(第17章 集団的安全保障に反する罪)
3節 公衆衛生に反する罪

359
 正当に認可されていなくて、健康に有害な物質または惨害を引き起こす可能性のある化学製品を調製する、または、それらを販売または供給する、あるいは、それらで商売する者は、6月から3年の禁固刑、6月から12月の罰金刑、および、職業または事業活動について6月から2年の個別的公権剥奪刑に処せられる。

360
 前条に係わる物質または製品の取引を許可されていて、それぞれの法律及び規則に定める手続を履行しないでそれらを販売または供給する者は、6月から12月の罰金刑、および、職業または職務について6月から2年の個別的公権剥奪刑に処せられる。

361
 法律で要求される必要的認可を欠いている、人および家畜用薬品を含む薬品および研究中の薬品を、あるいは、一般的規定により要求される承認書類を有しない健康製品を、または、悪化した、期限が切れた、または、その組成、安定性および有効性に関連する技術的要求を満たさなくて、人の生命または健康に危険を及ぼす健康製品を、製造、輸入、輸出、供給、仲介、商業化、提供または市場に置く、あるいは、これらの目的で貯蔵する者は、6月から3年の禁固刑、6月から12月の罰金刑、および、職業または職務について6月から3年の個別的公権剥奪刑に処せられる。

361条の2 削除 (2015年3月30日基本法)

362
1. 次の物を(下記項目を偽って表示して)調製または製造する者は、6月から4年の禁固刑、6月から18月の罰金刑、および、職業または職務について1年から4年の個別的公権剥奪刑に処せられる:
a) 人および家畜用薬品を含む薬品、また、研究中の薬品、または、活性物質または当該薬品の結合剤;
b) 健康製品、また、その形成に不可欠な付属物(accesorios)、成分(elementos)、または、材料;
 公衆の消費または第三者による使用を目的として、また、人の生命または健康に危険を発生する場合において、容器、ラベル、消費期限、構成物の名称または成分、あるいは、それらの調合、製造者、製造国、原産地国および商業化承認または承認書類の名義人権利者を含む、その出所(origen)。また、法的要件または要請の履行に係るデータ、免許書、承認または許可書類。また、登録、採用された物流に係わる書類を含む、その履歴。
2. 製造時または調合時、あるいは、その後、前項に示される医薬品、結合剤、健康製品、付属物、成分または材料を、人の生命または健康に危険を発生させて、その安全性、効果または品質を低下するように、変更した者には同じ刑が科される。

362条の2
 その偽造または変更を知って、前条に係わる医薬品、活性物質、結合剤、健康製品、付属物、成分または材料のいかなるものを、輸入、輸出、宣伝、供与、表示、販売、提供、発売、処理、容器詰め、仲介を含んで供給、取引、配布して、または、市場に置いて、もって、人の生命または健康に危険を発生させる者は、6月から4年の禁固刑、6月から18月の罰金刑、および、職業あるいは職務について1年から3年の個別的公権剥奪刑に処せられる。
 それらを公衆の消費、第三者による使用または公衆衛生に影響を与える可能性のある使用に向ける目的で、それらを取得または貯蔵する者には、同じ刑が科される。

362条の3
 362条の犯罪のひとつを犯すため、または、その実行を容易にするため、その容器、ラベルおよび使用法を含んで、第362条第1項に係わる医薬品、活性物質、結合剤、健康製品、付属物、成分または材料のいかなるものに係わる偽造書類または偽りの内容の書類を作成する者は、6月から2年の禁固刑、6月から12月の罰金刑、および、職業あるいは職務について6月から2年の個別的公権剥奪刑に処せられる。

362条の4
 犯罪が次の事由のなんらかを伴って行われるときは、第361条、362条、362条の2または362条の3に示される刑より1段階高い刑が科される:
① 有責者が、官署、公務員、医師、衛生専門家、教師、教育家、身体コーチまたはスポーツコーチであって、その職業または職務の行使で行った。
② 第362条に係わる医薬品、活性物質、結合剤、健康製品、付属物、成分または材料が、
a) 大量配布手段によって提供された、または、
b) 未成年者、特別の保護が必要な無能力者、または、供与される製品に関して特に脆弱な人に提供または供与された。
③ 有責者が、この種類の犯罪実行を目的とする犯罪組織またはグループに所属していた。
④ 行為が、公衆に開放されている施設内で、その責任者または従業員により行われた。

