(第21章 憲法に反する罪)
4節 基本的権利および公的自由(libertades públicas)の行使に関連する罪

1款 憲法で保障されている基本的権利および公的自由の行使の際になされた犯罪

510
1. 次の者は、1年から4年の禁固刑および6月から12月の罰金刑に処せられる:
a) あるグループまたはその一部に対する、または、ある特定の人に対する、そのグループへの帰属を理由にして、または、人種差別主義、反ユダヤ主義またはイデオロギー、宗教または信条、家族の状況、そのメンバーのある民族、人種または国家への帰属、その出身国、その性、性的嗜好または同一性に係わる他の原因により、または、性別、疾病または障害(discapacidad)を理由にして、(それらの者に対する)憎悪、敵意、差別または暴力を直接または間接的に公然と増長、奨励または扇動する者。
b) あるグループまたはその一部に対する、または、ある特定の人に対する、そのグループへの帰属を理由にして、または、人種差別主義、反ユダヤ主義またはその他のイデオロギーに係わるもの、宗教または信条、家族の状況、そのメンバーのある民族、人種または国家への帰属、その出身国、その性、性的嗜好または同一性に係わる他の原因により、または、性別、疾病または障害を理由として、(それらの者に対する)憎悪、敵意、差別または暴力をその内容により直接または間接的に増長、奨励または扇動するために適した、文書または他の種類の材料(material)または媒体を作成する、調製する、配布目的で所有する、第三者にアクセスを提供する、配布する、流布する、または、販売する者。
c) あるグループまたはその一部に対して、または、ある特定の人に対して、そのグループへの帰属を理由にして、または、人種差別主義、反ユダヤ主義またはその他のイデオロギーに係わるもの、宗教または信条、家族の状況、そのメンバーのある民族、人種または国家への帰属、その出身国、その性、性的嗜好または同一性に係わる他の原因により、または、性別、疾病または障害を理由として、犯罪が行われた時に、ジェノサイド、人道に反する犯罪または武力紛争の場合に保護される人および財物に対する犯罪を公然と否定、著しく軽視または称賛する者。このようにして、それらの者に対する憎悪、敵意、差別または暴力の雰囲気を増長または助長するとき。
2. 次の者は、6月から2年の禁固刑および6月から12月の罰金刑に処せられる:
a) 前項に係わるグループのなんらかに、その一部に、または、ある特定の人に、そのグループへの帰属を理由にして、人種差別主義、反ユダヤ主義またはその他のイデオロギーに係わるもの、宗教または信条、家族の状況、そのメンバーのある民族、人種または国家への帰属、その出身国、その性、性的嗜好または同一性に係わる他の原因により、または、性別、疾病または障害を理由として、(それらの者に)卑下、過小評価または信用の失墜を抱かせる行為を介して、人の尊厳を傷つける者、または、当該グループのなんらかに、その一部に、または、ある特定の人に、それらへの帰属を理由にして、著しい卑下、過小評価または信用の失墜を表明することで人の尊厳をその内容により傷つけることに適した、文書または他の種類の材料または媒体を作成する、調製する、配布目的で所有する、第三者にアクセスを提供する、配布する、流布する、または、販売する者。
b)  あるグループに、その一部に、または、ある特定の人に、そのグループへの帰属を理由にして、人種差別主義、反ユダヤ主義またはその他のイデオロギーに係わるもの、宗教または信条、家族の状況、その人のメンバーのある民族、人種または国家への帰属、その出身国、その性、性的嗜好または同一性に係わる他の原因により、または、性別、疾病または障害を理由として、(それらの者に)犯された犯罪を、公然の表現または流布のいかなる手段により称賛または正当化する者。または、それら(犯罪)に加担した者を称賛または正当化する者。
 そのようにして当該グループに対する憎悪、敵意、差別または暴力の雰囲気を増長または助長するときは、当該行為は、1年から4年の禁固刑、および、6月から12月の罰金刑に処せられる。
3. 前各項に規定される刑は、当該行為が、SNS(? comunicación social)を介して、インターネットを介して、または、情報技術を使用して、よって大勢の人にアクセス可能となって実行されたときは、その下限を半分上回らせて科される。
4. (犯罪)行為が、その状況から見て、公衆の治安(paz pública)をかき乱す、または、当該グループの構成員の間に不安または恐怖の感情を引き起こすのに適切であるときは、刑は、1段階高い刑に引き上げられる可能性を持って、その下限を半分上回らせて科される。
5. いずれにしても、犯罪の深刻さ、実行された犯罪の数、および、犯人に伴う事由に比例的に留意して、さらに、教育分野、スポーツ分野および余暇の分野で、教育職業または職務について、判決で場合に応じて科された自由剥奪刑の期間より3年から6年上回る期間の個別的公権剥奪刑が科される。
6. 裁判官または裁判所は、前各項に係わる犯罪の目的たる、または、それらによって犯罪が行われたところの、書籍、文書、商品およびいかなる種類の媒体の破壊、消去または不使用化を決定する。犯罪が情報通信技術を介して行われたときは、コンテンツの撤去が決定される。
 インターネット・アクセスのポータルまたはSNSを介して、前段に係わるコンテンツが排他的または優勢に広まる場合は、アクセスのブロッキングまたはアクセス提供の中断が命じられる。

