていないときは、次の規則に従う:

①組合員全員は代理権が授与されているとみなされ、組合員の誰かが自身で単独でなしたことは組合に義務を負わせる。但し、各組合員は他の組合員の行為に、それが法的効果を生じる前に、反対することができる。

②各組合員は、その地方の慣習に従い組合財産を構成する物を、組合の利益に反しない条件で、または、同僚の利用権を阻害しない様式で、利用することができる。

③全組合員は他の組合員に共有物の保存に必要な費用をその組合員と共に支弁するように請求することができる。

④組合員は何人も、他の同意なしには、組合に有益であることを主張しても、組合不動産を更改する(hacer novedad)ことはできない。

1696

各組合員は単独でその持分において第三者と結びあう(asociarse)ことができる。但し、その第三者は、その組合員が業務執行組合員であっても、組合員の全員一致の同意がないと、組合に入社しない。

(第2款:第三者に対する組合員の責任)

1697

組合員の一人の行為により組合が第三者に責任を負うためには、次のことが必要である:

①組合のために、その組合員がその組合員の地位で行為したこと。

②その組合員が明示または黙示の委任で組合に義務を負わせる権限を有すること。

③その権限または委任が示す範囲内で行為したこと。

1698

組合員は、組合の債務について連帯して責任を負わない。また、組合員の何人も個人的行為のために他の組合員に責めを負わせることは、その他の組合員がそれについて権限を与えていない場合は、できない。

 組合は、組合員が自己の名でまたは組合の委任(poder)なしに実施した行為による責任を第三者に関して負わない。しかし、組合員に対しては、当該行為が組合の利益となる限度で責任を負う。

 本条の規定は、第1695条①の規定を害しない。

1699

組合の債権者は、組合財産について各組合員の債権者に優先する。この権利は別として、各組合員の特定の債権者は、組合財産においてその組合員の持分の差押えおよび競売を請求することができる。

(第3節:組合消滅(extinguirse)の様式)

1700

組合は次の場合消滅する:

①設立期間が終了するとき。

②物の滅失のとき、または、目的業務の終了のとき。

③いずれかの組合員の死亡、支払不能、無能力または浪費の宣告により、および、第1699条の規定の場合。

④第1705条および第1707条の規定に従う組合員のいずれかの意思により。

 第1670条に係わる(民亊)組合は、商法の規定に従って存続すべき場合は、本条の③と④の規定から除かれる

1701

ある組合員が組合に出資すると約した特定物が、引渡し実行前に滅失するときは、その滅失は組合の解散事由となる。

 組合員が出資物の所有権を留保して、組合にはその利用または享受のみを移転したときは、いずれにしても、その物の滅失により組合は解散する。

 しかし、その滅失が、組合がその物の所有権を取得した後に、起こるときは、物の滅失により組合は解散しない。

1702

確定期間で設立された組合は、組合員全員の同意で延長することができる。

 その同意は明示または黙示で良く、通常の手段により正当化される(justificarse)

1703

組合が期限経過後に延長される場合、新しい組合の設立と解される。期限経過前に延長されると、原始組合が存続する。

1704

組合員の一人が死亡する場合にも生存者間で組合が継続するとの約定は有効である。この場合、死亡した者の相続人は、被相続人死亡の日に固定して分配するよう請求する権利を得る。そして、その日以前になされた事実の必然的結果(である権利・義務)を除いて、以後の権利・義務に参加することはできない。

 約定が組合は相続人と共に継続すべきと規定している場合は、第1700条の④の規定は別として、組合は維持される。

1705

組合の存続期間が指定されていない、または、業務の性質から存続期間が決まらないときのみ、組合員の一人の意思または辞任により組合は解散する。

 辞任が効力を持つためには、適時に善意でなされなければならない。更に、他の組合員に知らせなければならない。

1706

辞任する者が共有すべきであった利益を自己単独で取得するようもくろむときは、その辞任は悪意である。この場合は、辞任者は(同僚)組合員に対して免責されず、これらの組合員はその者を組合から排除する権能を持つ。

 公正な状況(cosas integras)がなくて、組合がその解散を延期することに関心があるときは、辞任は不適当なときになされたと評価される。この場合は、組合は、継続中の業務の終了まで存続する。

1707

組合員の一人がその義務に背いている、組合業務に無能力である、または、裁判所の判断で他の同様な状態にある、などのような正当事由がないと、組合員は、契約規定または業務の性質により確定期間で設立された組合の解散を請求することはできない。

1708

組合員間への分配には相続財産の分配の規定が、その方式および分配から生じる義務について、適用される。労務提供組合員には、持寄り出資財産のいかなる部分も付与されず、別段の明示の約定がない場合は、第1689条の規定に従って単にその果実と収益が与えられる。

 

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