4章 保安処分

1節 保安処分一般

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1. 保安処分は、裁判官または裁判所により、適切とみなされる報告の後で、本刑法典の次節で規定されるケースに該当する者に、次の事由が満たされると、適用される:
① 当事者が犯罪と規定される行為を犯したこと。
② 犯罪行為および当事者の人的状況から、新たな犯行の可能性を呈する将来の行動が予測できること。
2. 犯行によって科され得る刑が自由剥奪刑でないときは、判決裁判官または裁判所は第96条第3項に規定する保安処分のみ決定できる。

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1. 本刑法典に従って科され得る保安処分は自由剥奪または非剥奪である。
2. 次のものは自由剥奪保安処分である:
① 精神医学センターでの収容。
② 脱習慣性センターでの収容。
③ 特別教育センターでの収容。
3. 次のものは自由非剥奪保安処分である:
① 職業的公権剥奪。
② 合法的スペイン住民でない外国人の国外追放。
③ 監視付釈放。
④ 家族監視。この保安処分が科された者は、(裁判官または裁判所に)指名されて監視を引き受ける身内の者の保護(cuidado)と見張りに服する。監視者は、被監視者の学業または労働活動を害することなく、矯正観察裁判官と関連して監視を行う。
⑤ 自動車およびモータ・バイク運転権利の剥奪。
⑥ 武器の所持・携帯権利の剥奪。

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 判決の執行中、判決裁判官または裁判所は、次条に規定される手続きにより、次の決定の或るものを採用できる:
a) 科された保安処分の執行を維持すること。
b) 本人の犯罪危険性が消滅するとすぐに、科された保安処分の停止を宣言すること。
c) 当該ケースに規定されている保安処分の中で他のより適切な保安処分で代替させること。代替が決定され、本人の進展が好ましくなかった場合は、代替を停止して被代替処分を回復させる。
d) (保安処分)適用で得られた結果に留意して、処分を科した判決で示された最大期間にまで残る期間を超えない期間で、処分の執行を停止すること。停止には、本人が決められた期間に犯罪を犯さないことが条件づけられる。また、第95条の事由の何らかが新たに証明されると、停止は効果を失う。

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1. 前条の効果のために、自由剥奪保安処分または自由剥奪刑の後で執行されるべき監視付釈放処分の場合、矯正観察裁判官は、最低でも毎年、当該処分の維持、終了、代替または停止の提案を申し立てる義務を負う。この提案をするために矯正観察裁判官は、保安処分に服する者を支援する医師および専門家、または、管轄の公共行政機関が提出する報告を、場合によっては、この目的のために命じるその他の手続きの結果を査定しなければならない。
2. その他の自由非剥奪処分の場合、判決裁判官または裁判所は、前条に係わる行政機関、医師、専門家から有罪判決を受けた者の状況と進展、そのリハビリの程度および再犯の予見に関する適時の報告を収集する。
3. いずれにしても、判決裁判官または裁判所は、処分に服している者、検察庁およびその他の当事者の意見を聞いて、提案または前各項にそれぞれ係わる報告を考慮して、理由付きで裁決する。同様に、当初または判決執行のいかなる時に意見を聞くことを申し立てたが出頭しなかった(居場所が判明する)犯罪被害者の意見を聞く。

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 自由剥奪刑と自由剥奪保安処分の競合の場合、裁判官または裁判所は、刑の履行に算入される保安処分を命じる。一旦、保安処分が取り外されたとき(alzar)、裁判官または裁判所は、刑の執行が保安処分で得られた効果を危険に陥らせたときは、刑の残余の履行を、その期間を超えない期間で停止でき、または、第96条第3項に規定する処分のなんらかを適用できる。

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1. 収容保安処分の違反の場合は、裁判官または裁判所は本人が逃走した同じセンター、または、その者の状態に応じた他のセンターへの再入所を命じる。
2. 他の処分の(違反の)場合、裁判官または裁判所は、違反された処分を収容処分で代替することを、収容処分が当該事案に予見されていた場合、および、違反がその必要性を示す場合、決定できる。
3. 両方の場合、裁判官または裁判所は、違反により証拠を推定する(deducir testimonio(?))。この効果のため、治療に服することの拒否または当初同意した治療の継続の拒否は違反とはみなされない。しかしながら、裁判官または裁判所は、当初または後で拒否された治療を当該事案に適用可能な他の処分で代替することを決定できる。

 

通訳案内士(元司法書士) 古閑次郎

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スペイン刑法典(2015年版)