(第3章 刑罰)
3節 自由剥奪刑および条件付保釈執行の代替形態

1款 自由剥奪刑の執行停止

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1. 裁判官または裁判所は、理由付き決定により、受刑者が将来新たな犯罪を犯すことを防ぐためには刑罰の執行が必要ないと合理的に期待できるときは、2年未満の自由剥奪刑の執行を停止することができる。
 この決定をするには、裁判官または裁判所は、犯した犯罪、受刑者の人的事情、前歴、犯行後の行動、特に、発生した損害の回復努力、その家族的・社会的事情、当該執行停止および科された処分の履行から期待できる効果を評価する。
2. 刑の執行停止に必要な要件は次の通りである:
① 有罪判決を受けた者が、初犯であること。初犯には、過失犯罪または軽罪の有罪前歴および取消された、または、第136条の規定により取消されるべき前歴は考慮されない。また、その性質または事情により、将来犯行の可能性評価に重要ではない犯罪に対応する前歴も考慮されない。
② 刑または科される(複数)刑の合計が、罰金の不払いに起因するものを計算に入れないで、2年を超えないこと。
③ 発生した民事責任が満足されていること、また、第127条の規定に従って、判決で認定された没収が有効になっていること。
 この要件は、有罪判決を受けた者が、その経済的能力に従って民事責任を満足させる、また、決定された没収を容易にさせる約束をして、裁判官または裁判所が設定する適当な期間内に約束が履行されることが合理的に期待できるとき、成就されたものとみなす。裁判官または裁判所は、民事責任の範囲と犯罪の社会的影響を考慮して、その(約束の)履行を担保するため適当と思料する保証を請求できる。
3. 例外的に、例え前項の①と②の要件が満たされなくとも、常習犯でない場合、被告人の人的事情、犯行の性質、その行動、特に、発生した損害回復の努力を考慮して、個別に2年を超えない(複数)禁固刑を停止することができる。
 これらの場合、刑の停止には、(被告人の)身体的(físico)・経済的能力に従って損害の実効的回復、または、発生した損害の補償、あるいは、第84条の措置(medida)①に係わる同意の履行が条件付けられる。同じく、同条②または③に係わる措置の一つが、科された刑の5分の1の上に同条に規定される変換基準の適用で生じる(刑の)範囲より小さくなることができない範囲で、科される。
4. 裁判官または裁判所は、有罪判決を受けた者が不治の重篤な疾病で苦しんでいる場合は、いかなる(前述の)要件なくして、いかなる刑罰も停止させることができる。ただし、犯行時に同じ動機で他の刑の停止を受けている場合を除く。
5. 本条第2項に規定される①と②の要件が満たされなくとも、裁判官または裁判所は、第20条の②に規定される物質依存に起因して犯罪を実行した(有罪判決を受けた)者の5年を超えない自由剥奪刑の執行停止を、適法に承認または認可された公的または私的センターが、その者に習慣性がないこと、または、停止決定時点でその治療を受けていることを証明するときは、決定できる。
 裁判官または裁判所は、前述の要件の成就を確認するため必要な検査の実施を命じることができる。
 有罪判決を受けた者が習慣性を脱する治療を受けている場合、刑の執行停止に治療の完了まで(治療を)放棄しない条件を付する。治療への逆戻りは、逆戻りが脱習慣性治療の確定的放棄を明らかにしない場合、放棄とはみなされない。
6. 被害者の告発または告訴の後でのみ追及できる犯罪の場合、裁判官および裁判所は、刑の執行停止の利益を譲許する前に、被害者および、場合によっては、その代理人の意見を聞く。

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 停止期間は、2年未満の自由剥奪刑については、2年から5年で、軽罪については3月から1年で、裁判官または裁判所が第80条第1項第2段の基準に留意して、決定する。
 前条第5項の規定に従って停止された場合は、期間は3年から5年となる。

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1. 裁判所または裁判所は、刑の執行の停止について、それが可能の場合、判決中で決定する。その他の場合、判決確定がいったん宣言されると、緊急に、刑の執行停止譲許の可否について当事者を聴取した後、言い渡される。
2. 停止期間は、そう決定した裁判の日から計算される。停止が判決で決定された場合は、停止期間は判決確定の日から計算される。
 有罪判決を受けた者が、裁判欠席(rebeldía)の状態にあった期間は、停止期間と計算しない。

