(第22章 公の秩序に反する犯罪)
7節 テロ組織およびグループ、およびテロ犯罪

1款 テロ組織およびグループ

571
 本刑法典の効果のために、第570条の212段および第570条の312段にそれぞれ設定されている特性を有して、次款に類型化される犯罪のなんらかを行うことを目的とする集団は、テロ組織またはグループとみなされる。

572
1. テロ組織またはグループを発起、設立、組織化または指揮した者は、8年から14年の禁固刑、および、公雇用または公職について8年から15年の個別的公権剥奪刑に処せられる。
2. テロ組織またはグループに積極的に参加した、または、その一部を形成した者は、6年から12年の禁固刑、および、公雇用または公職について6年から14年の個別的公権剥奪刑に処せられる。

2款 テロ犯罪

573
1. 本刑法典に規定される、生命、身体、自由、倫理的高潔性、性的自由または(性的)無損害、財産、資源、環境、公衆衛生に対するいかなる重罪の実行、壊滅的危険の実行、放火、王室に対する重罪の実行、侵害(atentado)の実行、武器、弾薬または爆発物の所持、取引および集積、および、航空機、船舶または他の包括的運輸手段、または、商品の奪取は、次の目的のなんらかを持って行なわれたときは、テロ犯罪とみなされる:
① 憲法秩序を破壊する、国の政治制度、または、経済または社会構造の機能を著しく抑圧または不安定にする、あるいは、公権力に或る行為を為すこと、または、為すことを控えることを強制する。
② 著しく治安を撹乱する。
③ 或る国際組織の機能を著しく不安定にする。
④ 住民またはその一部に恐怖の状態を引き起こす。
2. 第197条の2197条の3、および、264条から264条の4に類型化される情報犯罪は、行為が前項に係わる目的のなんらかで行なわれるときは、同じく、テロ犯罪とみなされる。
3. 同様に、本節で類型化されている犯罪の残りはテロ犯罪の意義を有する。

573条の2
1. 前条第1項に係わるテロ犯罪は、次の刑に処せられる:
① 人の死亡を引き起こした場合は、本刑法典に規定される最大期間の禁固刑。
② 誘拐または不法監禁の場合で、人の居場所の消息がないときは、20年から25年の禁固刑。
③ 第144条の堕胎を引き起こした場合、第149条、150条、157条または158条に類型化されている傷害、人の誘拐、または、第346条および351条にそれぞれ規定される惨害または火災が生じた場合は、15年から20年の禁固刑。
④ 他のいかなる傷害が引き起こされた場合、または、人を不正に監禁、脅迫または強要した場合は、10年から15年の禁固刑。
⑤ 前条第1項に係わる犯罪の他のいかなる犯罪のときは、1段階高い刑に至る可能性を持って、犯された犯罪に規定される刑をその下限が半分上回る刑。
2. (犯罪)行為が、第550条第3項に示される人に対して、または、治安部隊または軍のメンバーに対して、または、刑務所で役務提供する公的雇用者に対して行なわれた場合は、刑はその下限を半分上回らせて科される。
3. 前条第2項に係わるテロ犯罪は、対応する条にそれぞれ規定される刑より1段階高い刑に処せられる。
4. 第557条の2に規定される騒乱罪、また、反乱罪およびは騒擾罪は、テロ組織またはグループにより、または、それらに庇護されて個人的に行なわれる場合、それらの犯罪に規定される刑より1段階高い刑に処せられる。

574
1. 武器または弾薬の集積、爆発性、可燃性、焼灼性または窒息性の物質または装置、または、それらの構成要素の所持または集積、ならびに、それらの製造、取引または輸送、または、いかなる形式での供給、並びに、それら物質または適合した手段または装置の単なる設置または使用は、当該行為が第573条第1項に示される目的のなんらかで行なわれるときは、8年から15年の禁固刑に処せられる。
2. 核、放射性、化学または生物兵器、物質または装置、または、同様な破壊力の他のいかなるものが係わる場合は、10年から20年の禁固刑が科される。
3. 第1項の目的を持って、化学または生物兵器を開発する、または核物質、放射性元素またはイオン放射物質または製品を奪取、所有、輸送、他人への提供または操作する者は、また、10年から20年の禁固刑に処せられる。

