(スペイン民法)                 元司法書士 古閑次郎

(平成27年4月見直し修正)

編 第9章 委任(mandato)

(第1節:委任の性質、方式および種類)

1709

委任契約により、ある者にある役務を提供する義務またはあることをなす義務が、他方の利益(por cuenta)または仕事(por encargo)のため、科される。

1710

委任は明示でまたは黙示でできる。

 明示の委任は、公署証書または私文書および口頭でなすことができる。

 承諾は、また、明示または黙示でなすことができ、黙示の承諾は受任者の行為から推定される。

1711

別段の約定がない場合は、委任は無償と仮定される。

 しかしながら、受任者が委任に係る種類の役務の遂行を職業にしている場合は、報酬を与える義務が推定される。

1712

委任には包括委任または特定委任がある。

 前者は委任者の業務全てを含む。

 後者は1またはそれ以上の特定の業務を含む。

1713

一般的用語で表された(concebido)委任は、管理行為のみを含む。

 和解、譲渡、抵当設定またはその他の厳格な統御(riguroso dominio)の行為をなすには、明示の委任が必要である。

 和解する権能は、仲裁または調停に委ねる権限を付与しない。

1714

受任者は委任の限界を超えることはできない。

1715

委任者にとってその指示よりも有利に履行された場合は、委任の限界を超えていないと解される。

1716

親権開放された未成年者は受任者になることができる。しかし、委任者は、未成年者の責任に関する規定に従ってのみその者に対して請求(訴)権を有する。

1717

受任者が自己の名で行為するときは、委任者は受任者が契約した相手方に対して請求(訴)権を有せず、また、その相手方も委任者に請求(訴)権を持たない。

 この場合、受任者は、そのことは自己のものであるとして、契約相手方のために直接責任を負う。委任者の固有の物を取扱う場合は除かれる。

 本条の規定は委任者と受任者間の請求(訴)権を害しないと解される。

(第2節:受任者の責任)

1718

受任者は、承諾により委任を履行する責任を負い、また、履行しない場合、委任者に生じる損害賠償責任を負う。

 委任者の死亡時に開始されていた業務は、遅延における危険がある場合は、完了させなければならない。

1719

委任の履行では受任者は委任者の指示に従わなければならない。

 指示がない場合は、業務の性質に応じて、善良な家父がなすことをなす。

1720

受任者はその業務の計算を提供する責任を負い、また、委任により受領したもの全てを、受領物が委任者にしかるべき原因がなかったときでも、委任者に引き渡す(abonar)責任を負う。

1721

受任者は、委任者が禁止していない場合は、代理人を指名できる。しかし、次の場合、代理人の行為に責任を負う:

@指名する権能を与えられていなかったとき。

A人を指定しないでその権能が与えられていたときで、指名された者が明らかに無能または支払不能者のとき。

 委任者の禁止に反して指名された代理人がなした行為は無効である。

1722

前条の@とAに包含される場合は、委任者は代理人に対してもその請求(訴)権を行使できる。

1723

2人またはそれ以上の受任者の責任は、同時に設定されたとしても、連帯と表示されていない場合は、連帯ではない。

1724

受任者は、自己の利用に供した金額の利息をその利用日から負う。また、委任の終了後に(委任者に)義務が残る金額の利息を遅滞となったときから負う。

1725

受任者として行為する者は、契約相手方に個人的責任を負わない。但し、明示的にそれを義務つけられているとき、または、その権限を充分に告げずに委任の範囲を超えるときは、責任を負う。

1726

受任者は、故意(dolo)のみならず、裁判所が委任が有償または無償であることに応じて多少は厳格に評価しなければならない過失(culpa)に責任を負う。

(第3節:委任者の責任)

1727

委任者は、受任者が委任の範囲内で契約した全債務を履行しなければならない。

 受任者が委任の範囲外でしたことでは、委任者は、明示または黙示で追認するときでないと、責任を負わない。

1728

委任者は、受任者が請求する場合、委任遂行に必要な金額を前払いしなければならない。

 受任者がその金額を前払いした場合、委任者は、業務がうまく行かなかったとしても、受任者が過失から免責されると、その金額を償還しなければならない。

償還には、前払い日からの前払い金額の利息が含まれる。

1729

委任者は、委任の履行において受任者の過失または怠慢がなく受任者に生じた全損害を受任者に償還しなければならない。

1730

受任者は、委任の目的物を、委任者が前2条に係る補償と償還をなすまでは、質に取ることができる。

1731

2人またはそれ以上の者が、ある共同の業務のために受任者を指名した場合は、委任の全効果について連帯して受任者に責任を負う。

(第4節:委任終了の態様(modos)

1732

委任は、(次の事由で)終了する:

@その撤回により。

A受任者の辞任または無能力により。

B委任者または受任者の死亡、浪費の宣告または破産もしくは支払不能により。

 委任は、また、委任者が事後に無能力になると、委任(契約)にその継続が定められていない場合、または、委任が、委任者が無能力に陥った場合(これは委任者が定めたことに従って評価されるが)に対処するためになされていない場合は、消滅する。これらの(終了しない)場合は、委任は、後見機関の設置時に宣言される裁判所の決定により、または、以後は、後見人の申立で、終了できる。

1733

委任者はその意思で委任を撤回することができ、受任者に委任を証する文書の返還を求めることができる。

1734

委任が特定の者と契約するために授権されていたときは、その撤回は、知らされていなかった場合、これら(特定)の者を害することはできない。

1735

同一の業務へ新受任者を指名すると、前条の規定の場合を除いて、前委任は、前委任の受領者に知らせた日から、撤回される。

1736

受任者は、委任者に通知して辞任することができる。委任者が辞任で損害を被る場合は、受任者は、自己の重大な損失なしには委任遂行の継続ができないことが辞任理由でないと、その損害を補償しなければならない。

1737

受任者は、正当事由により辞任しても、委任者がこの欠缺に対処するために必要な処置を取ることができるまでは、その業務を継続しなければならない。

1738

受任者が、委任者の死亡または委任終了のその他の事由を知らないで、なしたことは有効であり、善意で受任者と契約した第三者に関して全効果を生じる。

1739

受任者死亡の場合は、その相続人は委任者に通知し、その間、委任者の利益のために情況が要求することに対処しなければならない(proveer)

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