(第6章 自由に反する罪)
3節 強要罪

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1. 不法に、他人が法律が禁止していないことをするのを暴力的に妨げる、または、望んでいないことをするように強制する者は、正当か不当かを問わず、強要の重大性または使用される手段の重大性に応じて、6月から3年の禁固刑または12月から24月の罰金刑に処せられる。
 行使された強要がある基本的権利の行使を妨げる目的であったときは、当該行為が本刑法典の他の規定でより重い罪が科されている場合を除いて、刑はその下限を半分上回らせて科される。
 また、行使された強要が住居の正当な使用収益を妨げる目的であったときは、刑はその下限を半分上回らせて科される。
2. 妻である、または、妻であった、あるいは、同居していなくとも、愛情の類似関係で犯人と結びついている、または、結びついていた者を軽度に強要した者は、6月から1年の禁固刑、または、31日から80日の共同体の利益の労働刑に処せられる。また、全ての場合、11日から3年の武器の所有および携帯権利の剥奪刑が科され、同様に、裁判官または裁判所が未成年者または無能力者の利益に適当と思料するときは、親権、後見、保佐または保護の行使につき5年までの個別的公権剥奪刑が科される。
 犯人と同居する特別な弱者を軽度に強要した者には同じ刑が科される。
 犯罪が未成年者の居るところで、または、共通の住居または被害者の住居で発生したとき、あるいは、第48条に規定される刑、保全処分または同じ性質の保安処分に違背して行われたときは、刑はその下限を半分上回らせて科される。
 前各段の規定に係わらず、裁判官または裁判所は、犯人の人的事情および行為実行に出現する事情に留意して、判決で理由づけして1段階低い刑を科すことができる。
3. 前述の場合以外、他人に軽度の強要をした者は1月から3月の罰金刑に処せられる。この(犯罪)行為は、被害者またはその法定代理人の告発によってのみ訴追できる。
 被害者が173条第2項に係わるなんらかの者であるときは、刑は、被害者の住所と異なる遠方での5日から30日の常時所在確認刑、5日から30日の共同体の利益の労働刑または1月から4月の罰金となる。この最後の(罰金)刑は第84条第2項の事情が満足される場合である。これらの場合は、前段に係わる告発は要求されない。

172条の2
1. 他人に結婚することを威嚇してまたは暴力的に強制した者は、強要の重大性または使用される手段の重大性に応じて、6月から36月の禁固刑または12月から24月の罰金刑に処せられる。
2. 前項に係わる行為を犯す目的で、他人にスペイン国土から離れること、または、そこへ帰らないことを強いるために暴力、重大な威嚇または詐術を用いた者には、同じ刑が科される。
3. 被害者が未成年者のときは、刑はその下限を半分上回らせて科される。

172条の3
1. 次のなんらかの行為を、不法に、しつこく、かつ、繰り返して、ある人に迷惑をかけ(acosar)、よって、その人の日常生活(の展開)を大きく変えた者は、3月から2年の禁固刑または6月から12月の罰金刑に処せられる:
① その人を監視、追跡またはその人の物理的近隣(cercanía física)を捜索する。
② なんらかの通信手段または第三者を介して、その人との接見を設定する、または、設定を図る。
③ その人の個人的データの不正利用により、製品または商品を入手する、役務契約をする、または、第三者をその人と接触するようにする。
④ その人の自由、財産を、または、その人に近しい人の自由または財産を侵害する。
 その人の年齢、疾病または状況の理由で特に(被害に)弱者である場合は、6月から2年の禁固刑が科される。
2. 被害者が173条第2項に係わるなんらかの者であるときは、1から2年の禁固刑60日から120日の共同体の利益の労働刑が科される。この場合は、本条第4項に係わる告発は要求されない。
3. 本条に規定される刑は、迷惑行為が具体化された犯罪に対応する刑を害することなく、科される。
4.  本条に規定される(犯罪)行為は、被害者またはその法定代理人の告発によってのみ訴追できる。

 

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通訳案内士(元司法書士) 古閑次郎

スペイン刑法典(2015年版)