575
1. 本節に類型化される犯罪のなんらかを実行する能力を得る目的を持って、軍事または戦闘教化または訓練を、化学または生物兵器の開発技術、または、爆発性、可燃性、焼灼性または窒息性の物質または装置の調製または準備技術の教化または訓練を、あるいは、それら犯罪のなんらかの実行を容易にするために特に目的付けられる教化または訓練を受ける者は、2年から5年の禁固刑に処せられる。
2. 本節に類型化される犯罪のなんらかを実行する能力を得る同じ目的を持って、自己により、前項に規定される活動のなんらかを実行する者は、同じ刑に処せられる。
 その内容がテロ組織またはグループへの参加、または、それらの目的に協力することを促すことを目的とする、または、促すに適切となるコンテンツに、回線で公衆がアクセスできる通信サービス、インターネットまたは電子通信サービスを介して、日常的にアクセスする者は、そのような目的をもって、この犯罪を犯すとみなされる。当該行為は、スペイン領内からそれらコンテンツにアクセスするときは、スペイン内で行なわれたとみなされる。
 同じく、テロ組織またはグループへの参加、または、それらの目的に協力することを促すことを目的とする書類、または、その内容で促すに適切となる書類を取得または所有する者は、そのような目的をもって、この犯罪を犯すとみなされる。
3. 同じ刑が、その同じ目的のため、あるテロ組織またはグループに協力するため、または、本節に含まれる犯罪のなんらかを犯すために、テログループまたは組織により支配されている或る外国領域に移動する、または、定住する者に、科される。

576
1. 本節に含まれる犯罪のなんらかを犯すために、全部または一部で、利用される意図で、または、利用されることを知って、いかなる種類の財物または有価証券(valores)を、なんらかの手段で直接または間接に、収集、取得、所有、利用、転換、移送する、または、それらで他のいかなる活動を行なう者は、3年から10年の禁固刑およびその価値の3倍から5倍の罰金刑に処せられる。
2. 財物または有価証券が実効的にテロ犯罪の有責者の自由にまかされた場合は、1段階高い刑が科される。具体的テロ行為実行に使用された場合は、ケースに応じて、当該行為は共同正犯(coautoría)または共犯として処罰される。
3. 第1項に係わる行為が、財産を侵害して、恐喝、文書偽造を犯して、または、他のいかなる犯罪の実行を介して、行なわれた場合は、これら(犯罪)は、これらに対応する刑より1段階高い刑に処せられる。ただし、さらに、前各項に従って適当な刑を科すことを害しない。
4. テロリズムの資金調達活動の予防に当局と協力すべく法律で特に義務付けられていて、当該義務の履行において重大な過失で、第1項に規定される行為のなんらかが発見されない、または、阻止されない事態を引き起こす者は、当該項に規定される刑より1または2段階低い刑に処せられる。
5. 31条の2の規定に従って、法人が本条に類型化される犯罪に有責のときは、次の刑が科される:
a) 自然人により犯される犯罪が5年超の禁固刑が予定されている場合、2年から5年の罰金刑。
b) 自然人により犯される犯罪が前号に含まれない2年超の禁固刑が予定されている場合、1年から3年の罰金刑。
 第66条の2に規定される規則に留意して、裁判官および裁判所は、同様に、第33条第7項のb)号からg)号に規定される刑を科すことできる。

577
1. テロ組織、テロ・グループまたはテロ分子(elemento)の活動または目的への協力行為を、または、本節に含まれる犯罪のなんらかを犯すために協力行為を行なう、獲得する、または、容易にする者は、5年から10年の禁固刑および18月から24月の罰金刑に処せられる。
 特に、協力行為とは、人、財物または施設の調査(información)または監視、住居または集積所の建設、準備、譲渡または利用、人の蔵匿、収容または移送、訓練実施の組織化または実施の支援、技術役務の提供、および、テロ組織またはグループ、前段に係わるグループまたは人の活動への協力または支援に等しいいかなる他の形態である。
 第2段で述べられる人の調査または監視がその人の生命、身体、自由または財産を危険に置くときは、本項に規定される刑はその下限を半分上回らせて科される。これらの法益のいかなる侵害が生じた場合は、ケースに応じて、当該行為は共同正犯または共犯として処罰される。
2. 前項に規定される刑は、テロ組織またはグループへの参加を促すため、または、本節に含まれる犯罪のなんらかを犯すために目的付けられている、または、その内容により、(そのことに)適切となる、養成、教化または訓練のいかなる活動を行う者に、科される。
 同じく、これらの刑は、爆発物、火器または他の有害または危険な武器または物質の製造または使用について、または、第573条の犯罪のなんらかの実行に特に適切な方法または技術について、犯罪に使用されることを意図して、または、知って、訓練または指導する者に、科される。
 本項に規定される(犯罪)行為が未成年者、特別な保護が必要な障害者、または、犯罪実行者の配偶者、内縁者または性的奴隷にする目的の人身売買の被害者である女性に向けられたときは、刑は、1段階高い刑に至る可能性をもって、その下限を半分上回らせて科される。ただし、性的自由に反して犯された犯罪に適当な刑を、さらに、科すことを害しない。
3. テロ組織またはグループの活動または目的への協力、または、本節に含まれる犯罪のなんらかの実行における協力が、重大な過失で生じた場合は、6月から18月の禁固刑および6月から12月の罰金刑が科される。