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1.  裁判官または裁判所は、新たな犯行の危険を避けるために必要な場合、執行停止に次の禁止および義務の履行を、結果的に過度な、また、比例しない義務を科すことなく、条件付けることができる。
① 被害者、その家族または裁判官または裁判所が決めるその他の者、それらの住所、仕事場または通常それらの者が良く行くその他の場所への接近の禁止、あるいは、いかなる手段でのそれらの者との連絡の禁止。これらの禁止を科したことは、常にその関係者に通知される。
② 特定の者または特定のグループのメンバーと接触することの禁止。これらの者が(有罪判決を受けた者に)新たな犯行を容易にするか、または、犯行をそそのかす合理的兆候があるとき。
③ 裁判官または裁判所の許可なくそこを放棄または一時的に留守にすることを禁じて、住居を或る特定の場所に維持すること。
④ 特定の場所に居住する、または、そこに出入ることの禁止。これらの場所で新たに犯行する機会または動機が有り得るとき。
⑤ 決められた頻度で裁判官または裁判所、警察分署、あるいは、決められた行政機関に自身の活動を通知・立証するため、出頭すること。
⑥ 育成的、労働的、文化的プログラム、交通・性教育プラグラム、環境保全プログラム、動物保護プログラム、平等・非差別プログラム、その他同等のプログラムに参加すること。
⑦ アルコール、麻薬または覚せい剤(の消費)からの脱習慣治療プラグラムまたは他の習慣性行為の治療プラグラムへ参加すること。
⑧ 本人が交通安全違反で有罪判決を受けて、新たな犯行を避けるために必要なとき、運転者の身体的状況を事前に確認しないと(自動車の)起動または動作ができないようにする技術的装置を取り付けていない自動車を運転することの禁止。
⑨ 人としての尊厳を侵害しないで、有罪判決を受けた者の同意を得た後、裁判官または裁判所がその者の社会復帰に適当と思料するその他の義務を履行すること。
2. (有罪判決を受けた者が)その配偶者である、または、あった女性、あるいは、同居してなくとも、愛情関係で結びついている、または、結びついていた女性に対する犯罪の場合、常に、前項の①、④と⑥の禁止および義務が科される。
3. 本条の第1項①、②、③または④の禁止または義務を科したことは、その履行を監視する国家治安警察(Fuerzas y Cuerpos de Seguridad del Estado)に通知される。いかなる起こりうる違反、または、有罪判決を受けた者の危険性および新たな将来犯行の可能性評価の関連事由は、即座に、検察庁および執行裁判官または裁判所に通知される。
4.  本条の第1項⑥、⑦および⑧に係る義務の履行の管理は、矯正行政機関(Adminis- tración penitenciaria)の刑罰・選択処分管理施設(servicios de gestión de penas y medidas alernativas)に対応する。これら(公共)施設は、定期的に、最低⑥と⑧の場合は3月毎に、⑦の場合は6月毎に、また、終了した場合に、その履行に関して執行裁判官または裁判所に通知する。
 同様に、有罪判決を受けた者の危険性および新たな将来犯行の可能性を評価するため、いかなる関連事由うぃ直ちに通知し、さらに、科された義務の不履行またはその実効的履行を直ちに通知する。

84
1. 裁判官または裁判所は、刑の執行停止に次の給付または処置の1個、または、数個の履行を条件付けすることができる:
① 調停によって当事者が到達した約定の履行。
② 罰金の支払い。その範囲は、裁判官または裁判所が、事案の状況に留意して決める。その罰金は、禁固の各1日につき2罰金割合(cuota de multa)を、(禁固)期間の3分の2を上限として、適用して得られる額を超えることはできない。
③ 共同体の利益での労働の実現。特に、(犯罪)行為および犯人の事情から見て、象徴的賠償の形として適当なとき。労働提供の期間は、裁判官または裁判所が事案の事情に留意して決める。ただし、(禁固)期間の3分の2を上限として禁固の各1日につき1労働日で計算した値を超えることはできない。
2. 有罪判決を受けた者の配偶者または配偶者であった女性に対して、または、例え同居していなくとも同様な愛情関係で有罪判決を受けた者と結ばれている、または、結ばれていた者に対して、または、血縁、養子縁組または姻族関係での自己、配偶者または同居人の卑属、尊属または兄弟姉妹に対して、または、有罪判決を受けた者と同居している、あるいは、配偶者または同居者の事実上の親権、後見、保佐、里親または監護に服していた未成年者または特別な保護が必要な無能力者に対して犯された犯罪の場合は、前項の②の処分に係る罰金の支払いは、それら者の間に配偶者関係、同居または親子関係、あるいは、共通の卑属の存在に由来する経済関係が存在しないことが証明されるときのみ、科すことができる。