510条の2
 31条の2の規定に従って、法人が、前2条に含まれる犯罪に責任があるときは、2年から5年の罰金刑が科される。第66条の2の規則に留意して、同様に、裁判官および裁判所は第33条第7項のb)からg)に規定される刑を科すことができる。
 この場合、本刑法典第510条第3項の規定が同様に適用される。

511
1. ある人に、(その人が)権利を持っているサービス提供(prestación)を、そのイデオロギー、宗教または信条、そのある民族または人種への帰属、その出身国、その性、性的嗜好、家族の状況を理由として、または、性別、疾病または障害を理由として、拒絶する当該公共サービスを委託された私人は、6月から2年の禁固刑、12月から24月の罰金刑、および、公雇用または公職について1年から3年の個別的公権剥奪刑に処せられる。
2. 当該行為が、ある団体、財団、社団または組織に対して、または、そのメンバーに対して、そのイデオロギー、宗教または信条、そのメンバーまたはメンバーのある者のある民族または人種への帰属、その出身国、その性、性的嗜好、家族の状況を理由として、または、性別、疾病または障害を理由として、行なわれるときは、同じ刑が適用される。
3. 本条に規定される行為を行う公務員は、同じ刑にその下限を半分上回らせて処せられ、また、公雇用または公職について2年から4年の個別的公権剥奪刑に処せられる。
4. いずれにしても、犯罪の深刻さ、実行された犯罪の数、および、犯人に伴う事由に比例的に留意して、さらに、教育分野、スポーツ分野および余暇の分野で、教育職業または職務について、判決で場合に応じて科された自由剥奪刑の期間より1年から3年上回る期間の個別的公権剥奪刑が科される

512
 ある人に、(その人が)権利を持っているサービス提供を、そのイデオロギー、宗教または信条、そのある民族または人種への帰属、その出身国、その性、性的嗜好、家族の状況を理由として、または、性別、疾病または障害を理由として、その職務または企業活動の行使において拒絶した者は、職業、職務または諸事業活動について1年から4年の個別的公権剥奪刑に、また、教育分野、スポーツ分野および余暇の分野で、教育職業または職務について1年から4年の個別的公権剥奪刑に処せられる。

513
 不法な集会または示威活動は処罰される、次のものはそのようなものと評価される:
① なんらかの犯罪を行なう目的で開催されるもの。
② 武器、爆発物、鈍器または他の危険な物を持って人々が参加するもの。

514
1. 前条①号に含まれるいかなる集会または示威活動の扇動者(promotor)または指揮者(director)、および、②号に関して、その力の届く範囲内にある全手段で①、②号に規定される状況を阻止しようとしなかった(扇動・指揮)者は、1年から3年の禁固刑および12月から24月の罰金刑に処せられる。ここで、集会または示威活動を招集または司会する者は、それらの扇動者または指揮者とみなされる。
2. 武器その他の同等の危険な手段を備えて集会または示威活動に参加する者は、1年から2年の禁固刑および6月から12月の罰金刑に処せられる。裁判官または裁判所は、当人の前歴、事件の状況、および、備えた武器または道具の特性に留意して、当該刑を1段階下げることができる。
3. 集会または示威活動開催の機会に、当局、その職員、人または公的または私的財産に対して暴力行為をなす者は、その犯罪に対応する刑に、その下限を半分上回らせて処せられる。
4. 集会または示威活動の(開催)自由の適法な行使を妨げた、または、適法な集会または示威活動の展開を著しく混乱させた者は、当該行為が暴力をもってなされた場合は、2年から3年の禁固刑に処せられる。また、事実上の手段または他のいかなる不法手続を介してなされた場合は、3月から6月の禁固刑または6月から12月の罰金刑に処せられる。
5. 以前中止または禁止された集会または示威活動を新たに召集、開催または開催しようとした、いかなる集会または示威活動の扇動者または指揮者は、これで憲法秩序を破壊、または、治安を著しく混乱させようと企てた場合、6月から1年の禁固刑および6月から12月の罰金刑に処せられる。ただし、場合に応じて、前各項に従って対応するであろう刑を害しない。