362条の5
1. 治療の正当性なしに、非競争スポーツ連盟に加盟しているスポーツ選手、レクレーションでスポーツしている(それに)加盟していないスポーツ選手またはスポーツ団体によりスペインで組織される競技会に参加するスポーツ選手に、その身体能力を高めるため、または、競技結果を修正するために、その内容物、摂取の繰り返しまたは他の付加的状況によりそれらの選手の生命または健康を危険にさらす、禁止されている物質または薬剤群を、同じく、正規でない方法を処方、融通、供与、供給、投薬または提供する者は、6月から2年の禁固刑、6月から18月の罰金刑、および、公雇用、公職、職業あるいは職務について2年から5年の個別的公権剥奪刑に処せられる。
2. 犯罪が、次の事由のなんらかを伴って行われるときは、前項に規定される刑は、その下限をその下限を半分上回らせて科される:
① 被害者が未成年者である。
② 欺罔または威嚇が用いられた。
③ 有責者が仕事または職業上の優越的関係を利用した。

362条の6
 本節の各条に規定される犯罪では、第359条以下に係わる物質および製品、および、第127条から128条の規定に従う財物、手段(medios)、道具および収益は、没収の対象となる。

363
 次のことをして、消費者の健康を危険にさらす生産者、販売者または商人は、1年から4年の禁固刑、6月から12月の罰金刑、および、職務および諸事業活動について3年から6年の個別的公権剥奪刑に処せられる。
1. (消費)期限または成分に関する法律または規則に定められた要件を省略または変更して、市場に食品を提供する。
2. 公衆の消費に向けられ、健康に有害な飲料または食品を製造または販売する。
3. 腐敗した商品(géneros)を取引する。
4. その使用が許可されておらず、また、健康に有害である製品を調製する、または、その製品を取引する。
5. 使用されないよう、または、消毒されるように向けられた商品(efectos)を、それを商業化するために、隠蔽または除去する。

364
1. 食品類取引に向けられた食品、物質または飲料に、人の健康に害を及ぼす可能性のある許可を受けていない添加物またはその他の薬剤(agente)を混入した者は、前条の刑に処せられる。 被告人が食品工場の所有者または生産責任者である場合は、さらに、職業、職務または諸事業活動について2年から6年の個別的公権剥奪刑が科される。
2. 同じ刑が、次の行為のなんらかを行う者に、科される:
① その肉または製品が人による消費に向けられる動物に、人の健康に危険をもたらす許可されていない物質を投与する、または、許可された以上の量または許可されたのと異なる目的に投与する。
② 前号に述べられた物質が投与されたことを知って、屠殺動物(animales de abasto)を屠殺する、または、その製品を人の消費に向ける。
③ ①号で言及された物質を用いて治療処置が施された屠殺動物を屠殺する。
④ 場合に応じて規則で規定される待機期間を尊重しないで、屠殺動物の肉または製品を公衆の消費に販売する。

365
 公衆の使用または人の集団の消費に向けられる飲料水または食品を、健康に重大な害を及ぼす可能性のある感染物質またその他の物質で汚染または混入した者は、2年から6年の禁固刑に処せられる。

366
 31条の2の規定に従って、法人が、本節の前各条に規定される犯罪に責任があるときは、1年から3年の罰金刑、または、第359条以下に係わる物質および製品の価値、または、得たまたは得ることができた利益の2倍から3倍の罰金刑が、より大きい方で、科される。
 66条の2の規則に留意して、同様に、裁判官および裁判所は第33条第7項のb)からg)に規定される刑を科すことができる。