578
1. 571条から577条に含まれる犯罪またはその実行に参加した者の公然の称賛または正当化、または、テロ犯罪の被害者またはその家族の信用失墜、軽蔑または卑下を引き起こす行為の実行は、1年から3年の禁固刑および12月から18月の罰金刑に処せられる。裁判官は、また、第57条に規定される禁止事項の1個または数個を、裁判官が指定する期間で、判決中で裁決することができる。
2. 前項に規定される刑は、当該行為が、通信手段、インターネットを介して、または、電子通信サービス手段により、または、情報技術の使用を介して、公衆がアクセス可能なサービスまたはコンテンツの拡散によって行なわれたときは、その下限を半分上回らせて科される。
3. 当該行為が、その状況を観察して、著しく治安を撹乱する、または、社会またはその一部に不安または恐怖の深刻な感情を引き起こすのに適しているときは、刑はその下限を半分上回らせて科され、また、1段階高い刑に引き上げることができる。
4. 裁判官または裁判所は、それを介して犯罪が実行された書物、資料、文書、論文または他のいかなる媒体の破壊、抹消また無効化を裁決する。犯罪が通信情報技術を介して行われたときは、コンテンツの削除が裁決される。
 当該行為が、インターネットまたは電子通信サービス手段を介してアクセス可能なサービスまたはコンテンツを介して、行なわれた場合は、裁判官または裁判所は、不法なコンテンツまたはサービスの削除を命じることができる。補充的に、コンテンツ収容サービス提供者に対し不法コンテンツの削除、検索エンジンに対しそれら(不法コンテンツ)を指すリンク(enlace)の排除、電子通信サービスプロバイダーに不法コンテンツまたはサービスへのアクセスを阻止することを、次のケースのなんらかが伴う場合、命じることができる: 
a) 当該処分が、(犯罪)行為の深刻さおよび情報の重要さ(relevancia)に比例していて、その拡散を回避するために必要であるとき。
b) 前各項に係わるコンテンツが排他的または主に拡散するとき。
5. 前項に規定される処分は、また、予審判事が予審の間に保全的性質でもって決定することができる。

579
1. 本節の犯罪のなんらかの実行を他人に教唆する目的を持つメッセージまたはスローガン、または、その内容により、教唆に適したメッセージまたはスローガンを、いかなる手段によって、公然と拡散させる者は、関連する犯罪に規定される刑より1または2段階低い刑に処せられる。
2. 同じ刑が、公然と、または、人の集まりの前で本節の犯罪のなんらかを実行を他人に教唆する者に科され、また、犯罪実行を他人に要請する者に科される。
3. 本節に規定される犯罪のなんらかの実行のための扇動、共謀および教唆のその他の行為は、また、本節に規定される(犯罪)行為にそれぞれ対応する刑より1または2段階低い刑に処せされる。
4. 本条に規定されるケースでは、裁判官または裁判所は、前条第4項および5項に設定される処分を採用できる。

579条の2
1. 本節に規定される犯罪の有責者は、前数条に対応する刑を害しないで、犯罪の深刻さ、犯行の数および犯行者に伴う事情に比例的に留意して、判決でその場合に応じて科された自由剥奪刑の期間より6年から20年長い期間の絶対的公権剥奪刑、また、教育職業または職務について、教育、スポーツおよび余暇の分野で、個別的公権剥奪刑に処せられる。
2. 本節に含まれる1個以上の犯罪により自由剥奪の重刑に処せられた者には、さらに、5年から10年の監視付き釈放処分が科され、自由剥奪刑が非重刑の場合は、1年から5年の監視付き釈放処分が科される。しかしながら、非重刑1個で、かつ、初犯であったときは、裁判所は、その危険性の少なさに留意して、監視付き釈放処分を科すか、否かできる。
3. 本節に規定される犯罪では、裁判官または裁判所は、当事者(sujeto)が自発的にその犯罪活動を放棄して、加担した行為を白状して官署に出頭し、かつ、犯罪発生を阻止するために官署に協力し、または、他の有責者の特定または逮捕について決定的証拠を得るため、または、所属していたまたは協力していたテロ組織、グループまたは他の分子の行動または展開を阻止するために、効果的に補助するときは、判決で考究して(razonar)、関連する犯罪に規定される刑より1または2段階低い刑を科すことができる。
4. 裁判官および裁判所は、採用された(犯罪)手段または発生した結果に留意すると(犯罪)行為が客観的に深刻でない場合は、具体的事由に留意して、関連する犯罪に本節で規定される刑より1または2段階低い刑を理由付きで(motivadamente)科すことができる。

580
 累犯の(刑の)加重事由適用の効果のため、全てのテロリズム犯罪では、外国裁判官または裁判所の有罪判決は、スペイン裁判官または裁判所の判決と同等である。

 

通訳案内士(元司法書士) 古閑次郎

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スペイン刑法典(2015年版)