(第4章 保安処分)
2節 保安処分の適用

1款 自由剥奪保安処分

101
1. 第20条①に従って刑事責任を免除された当事者には、必要に応じて、査定される精神の異常または変動の種類に適した施設での医療処置または特殊教育のための収容処分、または、第96条第3項に規定される処分の他のいかなるものも適用できる。収容は、(本人が有罪と宣告された場合の)自由剥奪刑の期間を超えることはできない。このために、裁判官または裁判所は判決中その最大期間を定める。
2. この処分に服した者は、本刑法典第97条の規定に従って、判決裁判官または裁判所の許可なく、施設を離れることはできない。

102
1. 第20条②に基づき刑事責任を免除された者は、必要に応じて、正式に認可された、または認定された公的または私的な脱習慣性施設への収容処分、または、第96条第3項に規定される処分の他のなんらかが適用される。収容は、(本人が有罪と宣告された場合の)自由剥奪刑の期間を超えることはできない。このために、裁判官または裁判所は判決中その最大期間を定める。
2. この処分に服した者は、本刑法典第97条の規定に従って、判決裁判官または裁判所の許可なく、施設を離れることはできない。

103
1. 第20条③に従って責任免除を宣告された者には、必要に応じて、特別教育センターへの収容処分、または、または、第96条第3項に規定される処分の他のなんらかが適用される。収容は、(本人が有罪と宣告された場合の)自由剥奪刑の期間を超えることはできない。このために、裁判官または裁判所は判決中その最大期間を定める。
2. この処分に服した者は、本刑法典第97条の規定に従って、判決裁判官または裁判所の許可なく、施設を離れることはできない。
3. この場合、本刑法典第98条に係わる提案は、各教育コースまたは教育段階の終わりに行われなければならない。

104
1. 第20条①、②および③に関連して、不完全な免除(eximente incompleta)の場合、裁判官または裁判所は、対応する刑の他に、第101条、102条及び103条に規定する処分を科すことができる。ただし、収容処分は、科される刑が自由剥奪のとき、科すことができ、その期間は、当該犯罪に本刑法典が定める期間を超えることはできない。この適用には第99条の規定が順守される。
2. 前項または第101条、102条及び103条に規定する収容処分を科すときは、判決裁判官または裁判所は、充分時間的余裕をもって、本刑法典の附則第1の規定の効果のため、検察庁にその期間の満了が近いことを通知する。

2款 自由非剥奪保安処分

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 101条から第104条に規定されている場合で、自由剥奪処分を科すとき、または、その処分の執行の間、裁判官または裁判所は、下記に列挙される1個または数個の処分を熟慮して科すことができる。同様に、本刑法典に明示的に規定されるその他の場合に当該処分のなんらかを科さなければならない。
1.  5年を超えない期間:
a) 監視付き釈放。
b) 家族監視。この保安処分が科された者は、指名され監視を引き受ける身内の者の保護と見張りに服する。監視者は、被監視者の学業または労働活動を害することなく、矯正観察裁判官と関連して監視を行う。
2. 10年までの期間:
a)  監視付き釈放、本刑法典が明示的に規定するとき。
b) 武器の所持・携帯権利の剥奪。
c) 自動車およびモータ・バイク運転権利の剥奪。
 判決裁判官または裁判所は、本条に規定される1個または数個の処分を順守する義務を宣言するため、同じく、法律によりそれらを科す義務を負うときに当該義務を具体化するため、保安処分に服する者を支援する医師と専門家が提出する報告を査定しなければならない。
 矯正観察裁判官または対応行政機関の施設(servicios)は、判決裁判官または裁判所に報告する。
 本条で規定される場合では、判決裁判官または裁判所は、管轄社会支援施設が自由非剥奪保安処分に服する者に必要かつ適法に対応する支援または配慮を提供できるように処置する。