85
 刑の停止期間中において、評価された事由の変動を考慮して、裁判官または裁判所は第83条と第84条に従って採用した決定を修正でき、また、禁止(事項)、義務(事項)または給付(事項)の全部または或るものの解除(alzamiento)、その修正またはより軽いものでの代替を決定できる。

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 1. 裁判官または裁判所は、有罪判決を受けた者が次の事態に陥ったときは、(執行)停止を取消し、刑の執行を命じる:
a) 停止期間中に犯した犯罪で有罪判決を受け、停止決定の基礎となった期待が維持できないことが明白となった。
b) 第83条に従って科された禁止・義務(事項)を、著しくまたは繰り返し履行しない、あるいは、矯正行政機関の刑罰・選択処分管理施設の統制から逃れる。
c) 第84条に従って科された停止に関する条件を、著しくまたは繰り返し履行しない。
d) 没収を命じられた財産または目的物の所在地について不正確または不十分な情報を提供する。経済的能力がない場合を除き、罰せられた民事責任の支払の約束を履行しない。民事訴訟法第589条で科された債務を履行しないで、自己の財産について不正確または不十分な情報を提供する。
2. 禁止、義務または条件の不履行が、著しくではなく、または、繰り返されない場合は、裁判官または裁判所は次の処分をすることができる:
a) 有罪判決を受けた者に新たな禁止、義務または条件を科す、あるいは、既に科されたものを修正する。
b) 停止期間を延長する。ただし、(延長分は)最初決めた期間の半分を超えることはできない。
2. 禁止、義務または条件の不履行が、重大でなく、または、繰り返されない場合は、裁判官または裁判所は次の処分をすることができる:
a) 有罪判決を受けた者に新たな禁止、義務または条件を科す、あるいは、既に科されたものを修正する。
b) 停止期間を延長する。ただし、(延長分は)最初決めた期間の半分を超えることはできない。
3. (執行)停止の取消しの場合、有罪判決を受けた者が第841項の規定に従って犯罪で生じた損害を回復するために使った費用は返還されない。しかしながら、裁判官または裁判所は、②および③の措置に従って実現または履行した支払および労働の給付を刑に算入する。
4. 前述の全ての場合、裁判官または裁判所は検察庁およびその他の当事者の意見を聞いて裁決(resolver)する。しかしながら、有罪判決を受けた者の再犯および逃走の危険を避けるため、または、被害者保護の確保に不可欠の場合は、刑の執行停止の取消し、および、有罪判決を受けた者の即時の入所を命じることができる。
 裁判官または裁判所は、必要な確認手続きの実施を決定でき、また、裁決するために必要と思料するときは、口頭弁論の開催を決定できる。

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1. 有罪判決を受けた者が執行停止決定の基礎となった期待がもはや維持できないと明白にする犯罪を犯すことなく、設定された停止期間が経過し、また、裁判官または裁判所が設定した行動規範が十分履行されると、裁判官または裁判所は刑の免除を決定する。
2. しかしながら、第80条第5号の規定に従って停止された刑の免除を決定するには、本人の脱習慣性または治療の継続が証明されなければならない。反対の場合、裁判官または裁判所は、対応する通知を聞いて治療の継続が必要と思料する場合を除き、(刑の)履行を命じる。このような場合、2年を超えない停止期間の延長を理由付きで譲許できる。