515
違法な団体(asociación)は処罰される、次のものはそのようなものと評価される:
① なんらかの犯罪を行なうことを目的とする団体、または、結成された後、その犯行を奨励する団体。
② 合法目的を有していても、その達成のため、暴力的手段、または、人格を変えるまたはコントロールする手段を用いる団体。
③ 準軍(paramilitar)的な組織。
④ 人、グループまたは団体に対して、イデオロギー、宗教または信条、そのメンバーのある民族、人種または国家への帰属、その性、性的嗜好、家族の状況、疾病または障害を理由として、(それらの者に対する)憎悪、敵意、差別または暴力を直接または間接的に公然と増長、奨励または扇動する団体。

516条 削除(2015330日基本法)

517
 515条①号、および、③号から⑤号に規定されるケースでは、次の者には次の刑が科される:
① 団体の創設者、理事(director)および長(presidente)に、2年から4年の禁固刑、12月から24月の罰金刑、および、公雇用または公職について6年から12年の個別的公権剥奪刑。
② 活動メンバーに、1年から3年の禁固刑および12月から24月の罰金刑。

518
 経済的協力またはその他の種類の協力でもって、際立って、第515条①号、および、③号から⑤号に規定される団体の創設、組織化または活動を助ける者は、1年から3年の禁固刑、12月から24月の罰金刑、および、公雇用または公職について1年から4年の個別的公権剥奪刑に処せられる。

519
 違法団体の犯罪を行なうための扇動、共謀および教唆は、前各条に規定される行為にそれぞれ対応する刑より1または2段階低い刑に処せされる。

520
 裁判官または裁判所は、第515条に規定されるケースでは、違法団体の解散を、また、場合に応じて、本刑法典第129条の付加刑のなんらかを決定する。

521
 違法団体の犯罪では、犯行者が官署、その職員または公務員であった場合は、規定される刑に加えて、10年から15年の絶対的公権剥奪刑が科される。

521条の2 削除(2005722日基本法)

2款 良心の自由、宗教的感情および故人への畏敬に反する罪

522
 次の者は、4月から10月の罰金刑に処せられる:
① 暴力、威嚇、実力またはその他のいかなる違法な強制によって、ある宗教団体のメンバーに、それらが信奉する信仰の固有の行為を実践すること、または、それに参加することを妨げる者。
② 同じ手段で、他人に、信仰行為または儀式を実践するまたはそれに参集すること、ある宗教を信奉するまたは信奉しないことを表明する行為を行うこと、または、信奉する宗教を変更することを強制する者。

523
 暴力、脅迫、騒乱または事実上の方策によって、法務・内務省の対応する公簿に登録されている宗派の行為、機能、儀式または表現(manifestaciones)を妨げた、中断した、または、混乱させた者は、その(犯罪)行為が信仰に向けられた場所で行われた場合は、6月から6年の禁固刑に処せられ、その他の場所で行われた場合は、4月から10月の罰金刑に処せられる。

524
 寺院、信仰に目的付けられた場所または宗教儀式において、法的に庇護される宗教感情を傷つけて冒涜行為を行なった者は、6月から1年の禁固刑または12月から24月の罰金刑に処せられる。

525
1. ある宗派のメンバーの感情を傷つけるために、言葉で、書面でまたはいかなるタイプの文書によって、その教義、信条、典礼または儀式を公然と嘲笑する者、または、また、それらを信奉または実践する者を公然と侮辱する者は、8月から12月の罰金刑に処せられる。
2. 言葉でまたは文書で、宗教またはなんらかの信条を信奉していない人を公然と嘲笑する者は同じ刑に処せられる。

526
 死者の記憶への正当な敬意を欠いて、墳墓または墓を侵害した者、死体またはその遺骨を冒涜した者、または、侮辱の意思を持って、骨壷、霊廟、墓碑または壁穴を破壊、変更または損傷した者は、3月から5月の禁固刑または6月から10月の罰金刑に処せられる。

3款 代替的社会給付の履行義務に反する罪

527条 削除 (2002322日基本法)

528条 削除 (1998105日基本法)

通訳案内士(元司法書士) 古閑次郎

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スペイン刑法典(2015年版)