(第21章 憲法に反する罪)
5節 憲法上の保障に反して公務員によりなされた犯罪

1款 個人の自由に反して公務員によりなされた犯罪

529
1. ある刑事訴訟(causa criminal)を、それを不法に請求する他の官署、公務員、軍人または行政官に引き渡した裁判官または司法官は、公雇用または公職について6月から2年の個別的公権剥奪刑に処せられる。
2. 被逮捕者の人身が引き渡された場合、1段階高い刑が科される。

530
 被逮捕者、在監者または有罪判決を受けた者のいかなる自由剥奪を、期間またはその他の憲法上または法的保障を侵害して、また、犯罪のための原因が介在して(? mediando causa por delito)、決定、実行または延長した官署または公務員は、公雇用または公職について4年から8年の個別的公権剥奪刑に処せられる。

531
 被逮捕者、在監者または有罪判決を受けた者の面会禁止を、期間またはその他の憲法上または法的保障を侵害して、また、犯罪のための原因が介在して、決定、実行または延長した官署または公務員は、公雇用または公職について2年から6年の個別的公権剥奪刑に処せられる。

532
 2条に規定される行為が重大な過失で行なわれた場合は、公雇用または公職について6月から2年の停止刑に処せられる。

533
 受刑者または収容者に不当な処罰または窮乏(privaciones)を科した、または、それらに不必要な厳格さを行使した、刑務所職員または未成年者の保護または矯正センターの職員は、公雇用または公職について2年から6年の個別的公権剥奪刑に処せられる。

2款 住居不可侵およびその他のプライバシーの保護に反して公務員によりなされた犯罪

534
1. 憲法上または法的保障を遵守しないで、また、犯罪のための原因が介在して、次のことをする官署または公務員は、6月から12月の罰金刑、および、公雇用または公職について2年から6年の個別的公権剥奪刑に処せられる:
① 居住者の同意なしに住居に入る。
② その者の住居の中にある、書類、文書または身の回り品(efectos)を、所有者が自由意思でその同意を与えなかったのに、捜索する。
 捜索の後にすぐ捜索された書類、文書または身の回り品を所有者に返還しなかった場合は、刑は、公雇用または公職について6年から12年の個別的公権剥奪刑、および、12月から24月の罰金刑となる。ただし、横領に対応する可能性のある刑を害しない。
2. ある人の書類、文書または身の回り品の適法な捜索の機会に、その者の財物に不正な侮辱または不必要な損傷を犯す官署または公務員は、これらの行為に対して規定される刑に、その下限を半分上回らせて処せられ、また、加えて、公雇用または公職について2年から6年の個別的公権剥奪刑に処せられる。

535
 憲法上または法的保障を侵害して、また、犯罪のための原因が介在して、いかなる種類の私信、郵便物または電信を横取り(傍受)した官署または公務員は、公雇用または公職について2年から6年の個別的公権剥奪刑に処せられる。
 得た情報を暴露または漏洩した場合は、個別的公権剥奪刑はその下限を半分上回らせて科され、加えて、6月から18月の罰金刑が科される。

536
 憲法上または法的保障を侵害して、また、犯罪のための原因が介在して、電気通信を傍受した、または、音声、画像または他のいかなる通信情報の盗聴、伝送、録音または再生の技術的装置を使用した官署または公務員は、公雇用または公職について2年から6年の個別的公権剥奪刑に処せられる。
 得た情報を暴露または漏洩した場合は、個別的公権剥奪刑はその下限を半分上回らせて科され、加えて、6月から18月の罰金刑が科される。

3款 その他の個人の権利に反して公務員によりなされた犯罪

537
 被逮捕者または拘留者に弁護士支援を受ける権利を阻止または妨害する、当該支援を受ける権利の放棄を得るまたは助長する、または、その者の権利および逮捕理由を直ちにかつ理解できるように告げない官署または公務員は、4月から10月の罰金刑、および、公雇用または公職について2年から4年の個別的公権剥奪刑に処せられる。

538
 事前の検閲を設定する、あるいは、憲法および法律で許可されている場合ではなくて、書籍または新聞の版を回収する、または、その発行またはいかなるラジオ・テレビ放送を停止する官署または公務員は、6年から10年の絶対的公権剥奪刑に処せられる。

539
 事前の司法決定なしに、適法に設立された団体を解散またはその活動を停止させる、または、適法な原因なしに、その会議の開催を妨害する官署または公務員は、公雇用または公職について8年から12年の個別的公権剥奪刑、および、6月から12月の罰金刑に処せられる。

540
 法律によって明示的に認められた場合ではなく、平穏な集会を禁止する、または、解散させる官署または公務員は、公雇用または公職について4年から8年の個別的公権剥奪刑、および、6月から9月の罰金刑に処せられる。

541
 許可された場合ではなく、かつ、法的要件を遵守せずに、ある人からその財物を収用(expropiar)する官署または公務員は、公雇用または公職について1年から4年の個別的公権剥奪刑、および、6月から12月の罰金刑に処せられる。

542
 憲法および法律によって認められている他の公民権の行使を、知って、妨げる官署または公務員は、公雇用または公職について1年から4年の個別的公権剥奪刑に処せられる。

通訳案内士(元司法書士) 古閑次郎

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スペイン刑法典(2015年版)