2款 自由剥奪刑の代替

88条 削除

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1. 外国人に科された1年超の禁固刑は、スペイン領土からの追放で代替される。例外的に、法秩序の防衛を確保するため、および、犯罪で毀損された法規範の効力への信頼を回復するために必要なときは、裁判官または裁判所は、その(刑の)範囲の3分の2を超えない(刑の)一部分の執行、および、(刑の)残部をスペイン領土からの追放で代替することを決定できる。いづれにしても、有罪判決を受けた者が第3級に到達するとき、または、条件付き保釈が譲許されるときは、刑の残部はスペイン領土からの追放で代替される。
2. 5年超の(一個の)禁固刑またはその期間を超える複数の刑が科されたときは、法秩序の防衛を確保するため、および、犯罪で毀損された法規範の効力への信頼を回復するために必要な限度において、裁判官または裁判所は刑の全部または一部の執行を決定する。これらの場合、有罪判決を受けた者が、確定された刑の一部を履行するとき、第3級に到達するとき、または、条件付き保釈が譲許されるときは、刑の残部はスペイン領土からの追放で代替される。
3. 裁判官または裁判所は判決中に、それが可能であれば、刑の執行の代替について裁決する。その他の場合は、判決の確定後すみやかに、検察庁およびその他の当事者の聴聞の後、刑執行代替の譲許の可否について言い渡す。
4. 犯行の状況および犯人の人的事情、特に、スペインへの定着に留意して、追放が均衡を失するときは、代替は行われない。
 ヨーロッパ連合市民の追放は、その者が、犯行の性質、事情と重大性、その前歴および人的事情に留意して、公序または公共の安全に重大な脅威を表わすときにのみ、行われる。
 スペインに(犯行)以前10年間居住していた場合は、追放は、更に次の要件があるとき、行われる:
a) 最大5年超の禁固刑で処罰される生命、自由、身体および性的自由・無損害(libertad e indemnidad sexuales)に反する1個または複数の犯罪で有罪判決を受けたこと、および、基本的に同じ性質の犯罪を犯す重大な危険が認定されること。
b) 1個または複数のテロ犯罪あるいは犯罪グループまたは組織の内部で犯された犯罪で有罪判決を受けたこと。
5. 当該外国人は、代替された刑の期間および有罪判決を受けた者の人的事情に留意して、追放の日から数えて5年から10年の期間、スペインに帰ることはできない。
6. 追放には、スペインで居住または労働する許可を目的としたいかなる行政手続きの記録(archivo)を伴う。
7. 追放された外国人が裁判で設定された期間が経過する前にスペインに帰った場合は、代替された刑を履行する。ただし、例外的に、裁判官または裁判所が、その履行が法秩序の保全を確保するため、および、犯罪で毀損された規範の効力への信頼を回復するためには必要でないときは、追放後の経過時間とその(追放の)不履行をもたらした事情に留意して、その(追放(?))期間を減じる場合を除く。
 しかしながら、国境で発覚した場合は、入国禁止期間をその全体で新たに数え始めて、政府機関(autoridad gubernativa)により直接追放される。
8. 本条に規定される追放が決定されたとき、外国人が科された刑の執行で自由剥奪されていない場合は、裁判官または裁判所は、追放を確保するために、行政的追放について法律で規定されている条件の中で、また、その制限および保証をもって、外国人収容センターへの入所を決定できる。
 いづれにしても、自由剥奪刑を追放で代替する決定がなされても、追放が実施できなかった場合は、元々科された刑の執行に、または、刑の未執行期間の執行に、あるいは、場合によって、刑の執行停止の適用に移行する。
9. 第177条の2、第312条、第313条および第318条の2に係わる犯罪を犯して科された刑は代替されない。
 
