3章 傷害罪

147
1. 何らかの手段または方法によって他人にその身体あるいは肉体的または精神的健康を損なう傷害を引き起こした者は、傷害が客観的にその者の健康について初期の医療手当に加えてさらに治療処置または外科治療を必要とする場合、傷害犯として、3月から3年の禁固刑または6月から12月の罰金刑に処せられる。傷害経過の単純なモニタリングまたはフォローアップは、医療処置とはみなされない。
2. 何らかの手段または方法によって他人に前項に含まれない傷害を引き起こした者は、1月から3月の罰金刑に処せられる。
3. 他人を、傷害を引き起こすことなく、殴打または行為で虐待した者は、1月から2月の罰金刑に処せられる。
4. 前2項に規定する犯罪は、被害者またはその法定代理人の告発によってのみ訴追できる。

148
 前条第1項に規定される傷害罪は、次の引き起こされた結果または危険に留意して、2年から5年の禁固刑に処することができる:
① 侵害において、被害者の生命あるいは肉体的または精神的健康に具体的に危険な武器、道具、物、手段、方法または方式が使用された場合。
② 残虐行為または背信行為が介在した場合。
③ 被害者が12歳未満または無能力者であった場合。
④ 被害者が、妻である、または、妻であった場合、あるいは、同居していなくとも、愛情の類似関係で犯人と結びついている、または、結びついていた女性の場合。
⑤ 被害者が、犯人と同居する特別な弱者(persona vulnerable)である場合。

149
1. 何らかの手段または方法でもって、他人に、或る主な臓器または四肢あるいは感覚器の喪失または無益性、性的不能、不妊症、重大な奇形、あるいは、重大な器質性または精神的疾病を引き起こした者は、6年から12年の禁固刑に処せられる。
2. いかなる表現であっても他人に生殖器切断を引き起こした者は、6年から12年の禁固刑に処せられる。被害者が未成年者または無能力者の場合は、裁判官がそれらの者の利益に適当と思料するときは、親権、後見、保佐または保護の行使について4年から10年の個別的公権剥奪刑が適用できる。

150
 他人に、或る主ではない臓器または四肢の喪失または無益性あるいは奇形を引き起こした者は、3年から6年の禁固刑に処せられる。

151
 本章の前各条に規定する犯罪の扇動、共謀および教唆は、対応する犯罪の刑より1または2段階低い刑で処罰される。

152
1. 重大な過失により、前各条に規定されるなんらかの傷害を引き起こした者は、起こる危険および結果に留意して、次ように処罰される。
① 第147条第1項の傷害に係わる場合は、3月から6月の禁固刑または6月から18月の罰金刑。
② 第149条の傷害に係わる場合は、1年から3年の禁固刑。
③ 第150条の傷害に係わる場合は、6月から2年の禁固刑。
 (犯罪)行為が自動車またはモーターバイクを使用して行われた場合は、同様に、1年から4年の自動車とモーターバイクの運転権利剥奪刑が科される。
 傷害が火器を使用して引き起こされた場合は、同様に、1年から4年の火器携帯または所有の権利剥奪刑が科される。
 傷害が業務上過失で引き起こされた場合は、さらに、職業または職務行使について6月から4年の個別的公権剥奪刑が科される。
2.  少し重大な過失により、第149条および150条に規定されるなんらかの傷害を引き起こした者は、3月から12月の罰金刑に処せられる。
 (犯罪)行為が自動車またはモーターバイクを使用して行われた場合は、同様に、3月から1年の自動車とモーターバイクの運転権利剥奪刑が科される。
 傷害が火器を使用して引き起こされた場合は、同様に、3月から1年の火器携帯または所有の権利剥奪刑が科される。
 本項に規定する犯罪は、被害者またはその法定代理人の告発によってのみ訴追できる。

