(第12章 家族関係に反する罪)
3節 家族の権利と義務に反する罪

1款 庇護義務違反および未成年者への住居放棄教唆の罪

223
 未成年者または無能力者(incapaz)の庇護を引き受けて、正当な理由なく、その者をその父母または監護者(guardador)に、これらから要求されたときに、引き渡さなかった者は、6月から2年の禁固刑に処せられる。ただし、当該行為がより重大な犯罪を構成することを害さない。

224
 未成年者または無能力者に家庭、または、父母、後見人または監護者の承諾で居住している場所を放棄することを教唆した者は、6月から2年の禁固刑に処せられる。
 未成年の子に、司法または行政当局が設定した庇護方法に違反するよう、教唆した父母には同じ刑が科される。

225
 2条に規定される犯罪の有責者が、未成年者または無能力者を、侮辱、虐待またはなんらかの犯罪行為の対象とせず、また、その者の生命、健康、身体または性的自由を危険に置かないで、その住所または居住地に戻したり、あるいは、知れていて安全な場所に(それらの者を)託するときは、当該行為は、未成年者または無能力者の居場所が父母、後見人または監護者に通知されていたとき、または、不在が24時間を越えなかったときは、3月から1年の禁固刑または6月から24月の罰金刑に処せられる。

2款 未成年者の連れ去りの罪

225条の2
1. 正当な原因なく、自己のために、自分の未成年の子を連れ去った親は、2年から4年の禁固刑および親権行使について4年から10年の個別的公権剥奪刑に処せられる。
2. 本条の効果について、次のものを連れ去りとみなす:
① 通常同居している親、または、(その子の)保護または庇護が託されている人または施設の同意なく、未成年者をその居住場所から移動させる。
② 司法または行政決定により設定された義務をいちじるしく違反して未成年者を留置する。
3. 未成年者が、スペイン国外に移送されたとき、または、その返還になんらかの条件が要求されたときは、第1項の刑が、その下限を半分上回らせて科される。
4. 連れ去り者が、他の親、または、適法な監護対応者に、すぐ返還(これは実際的に行う)する約束で連れ去りから24時間以内に所在地を通知したとき、または、不在が当該24時間の期間を越えなかったときは、刑を免除される。
 前段に係わる通知なしに、連れ去りから15日以内に返還された場合は、6月から2年の禁固刑が科される
 これらの期間は連れ去りの告発の日から数える。
5. 本条に規定される刑は、同じく、上記行為に係わった未成年者の尊属および父母の親族で2親等までの血族または姻族に科される。

3款 家族、未成年者または特別な保護が必要な無能力者の遺棄の罪

226
1. 親権、後見、保護または里親に固有の法的支援義務を履行しなかった者、または、困窮状態にあるその卑属、尊属または配偶者の生計に法的に規定された必要な支援を提供しなかった者は、3月から6月の禁固刑または6月から12月の罰金刑に処せられる。
2. 裁判官または裁判所は、犯人(reo)に、理由付けして、親権、後見、保護または里親について4年から10年の個別的公権剥奪刑を科すことができる。

227
1. 法律上の別居、離婚、婚姻無効の確認、親子関係の訴訟、または、子の利益での扶養訴訟のケースにおいて裁判上承認された協定または司法決定で設定されたその配偶者または子のためのいかなる形式での経済的給付を連続2月間または連続しない4月間支払わなかった者は、3月から1年の禁固刑または6月から24月の罰金刑に処せられる。
2. 前項に規定されるケースにおいて共同または一方的な形で設定された他のいかなる経済的給付を支払わなかった者は、同じ刑に処せられる。
3. 犯罪に由来する損害の回復は、(負った)債務額の支払いを常に伴う。

228
 2条に規定される犯罪は、被害者またはその法定代理人の告発の後で訴追される。前者が未成年者、無能力者または困窮者(desvalidos身寄りがない者?)の場合、検察庁も告発できる。

229
1. 未成年者または無能力者の保護を委託された者による遺棄は、1年から2年の禁固刑に処せられる。
2. 遺棄が父母、後見人または法的保護者によりなされた場合は、18月から3年の禁固刑が科される。
3. 遺棄の事由により、未成年者または無能力者の生命、健康、身体または性的自由が具体的危険にさらされた場合、2年から4年の禁固刑が科される。ただし、その行為が他のより重い犯罪を構成した場合、対応して処罰することを害さない。

230
 未成年者または無能者の一時的遺棄は、それぞれの場合において、前条に規定する刑より1段階低い刑に処せられる。

231
1. 未成年者または無能者の育成または教育を担当する者で、その権限を委任した者の、または、それがいない場合は、官署の同意を得ずに、(未成年者または無能者を)第三者または公的施設に引き渡した者は、6月から12月の罰金刑に処せられる。
2. 引渡しにより、未成年者または無能力者の生命、健康、身体または性的自由が具体的危険にさらされた場合、6月から2年の禁固刑が科される。

232
1.  未成年者または無能力者を、物乞い行為に利用または提供した者は、物乞い行為が隠されている場合を含め、6月から1年の禁固刑に処せられる。
2. 前項の目的のために、未成年者や無能力者を売買した者、それらに暴力または威嚇を用いた者、または、健康に害がある物質をそれらに供給した者は、1年から4年の禁固刑に処せられる。

233
1. 裁判官または裁判所は、未成年者の状況に留意して適切であると判断した場合、第229条から第232条に定められた犯罪の責任者に、親権の行使または監護(guarda)、後見、保佐または里親の権利の行使について4年から10年の個別的公権剥奪刑を科すことができる。
2. 有罪判決を受けた者が公務員の地位により未成年者を監護していた場合は、さらに、公雇用、公職についての2年から6年の個別的公権剥奪刑が科される。
3. いずれにしても、検察庁は、管轄当局に、未成年者の適切な庇護と保護のための適切な措置を要請する。

 

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通訳案内士(元司法書士) 古閑次郎

スペイン刑法典(2015年版)