3款 条件付き保釈

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1. 矯正観察裁判官は、禁固刑の残余の執行停止を決定し、また、次の(全)要件を履行する受刑者に条件付き保釈を譲許する:
a) 3級に分類されていること。
b) 科された刑の4分の3が過したこと。
c) 良好な行動が観察されていること。
 刑の残余の執行停止と条件付き保釈の譲許について決定するため、矯正観察裁判官は、受刑者の人間性、その前歴、犯行の事情、犯罪繰り返しで影響を受ける法益の重要性、刑の履行中のその者の行動、家族・社会的事情および当該執行停止と科される(保安)処分の履行から期待できる効果を査定する。
 1979926日の基本法(Ley Orgánica)(刑務所一般)の第72条第5,6項で設定されたケースにおいて、また、それらにより設定された基準に従って、犯罪に由来する民事責任を受刑者が満足させていなかった場合は、執行停止は譲許されない。
2. また、矯正観察裁判官は、刑の残余の執行停止を決定し、また、次の(全)要件を履行する受刑者に条件付き保釈を譲許することができる:
a) 刑の3分の2が経過したこと。
b) 刑の履行中であって、労働的、文化的または職業的活動を、継続的に、あるいは、その者の以前の犯罪活動に関連する人的事情に由来する前述の活動の顕著で有利な変化を利用して、展開したこと。
c) (矯正観察裁判官が)前項に係わる要件の履行を、刑の4分の3の経過を除いて、保証すること。
 刑務所施設の提案で、検察庁およびその他の関係者への通知の後、前項のa)c)の事情が満たされると、矯正観察裁判官は、刑が半分経過したら、前項に規定される期間に関連して、刑の実効的履行の経過1年につき最大90日まで条件付き保釈を前倒しすることができる。この処分には、受刑者が本項のb)に示す活動を継続的に展開していることが必要で、さらに、被害者への賠償プログラム、あるいは、場合によっては、治療または解毒プログラムへの実効かつ有利な参加が証明される必要がある。
3. 例外的に、矯正観察裁判官は刑の残余の執行停止を決定して、また、次の(全)要件を満たす受刑者に条件付き保釈を譲許することができる:
a) 最初の禁固刑の履行中で、刑が2年を超えないこと。
b) 刑の半分経過していること。
c) (矯正観察裁判官が)第1項に係わる要件と前項のb)の規定の履行を、4分の3経過を除いて、保証すること。
 この制度は、性的自由・無損害に反する犯行での受刑者には適用されない。
4. 受刑者が、没収を命じられた財産または目的物の所在地について不正確または不十分な情報を提供する、自己の資力に応じて罰せられた民事責任の支払の約束を履行しない、または、民事訴訟法第589条で科された債務を履行しないで、自己の財産について不正確または不十分な情報を提供するときは、矯正観察裁判官は刑の残余の執行停止を拒否できる。
 また、本刑法典第2編第19章に規定する犯罪のなんらかに科された刑の残余の執行停止を、受刑者が金銭責任の履行または行政機関に生じさせた経済的損害の賠償を回避した場合は、拒否することができる。
5. 刑の残余の執行停止と条件付き保釈譲許の場合、第83条、第86条および第87条の規定を適用できる。
 矯正観察裁判官は、査定された事情の変動を考慮して、第83条に従って以前採用した決定を修正でき、また、新たな禁止、義務または給付の賦課、既に決定されたそれらのものの修正、または、それらのものの取消しを決定できる。
 同様に、矯正観察裁判官は、刑の残余の執行停止および条件付き保釈譲許を、停止をもたらした事情の変化(つまり、採用された(停止)決定を理由づけた危険性のないことの予想をもはや維持できない変化)が明らかになるときは、撤回することができる:
 刑の残余の執行停止の期間は5年とする。いずれにしても、執行停止と条件付き保釈譲許の期間は、刑の未履行部分(の期間)未満にすることはできない。執行停止と条件付き保釈の期間は受刑者が釈放された日から数える。
6. 刑の残余の執行停止および条件付き保釈の撤回は、刑の未履行部分の執行をもたらす。条件付き保釈で経過した期間は、刑の履行期間と数えない。
7. 矯正観察裁判官は、受刑者の要請で、刑の残余の執行停止と条件付き保釈譲許について職権で決定する。要請が受け入れられなかった場合は、裁判官または裁判所は、新たに要請が提起できる時まで(の期間として)6月の期間(理由づけで1年に延長可能)を設定することができる。
8. 犯罪組織の内部で実行された犯罪または本刑法典第2編第22章第7節に規定される犯罪で有罪判決を受けた者の場合、刑の残余の執行停止と条件付き保釈譲許には、受刑者がテロリスト活動の目的および手段を放棄した明白な表示をすること、および、組織の一部またはテログループによる他の犯行発生を阻害するため、犯罪の効果を弱めるため、テロ犯罪の責任者の特定、逮捕および起訴についての証拠収集のため、または、所属または協力していた組織または結社の活動または展開を阻止するため、官署に積極的に協力したことが必要である。このことは、自身の犯罪活動の否定と暴力の放棄の明白な陳述および被害者への謝罪によって信用され得る、また、受刑者が実際にテロ組織およびテロ組織を囲む不法結社・集団の環境・活動から離れていること、および、官署との協力を証明する、専門的報告書によって信用され得る。
 第2項および第3項は、本刑法典第2編第22章第7節に規定される犯罪で、または、犯罪組織の内部で実行された犯罪で有罪判決を受けた者には適用しない。