153
1.  何らかの手段または方法によって他人に精神的傷害または第147条第2項に規定される傷害の非重大傷害を引き起こした者、または、他人を、傷害を引き起こすことなく、殴打または行為で虐待した者は、被害者が、妻である、または、妻であった場合、あるいは、同居していなくとも、愛情の類似関係で犯人と結びついている、または、結びついていた女性のとき、または、犯人と同居する特別な弱者であるときは、6月から1年の禁固刑、または、31日から80日の共同体の利益の労働刑に処せられる。また、いずれにしても、1年と1から3年の火器携帯または所有の権利剥奪刑が科される。さらに、裁判官または裁判所が未成年者または特別な保護が必要な無能力者の利益に適当と思料するときは、親権、後見、保佐または保護の行使について5年までの個別的公権剥奪刑が科される。
2. 前項に規定される犯罪の被害者が、前項に表示される者を除いて、第173条第2項に係わるなんらか者である場合は、犯人は3月から1年の禁固刑、または、31日から80日の共同体の利益の労働刑に処せられる。また、いずれにしても、1年と1から3年の火器携帯または所有の権利剥奪刑が科される。さらに、裁判官または裁判所が未成年者または特別な保護が必要な無能力者の利益に適当と思料するときは、親権、後見、保佐または保護の行使について6月から3年の個別的公権剥奪刑が科される。
3. 第1項および2項に規定される刑は、犯罪が、未成年者の居るところで、または、武器を使用して行われたとき、共通の住居または被害者の住居で発生したとき、あるいは、第48条に規定される刑、保全処分または同じ性質の保安処分に違背して行われたときは、その下限を半分上回らせて科される。
4. 前各項の規定に係わらず、裁判官または裁判所は、犯人の人的事情および行為実行に出現する事情に留意して、判決で理由づけして1段階低い刑を科すことができる。

154
 人の生命や身体を危険にさらす手段や道具を使用して、激しく攻撃し合って互いに争う者は、闘争参加により3月から1年の禁固刑または6月から24月の罰金刑に処せられる。

155
 傷害罪では、被害者の有効、自由、自発的かつ明示的になされた同意があった場合は、1または2段階低い刑が科される。
 未成年者または無能力者の同意は有効ではない。

156
 前条の規定にかかわらず、有効、自由、自発的かつ明示的になされた同意は、法律の規定に従って行われた臓器移植、医師が実施した不妊手術および性転換手術の場合の刑事責任を免除する。ただし、同意が、悪意をもって、または、代金または報酬を介して得られた場合、あるいは、同意者が未成年者または完全に同意する能力がない者の場合を除く。この場合は、これらの者たち、または、それらの法定代理人が与えた同意は無効である。
 前段に係わる者に同意をいかなる形でも永久に与えることができない者の場合、司法機関が同意する不妊手術は、保護される法益の重大な衝突が生じる例外的ケースであるときは、民事法の規定に従って被術者の最大の利益を守るために罰せられない。

156条の2
1. 他人の臓器の取得または不法な運搬、あるいは、その移植を奨励、援助、供給または宣伝した者は、主たる臓器の場合、6年から12年の禁固刑に、主でない臓器の場合、3年から6年の禁固刑に処せられる。
2. 臓器の受け手が、その違法な出所を知って、移植の実行に同意した場合は、前項と同じ刑に処せられる。当該刑は、行為の事情およびその有責者の事情を考慮して1または2段階下げることができる。
3. 第31条の2の規定に従って、法人が本条に含まれる犯罪に有責であるときは、得た利益の3倍から5倍の罰金刑が科される。
 第66条の2の規定に留意して、裁判官または裁判所は同様に第33条第7項のb)からg)に規定される刑を科すことができる。

156条の3
 本章に含まれる犯罪の1個または数個の実行で有罪判決を受けた者には、被害者が第173条第2項に係わる者であるときは、更に、監視付き釈放の保安処分を科すことができる。

 

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通訳案内士(元司法書士) 古閑次郎

スペイン刑法典(2015年版)