第1編 犯罪、有責者、刑罰、保安処分および犯罪行為のその他の結果に関する一般規定

章 犯罪行為(infracción penal)

節 犯罪(delitos)

10
 法律で処罰される故意または過失による作為および不作為は、犯罪である。

11
 或る結果の発生に基づく犯罪は、犯人の或る特別な法的義務に違反して、その結果を回避しないことが法律の条文の意義に従ってその原因と等価である場合、不作為でなされたものとみなす。 このため、(次の場合は)不作為は作為と同等である。
a) 行為する法的または契約上の特定の義務がある場合。
b) 不作為者が、先行する作為または不作為を介して法的に保護される財物にリスクを創出した場合。

12
 過失による作為または不作為は、法律が明示的に定めている場合にのみ処罰される。

13
1. 法律が重刑(pena grave)で処罰する違反は、重大犯罪(delitos graves)である。
2. 法律が非重刑(pena menos grave)で処罰する違反は、非重大犯罪(delitos menos graves)である。
3. 法律が軽刑(pena leve)で処罰する違反は、軽犯罪(delitos leves)である。
4. 刑が、その拡張により、本条の第1項と第2項の規定に同時に含有され得る場合、当該犯罪はいずれにせよ重大犯罪とみなされる。刑が、その拡張により、軽刑および非重刑とみなされ得る場合、当該犯罪はいずれにせよ軽犯罪とみなされる。

14
1. 犯罪行為を構成する行為に関しての克服できない錯誤は、刑事責任を排斥する。 錯誤が、行為の事情および錯誤者の人的事情に留意すると、克服できる場合は、過失により処罰される。
2. 犯罪行為を評定する行為に関しての錯誤、または、加重事情(circunstancia agravante)に関しての錯誤は、その評価を妨げる。
3. 犯罪行為を構成する行為の違法性に関しての克服できない錯誤は、刑事責任を排斥する。 錯誤が克服できる場合は、12級低い刑が適用される。

15
 完遂された犯罪と未遂は罰せられるべきである。

16
1. 人が、結果を客観的に発生させるべき行為の一部または全部を行って、外的行為で直接犯罪の実行を開始したが、その結果が行為者の意思に係わらない原因で生じなかったとき、未遂となる。
2. 開始された犯罪の遂行を止めるか、結果の発生を妨げるかして、犯罪の完成を自発的に回避した者は、未遂犯罪による刑事責任を免除される。ただし、実行された行為が他の犯罪の構成要件になる場合、それら行為によりその者が陥り得る責任を害しない。
3. 行為に複数人が介入した場合、開始された犯罪の遂行を止めて、犯罪の完成を真摯に、確固として、かつ、最終的に(decididamente)回避した、または、回避しようとした者は、刑事責任を免除される。ただし、実行された行為が他の犯罪の構成要件になる場合、それら行為によりその者が陥り得る責任は別である。

17
1. 2人以上の者が或る犯罪の実行に同意し、その実行を決定するとき、共謀となる。
2. 犯罪をなすことを決心した者が他の者にそれに加担するよう誘うとき、教唆(proposición)となる。
3. 共謀と犯罪の教唆は、法律で特別に定められた場合にのみ処罰される。

18
1. (公衆に対する)周知を容易にする印刷物、放送、または、その他の類似の手段によって、あるいは、人の集まりの前で、或る犯罪の遂行を直接そそのかすとき、扇動(provocación)となる。
 本刑法典の効果に関して、人の集まりの前で、または、(情報)伝播手段により、犯罪を賞賛し、または、その行為者を称賛する考えや教義を公開することは、apología(称賛、弁護)となる。apologíaは、その性質と状況により或る犯罪を犯す直接のそそのかしを構成する場合、扇動の形態として犯罪になる。
2. 扇動は、法律がそのように規定する場合にのみ排他的に罰せられる。
 扇動に犯罪の実行が従った場合は、教唆(inducción)として処罰される。

 

通訳案内士(元司法書士) 古閑次郎

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スペイン刑法典(2015年版)