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1. 前条の規定に係わらず、70才となった、または、刑の消滅期間に70才となる受刑者で、刑の4分の33分の2または半分を終わらせたとの要件を除いて前条で要求される要件を満たす受刑者は、刑の残余の執行停止と条件付き保釈譲許を得ることができる。
 不治の病気を持つ重篤な病人の場合で、矯正観察裁判官の判断で必要とされる医者の報告実施の後でそう証明された場合は、同じ基準が適用される。
2. 受刑者が前各段に規定される場合のいずれかに該当することが矯正行政機関に明らかだと、当機関は、事案が求めるときは緊急に、条件付き保釈申請を矯正観察裁判官に上げる。矯正観察裁判官は、裁決するとき、人的事情と共に犯行の困難性および当人の危険性の少ないことを査定する。
3. 疾病により、または、高齢により受刑者の生命の危険が明らかな場合、警察医および刑務所医療施設の意見書でそう証明されたときは、裁判官または裁判所は、その他の要件の履行証明の必要なくして、受刑者の重大な危険性のなさが評価されると、前項に係わる査定を行うために最終予見の報告を刑務所に要求する以外の手続きなしに、刑の残余の執行停止を決定し、条件付き保釈を譲許することができる。
 この場合、受刑者は、刑務所医療施設、警察医あるいは裁判官または裁判所が決める他の者に、疾病の進展について査定できるようにする必要情報を提供する義務を負う。
 この義務の違反は、執行停止と条件付き保釈の撤回をもたらす。
4. 本条に規定される場合には、前条の第4,5,6項に含まれる規定が適用される。

92
1. 裁判所は、次の要件が満たされるときは、再審可能終身刑の執行停止を決定する:
a) 受刑者が、その刑の25年を履行したこと。ただし、第78条の2の規定を妨げない。
b) 第3級に分類されていること。
c) 裁判所が、受刑者の人間性、その前歴、犯行の事情、犯罪繰り返しで影響を受ける法益の重要性、刑の履行中のその者の行動、家族・社会的事情および当該執行停止と科される(保安)処分の履行から期待できる効果を考慮して、矯正施設また当該裁判所が決める専門家が提出する進展報告の査定の後、社会復帰の好ましい予見の存在を設立(fundar)できること。
 受刑者が複数の犯罪で罰せられている場合は、c)に係わる要件の審査は、全ての犯行を一体として査定して、実施される。
 裁判所は、検察庁と弁護士を伴う受刑者が参加する対審口頭弁論の後、再審可能終身刑の停止について決定する。
2. テロ組織とグループに係わる犯罪および本刑法典第2編第22章第7節のテロリズム犯罪の場合、更に、受刑者がテロリスト活動の目的および手段を放棄した明白な表示をすること、および、組織の一部またはテログループによる他の犯行発生を阻害するため、犯罪の効果を弱めるため、テロ犯罪の責任者の特定、逮捕および起訴についての証拠収集のため、または、所属していた、または、協力していた組織または結社の活動または展開を阻止するため、官署と積極的に協力したことが必要である。このことは、自身の犯罪活動の否定と暴力の放棄の明白な陳述および被害者への謝罪によって信用され得る、また、受刑者が実際にテロ組織およびテロ組織を囲む不法結社・集団の環境・活動から離れていること、および、官署との協力を証明する、専門的報告書によって信用され得る。
3. 執行停止は5年から10年の期間となる。停止と条件付き保釈の期間は、受刑者が釈放された日から数える。第80条第1項第2段の規定と第83,86,87,91条の規定が適用される。
 裁判官または裁判所は、査定された事情の有りうる変動を考慮して、第83条に従って以前採用した決定を修正でき、また、新たな禁止、義務または給付の賦課、既に決定されたそれらのものの修正、または、それらのものの取消しを決定できる。
 同様に、矯正観察裁判官は、刑の残余の執行停止および条件付き保釈譲許を、停止をもたらした事情の変化(つまり、採用された(停止)決定を理由づけた危険性のなさの予想をもはや維持できない変化)が明らかになるときは、撤回することができる:
4. 本条第1項a)に係わる刑の部分が、または、第782の刑の部分が経過したときは、裁判所は、最低2年毎に、条件付き保釈の残余の要件の履行(状態)を検証しなければならない。裁判所は、また、受刑者の条件付き保釈譲許の申立てを決定する。しかし、申立て却下の後、新たな申立て不可期間を(最長)1年までと設定できる。

93  削除 

4款 共通条項

94
 本節第2款の効果のため、5年を超えない期間内に或る同じ節に含まれる犯罪を3回以上犯し、有罪となった者は常習的犯罪者とみなされる。
 この計算実施のため、一方では、第88条による刑の停止または代替の時期、および、他方では、常習性評価の基礎となる犯罪の実行日が考慮される。

94条の2
 本節の規定の効果のため、欧州連合の他の国で科された裁判官または裁判所の確定有罪判決は、スペイン法に従ってその前歴が取り消された場合、または、取り消され得る場合を除いて、スペインの裁判官または裁判所により科されたものと同様な価値を有する。

 

通訳案内士(元司法書士) 古閑次郎

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スペイン刑法典(2015年版)