10章 プライバシー、肖像権および住居不可侵に反する罪

1節 秘密漏洩の罪

197
1. 他人の秘密を漏洩またはプライバシーを侵害するために、その人の同意なく、書面、手紙、電子メール、その他のいかなる文書または個人的な身の回り品を手に入れる者、その人の電気通信を傍受する者、あるいは、音声または画像またはその他のいかなる通信信号の聴取、送信、録音または再生用の技術的装置を使用する者は、1年から4年の禁固刑、または、12月から24月の罰金刑に処せられる。 
2. 承認なしに、第三者を害して、情報的、電子的またはテレマティーク的ファイル、または、それら的記録媒体、あるいは、いかなる他のタイプのアーカイブ、または、公的または私的記録保存装置に記録されている他人の個人的または家族的性格の保存データを入手、使用または変更する者には、同じ刑が科される。同じ刑が、承認なしに、なんらかの手段で以上のものにアクセスする者、および、データの所有者または第三者を害してそれらを変更または利用する者に科される。
3. 前各項に係わる漏洩データまたは事実あるいは受信された画像が第三者に流布、表示または譲渡される場合は、2年から5年の禁固刑が科される。
 その違法な出所を知って、かつ、その漏洩には加担していなくて、前段に規定される行為を実行した者は、1年から3年の禁固刑、または、12月から24月の罰金刑に処せられる。
4. 本条の第1項および第2項に規定される行為は、次の場合は、3年から5年の禁固刑に処せられる:
a) 情報的、電子的またはテレマティーク的ファイルまたは記録媒体、アーカイブあるいは記録保存装置の担当者または責任者が犯した、または、
b) (当該行為が)被害者の個人的データの未承認利用によって行われる。
 保存データが第三者に流布、譲渡または表示された場合は、刑はその下限を半分上回らせて科される。
5. 同様に、前各項に規定される行為が、主義、宗教、信条、健康、人種的起源または性生活を表示する個人的性格のデータに影響するとき、または、被害者が未成年者または特別な保護が必要な無能力者であるときは、刑はその下限を半分上回らせて科される。
6. 行為が営利目的で行われる場合、本条の第1項から第4項にそれぞれ規定される刑をその下限を半分上回らせて科される。さらに、前項記載事項のデータに影響する場合は、科される刑は4年から7年の禁固刑となる。
7. 住居または第三者の目の届かない他の場所でその人の同意を得て入手したその人の画像または視聴覚録音録画物を、影響を受ける人の承諾なく、第三者に流布、表示または譲渡する者は、当該暴露がその人のプライバシーを著しく傷つけるときは、3月から1年の禁固刑、または、6月から12月の罰金刑に処せられる。
 (当該)行為が、配偶者によって、あるいは、例え同居していなくとも同様な愛情関係で結ばれている、または、結ばれていた者によって実行されたとき、被害者が未成年者または特別な保護が必要な無能力者であったとき、あるいは、利益目的で実行されたときは、刑はその下限を半分上回らせて科される。

197条の2
1. なんらかの手段または方法で、それを阻止するために設定された防護措置を破って、正規に承認を得ず、情報システムの全体または一部にアクセスする、または、他人にアクセスを提供する者、あるいは、正当に排除権を有する人の意に反してそのシステム内に留まる者は、6月から2年の禁固刑に処せられる。
2. 技術的装置または道具を用いて、正規に承認を得ず、ある情報システムから、そこへ向かって、または、その内部で生じる情報データの非公開通信を、その同じ情報システムからの電磁的送信を含めて、傍受する者は、3月から2年の禁固刑、または、3月から12月の罰金刑に処せられる。

197条の3
 第197条第1項および2項または第197条の2に係わる犯罪のなんらかの実行を容易にする目的で、正規に承認を得ず、次のものを製作、自己使用に取得、輸入、または、なんらかの方法で、第三者に供給する者は、6月から2年の禁固刑、または、3月から18月の罰金刑に処せられる:
a) 当該犯罪を犯すために、主として考案された、または、適合された情報処理プログラム。
b) コンピュータのパスワード、アクセス・コード、または、情報システムの全体または一部にアクセスできるようにする同様なデータ。

197条の4
 本節に規定される行為が犯罪組織またはグループの中で行われた場合は、それぞれ下限を半分上回らせる刑が適用される。

197条の5
 31条の2の規定に従って、法人が、第197条、第197条の2および第197条の3に含まれる犯罪に有責のときは、6月から12月の罰金刑が科される。第66条の2に規定される規則に留意して、裁判官および裁判所は、同様に、第33条第7項のb)号からg)号に規定される刑を科すことできる。

198
 法律で認められた場合以外で、犯罪に基づく適法な理由を介さないで、自己の職務を利用して、前各条に規定される何らかの行為を犯した官署または公務員は、前各条に規定されるそれぞれの刑にその下限を半分上回らせて処せられ、さらに、6年から12年の絶対的公権剥奪刑に処せられる。

199
1. 自己の職務または労働関係により知見を得る他人の秘密を漏洩した者は、1年から3年の禁固刑、および、6月から12月の罰金刑に処せられる。
2. 秘密保持義務の不履行で、他人の秘密を漏洩する本職(profesional)は、1年から4年の禁固刑、12月から24月の罰金刑、および、当該職業についての2年から6年の個別的公権剥奪刑に処せられる。

200
 本節の規定は、本刑法典の他の条項に規定されているものを除き、(法人)代表者の同意なしに、法人の秘密データを漏洩、漏泄、または、譲渡した者に適用される。

201
1. 本節に規定される犯罪に対する訴訟手続きには、被害者またはその法定代理人の告発が必要である。被害者が未成年者、無能力者または貧窮者(desvalidos、身寄りのない者?)である場合、検察庁もまた告発できる。
2. 第198条に規定される行為に対する訴訟手続きするためには前項で要求される告発は必要でなく、また、犯行が一般の利益または多数の人に影響するときも必要ない。
3. 被害者またはその法定代理人の宥恕は、場合に応じて、刑事訴訟を消滅させる。ただし、第130条第1項⑤号の第2段の規定を害さない。

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通訳案内士(元司法書士) 古閑次郎

スペイン刑法典(2015年版)