(第6章 自由に反する罪)
2節 脅迫罪

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 殺人罪、傷害罪、堕胎罪、自由に反する罪、拷問罪、および、精神、性的自由、プライバシー、名誉、財産と社会経済秩序に反する罪を構成する害悪を、他人、その家族または他の近しい人々に加えると脅迫する者は、次のように処罰される:
① 違法ではないとしても、金銭を要求したり、または、他の条件を付して脅迫し、その目的を達成した場合は、1年から5年の禁固刑。目的未達成の場合は、6月から3年の禁固刑。
 前段の刑は、脅迫が文書、電話またはなんらかの通信または再生手段によって、あるいは、実在または架空の団体またはグループの名でなされた場合は、その下限を半分上回らせて科される。
② 脅迫が無条件であった場合は、6月から2年の禁固刑。

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1. 犯罪を構成する害悪(を持って)の脅迫が、ある市町村の住民、民族的、文化的または宗教的グループ、あるいは、社会的または職業的団体、その他のなんらかの人のグループを恐怖させることに向けられ、恐怖させ得る重大性を有していた場合は、前条に規定される刑より1段階高い刑が科される
2. 同じ目的および重大性をもって、テロ組織またはグループによる暴力行為の行使を公然と要求する者は、6月から2年の禁固刑に処せられる。

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1. 犯罪を構成しない害悪(を持って)の脅迫は、脅迫が条件付きで、その条件が正当行為で形成されていない場合は、行為の重大性および事情に留意し、3月から1年の禁固刑、または、6月から24月の罰金刑に処せられる。犯人がその目的を達成した場合は、刑はその下限を半分上回らせて科される。
2. 公に知られておらず、名声、信用または利害に影響を与える可能性のある個人的な生活や家族関係に関連する事実を明らかにする、または、流布すると脅迫して、他人に金額または報酬を要求した者は、要求物の全部または一部の引渡しを受けた場合は、2年から4年の禁固刑に処せられる。引渡しを受けない場合は、4月から2年の禁固刑に処せられる。
3. 前項の行為がある犯罪行為を明らかにする、または、告発するという強迫であった場合、検察庁は、脅迫の処罰を容易にするために、明らかにすると脅迫された犯罪につて告訴を回避することができる。ただし、(当該)犯罪が2年超の禁固刑で処罰される場合を除く。この場合は、裁判官または裁判所は刑を1または2段階下げることができる。
4.  妻である、または、妻であった、あるいは、同居していなくとも、愛情の類似関係で犯人と結びついている、または、結びついていた者を軽度に脅迫した者は、6月から1年の禁固刑、または、31日から80日の共同体の利益の労働刑に処せられる。また、いずれにしても、11日から3年の武器の所有および携帯権利の剥奪刑が科され、同様に、裁判官または裁判所が未成年者または無能力者の利益に適当と思料するときは、親権、後見、保佐または保護の行使につき5年までの個別的公権剥奪刑が科される。
 犯人と同居する特別な弱者を軽度に脅迫した者には同じ刑が科される。
5. 本条前項に含まれる者を除いて、第173条第2項に係わるなんらかの者を武器または他の危険な道具で軽度に脅迫した者は、3月から1年の禁固刑、または、31日から80日の共同体の利益の労働刑に処せられる。また、いずれにしても、1年から3年の武器の所有および携帯権利の剥奪刑が科され、同様に、裁判官または裁判所が未成年者または無能力者の利益に適当と思料するときは、親権、後見、保佐または保護の行使につき6月から3年の期間の個別的公権剥奪刑が科される。
 4項および5項に規定される刑は、犯罪が未成年者の居るところで、または、共通の住居または被害者の住居で発生したとき、あるいは、第48条に規定される刑、保全処分または同じ性質の保安処分に違背して行われたときは、刑はその下限を半分上回らせて科される。
6. 4項および5項の規定に係わらず、裁判官または裁判所は、犯人の人的事情および行為実行に出現する事情に留意して、判決で理由づけして1段階低い刑を科すことができる。
7. 前述の場合以外、他人を軽度に脅迫した者は1月から3月の罰金刑に処せられる。この(犯罪)行為は、被害者またはその法定代理人の告発でのみ訴追できる。
 被害者が173条第2項に係わるなんらかの者であるときは、刑は、被害者の住所と異なる遠方での5日から30日の常時所在確認刑、5日から30日の共同体の利益の労働刑または1月から4月の罰金となる。この最後の(罰金)刑は第84条第2項の事情が満足される場合である。これらの場合は、前段に係わる告発は要求されない。

 

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通訳案内士(元司法書士) 古閑次郎

スペイン刑法典(2015年版)