前章 刑法の保証(garantias penales)と刑法の適用

 

1条

1. (犯罪)実行前に法律で犯罪と規定されていない行為または不作為は処罰されない。

2. 保安処分(medidas de seguridad)は、法律で事前に規定された要件が満たされる場合のみ適用される。

 

2条

1. 如何なる犯罪も、その行為前に法律に規定されていない刑罰を科されることはない。同様に、保安処分を規定する法律は遡及効がない。

2. しかし、犯人(reo)に有利な刑罰法規は、その発効時に確定判決が下され、本人が刑に服している場合でも、遡及効を有する。最も有利な法律の選択に疑念がある場合、被告人に意見を求める。或る時限法の効力下での(犯罪)行為は、しかしながら、明示的に別段の定めがない限り、それに従って裁判される。

 

3条

1. 管轄裁判官または裁判所が訴訟手続法に従って言い渡した確定判決による場合を除いて、刑罰または保安処分は実行され得ない。

2. 刑罰または保安処分は、法律およびそれを受けた規則に規定されている以外の方法で、またはその本文中に規定されているもの以外の状況または事象(accidentes)では実施されない。 刑罰または保安処分の執行は、管轄裁判官と裁判所の支配下で行われる。

 

4条

1. 刑法は、それに明示的に規定されていないケースには適用されない。

2. 裁判官または裁判所は、その管轄権の行使中に、法律によって罰せられてなくて、(法的)抑制に値すべき行為または不作為を認識する場合、それに係る全ての訴訟手続きを控えて、政府が刑事罰の対象となるべきと信じることを支援する理由を政府に提出する。

3. 同様に、裁判官または裁判所の判断では処罰されるべきでないが、法律の規定の厳格な適用により或る行為または不作為が処罰される場合、あるいは、違反行為で惹起された害悪および被告人の個人的状況を斟酌すると、刑罰が著しく過大である場合は、もちろん判決の執行を損なうことなく、規定の削除または修正あるいは恩赦の授与について適当なものを政府に提出する。

4. 恩赦請求が介在して、裁判官または裁判所が、刑罰の履行によって不当な遅滞なく裁判を受ける権利が侵害されると、理由付き決定により評価した場合、その(恩赦)請求について決定されない限り、刑罰の執行を停止する。

また、裁判官または裁判所は、恩赦について決定されない間、刑罰が執行されると、その恩赦の目的が達せられない場合には、刑罰の執行を停止することができる。

 

5条

故意または過失がないと刑罰は(科され)ない。

 

6条

1. 保安処分は、それが課される本人の(犯罪と規定される行為の実行で外部に示される)犯罪的危険性に基礎を置く。

2. 保安処分は、犯罪行為に抽象的に適用される刑罰よりも加重かつ長期に亘ることはできず、また、犯人の危険性を防ぐために必要な限度を超えることはできない。

 

7条

時間おいて適用すべき刑法を決定するために、犯罪は、当事者が行為したとき、または、実現する義務があった行為をなさなかったときに、実行されたものとみなす。

 

8条

この刑法典の2つ以上の規定に従って評定され得る(犯罪)行為で、第73条から第77条には含まれないものは、以下の規則に従って処罰される。

1. 特別規定は一般(規定)に優先して適用される。

2. 補充規定は、その補充性が明示されてあろうと、(補充性が)黙示的に推定できるときであろうと、主規定がない場合にのみ適用される。

3. 最も広範または複合の刑法規定は、それに包含される違反行為を処罰する規定を吸収する。

4. 上記の基準がない場合、最も重い刑法規定は、(当該犯罪を)軽い刑罰で処罰する規定を排斥する。

 

9条

この章の規定は、特別法により罰せられる犯罪に適用される。 本刑法典の残りの規定は、特別法に明示的に規定されていない場合に補充規定として適用される。

 

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通訳案内士(元司法書士) 古閑次郎

スペイン刑法典(2015年版)