7章 刑事責任とその効果の消滅

1節 刑事責任を消滅させる原因

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 刑事責任は次の場合消滅する:
① 受刑者の死亡により。
② 刑の履行により。
③ 第87条第1,2項の規定に従って、刑の確定的免除により。
④ 恩赦により。
⑤ 親告軽罪のとき、または、法律がそう規定するときで、被害者の宥恕により。宥恕は、判決が宣告される前に明示的に与えられなければならない。この効果のため、判決裁判官または裁判所は宣告前に被害者の意見を聞かなければならい。
 年少者または特別の保護を必要とする障害者(persona con discapacidad)に対する犯罪では、裁判官または裁判所は、検察庁の意見を聞いて、それらの者の代理人により与えられた宥恕の効力を、検察庁の参加を受けて訴訟の継続、または、刑の履行を命じて、否定できる。
 前段に係わる宥恕を否定するためには、裁判官または裁判所は、年少者または特別の保護を必要とする無能力者の代理人の意見を改めて聞かなければならない。
⑥ 犯罪の時効により。
⑦ 刑の、または、保安処分の時効により。
2. 法人の組織変更、合併、吸収または分割はその刑事責任を消滅させない。刑事責任は組織変更、合併または吸収した法人(entidad)に移転する、また、分割後の法人に及ぶ。裁判官または裁判所は、法人への刑罰の移転を、元々犯罪に責任がある法人がその法人に有する比率で軽減することができる。
 法人の隠匿解散(disolución encubierta)または単なる表見解散は刑事責任を消滅させない。いずれにしても、その経済活動が継続し、顧客、供給者および従業員の同一性、または、それらの重要部分の同一性が保たれているときは、法人の隠匿解散または単なる表見解散とみなされる。

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1. 犯罪は次の年数で時効にかかる:
① 20年、犯罪に指定される最大刑が15年以上の禁固のとき。
② 15年、犯罪に指定される最大刑が10年超の公権剥奪のとき、または、10年超で15年未満の禁固のとき。
③ 10年、犯罪に指定される最大刑が5年超で10年を超えない禁固または公権剥奪のとき。
④ 5年、その他の犯罪のとき。1年で時効にかかる軽罪および侮辱・中傷罪を除く。
2. 法律で指定される刑が複合(刑)のときは、本条に含まれる規則の適用について、時効には刑期が長い規則が適用される。
3. 人道に対する罪、ジェノサイドの罪、および、第614条で罰せられるのを除いて武力衝突の場合で保護される人身および財物に対する罪は、いかなる場合でも時効にかからない。
 また、テロリズムの罪は、人を死亡させると、時効にかからない。
4. 罪の競合または牽連犯(infracciones conexas)の場合は、時効期間は最も重い罪に対応する。

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1. 前条の期間は、処罰可能な犯罪が行われた日から数えられる。(複数犯罪行為による)継続犯(delito continuado)、(一個の犯罪行為による)継続犯(delito permanente)の場合、また、常習性を要求する犯罪の場合は、(時効)期間は、それぞれ、最後の犯罪が行われた日、不法状態が解消された日、その(常習)行動が止んだ日から数えられる。
 殺人未遂、同意なしの堕胎、傷害、人身売買、監禁・拷問の罪、および、精神の健全性、性的自由・安全、プライバシー、肖像権と住居不可侵に反する罪の場合、被害者が未成年者のときは、成年に達したときから数える。また、成年前に死亡したときは、死亡の日から数える。
2. 時効は、次の規定に従って訴訟が犯罪被疑者に請求されるときに中断され、経過時間は無効となる。また、訴訟が麻痺状態になるときから、または、有罪判決なしに終了するときから、新たに進行する。
① 訴訟は、ある特定の者に対して、訴訟開始時または事後に、犯罪構成被疑行為へのその者の推定参加が帰属すると理由付き(裁判所の)決定で宣言されるときから、請求されたものとみなされる。
② ①に係わらず、犯罪構成被疑行為へのある特定の者の推定参加が帰属するとする司法機関への告訴の提起または告発は、告訴提起または告発の日から数えて最大6月まで時効計算を停止させる。
 当該期間内に告訴または告発された者に対して、あるいは、(犯罪)行為に関連するその他のいかなる者に対して①の裁判所決定が宣言される場合は、時効の中断は告訴提起または告発の日に遡及してなされたものとみなす。
 反対に、時効期間の計算は、6月の間に告訴または告発を却下する、または、被告訴人または被告発人に訴訟提起しないとする裁判所の確定裁決が出た場合、告訴提起または告発の日から継続する。また、当該期間内に予審判事が本条に規定するなんらかの裁決をしなかった場合も、計算は継続される。
3. 本条の効果のため、訴訟を提起される者は、その直接的身元確認により、あるいは、(犯罪)行為が帰属する者たちの組織またはグループの中で当該身元確認を事後に確定させ得るデータにより、裁判所裁決において十分特定されていなければならい。

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1. 確定判決により科された刑は、次の年数で時効にかかる:
① 30年、20年超の禁固刑のとき。
② 25年、15年以上で20年未満の禁固刑のとき。
③ 20年、10年超の公権剥奪刑および10年超で15年未満の禁固刑のとき。
④ 15年、6年超で10年を超えない公権剥奪刑および5年超で10年未満の禁固刑のとき。
⑤ 10年、残りの重刑のとき。
⑥ 5年、非重刑のとき。
⑦ 1年、軽刑のとき。
2. 人道に対する罪、ジェノサイドの罪、および、第614条で罰せられるのを除いて武力衝突の場合で保護される人身および財物に対する罪により科される刑は、いかなる場合でも時効にかからない。
 また、テロリズムの罪により課される刑は、人を死亡させると、時効にかからない。

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1. 刑の時効の期間は、確定判決の日から、または刑の履行が開始した場合は、刑の(脱獄等)違背から計算される。
2. 刑の時効の期間は、次の間停止する: 
a) 刑の執行停止の期間。
b) 他の刑の履行中の期間、第75条の規定が適用されるとき。

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1. 保安処分は、3年超の自由剥奪の場合、10年で時効にかかる。また、3年以下の自由剥奪または他の内容を含む場合、5年で時効にかかる。
2. 時効の期間は、保安処分を科す決定が確定した日から数える、または、継続的履行の場合は、履行を開始すべきであったときから数える。
3. 保安処分の履行が刑の履行の後である場合、期間は刑の消滅から数える。

 

通訳案内士(元司法書士) 古閑次郎

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スペイン刑法典(2015年版)