367
 前各条に規定される行為が、重大な過失で行われた場合は、それぞれ、1段階低い刑が科される。

368
 有毒薬物、麻薬または向精神薬の栽培、加工または取引を行う者、あるいは、他の方式でそれらの不法な消費を促進、援助または容易化する者、または、これらの目的でそれらを所有する者は、健康に重大な害を与える物質または製品の場合、3年から6年の禁固刑および犯罪目的薬物の価値の同額から3倍の罰金刑に処せられる。その他の場合は、1年から3年の禁固刑および価値の同額から2倍の罰金刑に処せられる。
 前段の規定に係わらず、裁判所は、行為の非深刻性および有責者の人的事由に留意して、1段階低い刑を科すことができる。第369条の2および370条に係わる事由のなんらかが伴う場合は、この資格(facultad)を使うことはできない。

369
1. 次の事由のなんらかが伴うときは、前条に規定される刑より1段階高い刑および同額から4倍の罰金刑が科される:
① 有責者が、官署、公務員、医師、ソーシャルワーカ、教師または教育家であって、その職業または職務の行使で行った。
② 有責者が、その他の組織的(犯罪)活動に参加していた、または、その活動実施が犯罪実行により可能であった。
③ 当該行為が、公衆に開放されている施設内で、その責任者または従業員により行われた。
④ 前条に係わる物質が、18歳未満の未成年者、精神薄弱者または脱習慣治療またはリハビリに服している人に提供される。
⑤ 前条に係わる行為の目的物質の量が明らかに重要(notoria importancia)であった。
⑥ 当該物質が、それら自体の中で、または、他の物質と共に混入、処理または混合され、健康への害を増強させた。
⑦ 前条の行為が、教育施設、軍の機関、施設または部隊、矯正施設、または、脱習慣性またはリハビリセンター、あるいは、それらの近辺で行われる。
⑧ 有責者が、犯罪を実行するために、暴力を使用した、または、武器を提示または使用した。
2. 削除 2010622日基本法

369条の2
 368条に規定される行為が、ある犯罪組織に所属していた者により実行されたときは、健康に重大な害を与える物質または製品の場合、9年から12年の禁固刑および薬物の価値の同額から4倍の罰金刑が科され、また、その他の場合は、46月から10年の禁固刑および同じ罰金刑が科される。
 組織の首脳、責任者または管理者には、前段に示される刑がその下限を半分上回らせて科される。
 31条の2の規定に従って、法人が前2条に含まれる犯罪に有責のときは、次の刑が科される:
a) 自然人により犯される犯罪が5年超の禁固刑が予定されている場合、2年から5年の罰金刑、または、額がより大きくなるときは、薬物の価値の3倍から5倍の罰金刑。
b) 自然人により犯される犯罪が前号に含まれない2年超の禁固刑が予定されている場合、1年から3年の罰金刑、または、額がより大きくなるときは、薬物の価値の2倍から4倍の罰金刑。
 第66条の2に規定される規則に留意して、裁判官および裁判所は、同様に、第33条第7項のb)号からg)号に規定される刑を科すことできる。

370
 次のときは、第368条に示される刑より1または2段階高い刑が科される:
① これらの犯罪実行に18歳未満の未成年者または精神薄弱者を使用する。
② 第369条第1項②号の事由に係わる組織の首脳、責任者または管理者である。
③ 第368条に規定される行為が極端に深刻(extrema gravedad)であった。
 368条に係わる物質の量が明らかに重要と考えられる量を著しく超過した場合、または、輸送手段として船舶、ボートまたは航空機が使用された場合、当該行為が企業間の国際貿易取引を仮装して行われた場合、または、このタイプの活動に従事する国際的ネットワークに係わる場合、または、第369条第1項に規定される事由が3個以上伴うとき、極端に深刻であったとみなされる。
 ②号および③号のケースでは、有責者には、さらに、犯罪目的薬物の価値の同額から3倍の罰金刑が科される。