106
1. 監視付き釈放は、次の1個または数個の処分の履行により受刑者を裁判所の監視に服させることで実施する:
a) 追跡を可能にする電気的装置により常時居場所が分かるようにする義務。
b) 裁判官または裁判所が設定する場所に定期的に出頭する義務。
c) 裁判官または裁判所が定める最大期間内および手段で、住所地または仕事場の変更を直ちに通知する義務。
d) 裁判官または裁判所の許可なく、住所地または定められた場所から離れることの禁止。
e) 被害者、その家族あるいは裁判官または裁判所が定める者に接近することの禁止。
f) 被害者、その家族あるいは裁判官または裁判所が定める者と連絡することの禁止。
g) 特定の地域、場所または施設に出入りすることの禁止。
h) 特定の場所に住むことの禁止。
i) 同様な犯行機会を与える、または、(犯行を)容易にする特定の活動に従事することの禁止。
j) 教育的、職業的、文化的、性教育または他の同様なプログラムに参加する義務。
k) 外部治療を継続する、または、定期的医療管理に服する義務。
2. 105条の規定を害することなく、裁判官または裁判所は判決中に監視付き釈放の保安処分を、本刑法典がそう明示的に規定するときは、自由剥奪刑の後で履行するために科さなければならない。
 これらの場合、少なくとも自由剥奪刑消滅の2月前に、監視付き釈放の保安処分がその同じ時に開始でできるよう、矯正観察裁判官は、第98条に規定される手続きによって、判決裁判官または裁判所に適時の提案を上げる。判決裁判官または裁判所は、当該手続きに従って、第97条の規定を害することなく、受刑者が順守すべき本条第1項に列挙される義務または禁止(事項)を定めて保安処分の内容を決定する。
 受刑者が、継続して履行すべき数個の自由剥奪刑に処せられている場合は、前段の規定は、それら全ての履行が終了するときに参照される。
 同様に、数個の犯罪により(決定された義務または禁止の中身によっては、同時履行ができない)その他の監視付き釈放が科されている者は、それらを連続して履行する。ただし、裁判官または裁判所が次項で与えられる権能を行使できることを妨げない。
3. 第98条の手続きにより、裁判官または裁判所は、次のことができる:
a) 科された義務・禁止を修正する
b) 監視付き釈放の期間を減少する。または、科された義務・禁止の継続を不必要または非生産的とする社会復帰の肯定的見通しから判断して、監視付き釈放を終了させる。
c) 本条第2項に規定される(義務・禁止の決定の)ときに、b)の事由が発生すると、処分の効果を失くさせる。
4. 1個または数個の義務の不履行の場合、裁判官または裁判所は、共起する事由を考慮して、前各項と同じ手続きにより、科された義務または禁止を修正できる。不履行が繰り返され、または、重大で義務または禁止に服しない意思の表れの場合、裁判官は、さらに、本刑法典第468条の推定犯罪について手続きする(deducir testimonio) (?)。

107
 裁判官または裁判所は、特定の権利、職業、職務、諸事業活動、地位あるいは雇用の行使について1年から5年間の公権剥奪処分を、第20条の①、②および③に規定する状況のひとつに該当することで対応する刑罰を科すことができない場合で、本人が当該(権利等の)行使を濫用して、または、それと関連して、犯罪を実行したとき、および、共起する事由を評価すると同じまたは同種の犯罪を犯す危険が推定できるときは、熟慮して宣告できる。

108
1. 当事者がスペインに合法的に居住していない外国人である場合、裁判官または裁判所は、その者の意見を聞いた後、適用される保安処分の代替として国外追放を判決中で決定する。ただし、裁判官または裁判所が検察庁の意見を聞いた後、例外的かつ理由付きで、犯罪の性質がスペインでの履行が正当であると評価する場合を除く。
 このように決定された追放には、スペインで居住または労働する許可を目的とする行政手続きの記録(archivo)を伴う。
 保安処分の追放による代替が決定されたが、追放が実行できない場合は、元々科された保安処分の履行に移行する。
2. 当該外国人は、追放の日から数えて10年間スペインに再入国することができない。
3. 前各項に係わる追放および入国禁止の司法決定を破ろうとする外国人は、行政官署により送還され、入国禁止の期間はその全体で新たに数え始める。

 

通訳案内士(元司法書士) 古閑次郎

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スペイン刑法典(2015年版)