371
1. 麻薬、向精神物質および他の(下記)条約に追加される製品、または、同じ性質の将来条約に含まれる製品で、スペインで批准される物の違法な取引に係わる19881220日ウィーンで締結された国連条約の表Iおよび表IIに記載されている機器、材料、物質を、(これらが)有毒薬物、麻薬または向精神物質の違法な栽培、製造または生産に使用されることを知って、生産、輸送、配布、取引または所有している者は、3年から6年の禁固刑および当該品物(géneros)または商品(efectos)の価値の同額から3倍の罰金刑に処せられる。
2. 前項で示される行為を実行する者が、前項に示される目的に従事する組織に属しているときは、刑はその下限を半分上回らせて科され、また、当該組織または団体の首脳、管理者または責任者であるときは、1段階高い刑が科される。
 そのような場合、裁判官または裁判所は、対応する刑に加えて、職業または職務について3年から6年の個別的公権剥奪刑、および、第369条第2項に規定される他の処分を科す。

372
 本節に規定される行為が、企業家、金融分野の仲介者、医師(facultativo)、公務員、ソーシャルワーカ、教師または教育家により、その職務または職業の行使で行われた場合は、対応する刑に加えて、公雇用、公職、職業または職務、諸事業活動について3年から10年の個別的公権剥奪刑が科される。当該行為が、官署または官署の職員により、その職務の行使で行われたときは、10年から20年の絶対的公権剥奪刑が科される。
 この(前段の)効果のために、医者(médico)、心理療法士(psicólogo)、衛生資格所持者、獣医師、薬剤師およびそれらの従業員は医師(facultativo)とみなされる。

373
 368条から第372条に規定される犯罪を行うための扇動、共謀および教唆は、当該各条に規定される行為にそれぞれ対応する刑より1から2段階低い刑に処せされる。

374
1. 第301条第1項第2段および第368条から第372条に規定される犯罪では、実行された犯罪に対応して科される刑に加えて、第371条に係わる有毒薬物、麻薬または向精神薬物、装置、材料および物質は、没収の対象となり、同じく、第127条から128条の規定および次の特別規則に従う、財物、手段(medios)、道具および収益も没収の対象となる:
① 判決が確定すると、管轄司法機関がその保存を命じた場合は、分離されたサンプル(muestras)の破壊、または、押収物全体の破壊に取り掛かる。
② 犯罪に由来する民事責任または訴訟費用の満足に適用できない、判決により確定的に没収された財物、道具および利益は、全部、国に帰属する

375
 本節の第368条から第372条に規定されている犯罪と同じ性質の犯罪に対する外国裁判官または裁判所の有罪判決は、前歴がスペイン法に従って抹消された、または、抹消され得る場合を除き、累犯の効果を生じる。

376
 361条から第372条に規定されるケースでは、裁判官または裁判所は、当事者が自発的にその犯罪活動を放棄した場合、かつ、犯罪発生を阻止するため、他の有責者の特定または逮捕について決定的証拠を得るため、または、所属していた、または、協力していた組織または団体の行動または展開を阻止するために、官署またはその職員に積極的に協力した場合は、当該犯罪に規定される刑より1または2段階低い刑を科すことができる。
 同じく、第368条から第372条に規定されるケースでは、裁判官または裁判所は、犯行時麻薬中毒者であって、脱習慣性治療を成功裏に終了したと充分証明する被告人に、有毒薬物、麻薬または向精神薬物の量が明らかに重要、または、極端に深刻でなかった場合、1または2段階低い刑を科すことができる。

377
 368条から第372条の適用で科せられる罰金の額の決定については、犯罪対象の薬物または介入された品物(géneros)または商品(efectos)の価額は、製品の最終価格、または、場合に応じて、被告人が得た、または、得ることができた報酬または利益となる。

378
 361条から第372条に係わる犯罪の1個または数個で有罪判決を受けた者が行う弁済は、次の順序で(次のものに)充当される:
① 被害の回復および損害の補償。
② 訴訟事件で(国の)自己勘定でなされた経費の額について国の補償。
③ 罰金。
④ 判決で支払いが科されるとき、私人または私的告発者の費用。
⑤ 利害関係者間の優先権なしに、被告人の防衛の費用を含む、その他の訴訟費用、。

 

 

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通訳案内士(元司法書士) 古閑次郎

スペイン刑法典(2015年版)