(第8章 性的自由および性的無損害(indemnidad sexual)に反する罪)
5節 売春および未成年者の性的搾取と堕落に関連する罪

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1. 暴力、威嚇または詐術を用いて、あるいは、優越的状況または被害者の困窮または脆弱のの状況を利用して、成年者に売春を行う、または、維持することを決心させる者は、2年から5年の禁固刑、または、12月から24月の罰金刑に処せられる。
 他人の売春行為を利用して利益を得る者には、たとえ同意があっても、2年から4年の禁固刑および12月から24月の罰金刑が科される。いずれにしても、次の事由のなんらかが伴うときは、(売春行為)利用があるとみなされる:
a) 被害者が人的または経済的脆弱性の状況にあること。
b) その売春行為に負担付き、不均衡的または濫用的条件が科されていること。
2 前項に規定される刑は、それぞれの場合、次の事由のなんらかが伴うときは、その下限を半分上回らせて科される:
a) 有責者が、官署、官署の職員または公務員の地位を利用したとき。この場合、さらに、6年から12年間の絶対的公権剥奪刑が科される。
b) 有責者が、それらのような活動の実現に従事した犯罪組織またはグループに所属していたとき。
c) 有責者が、被害者の生命または健康を、故意または重大な過失で危険に置いたとき。
3. 上記の刑は、それぞれの場合に、売春させられた者に加えられた性的侵害または濫用に対応する刑を害せず、科される。

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1. 未成年者または特別な保護が必要な障害者(persona con discapacidad、第25条参照)の売春行為を、教唆、促進、便宜の供与または提供する者、あるいは、それで利益を得る、または、なんらかの方式で未成年者または障害者をその目的で利用する者は、2年から5年の禁固刑および12月から24月の罰金刑に処せられる。
 被害者が、16歳未満の未成年者であった場合は、4年から8年の禁固刑および12月から24月の罰金刑に処せられる。
2. 前項の行為が、暴力または威嚇をもって行われた場合は、規定の罰金刑の他に、被害者が16歳未満の未成年者のときは、5年から10年の禁固刑が科される。その他のときは、4年から6年の禁固刑が科される。
3. 次の事由のなんらかが伴うときは、前各項に規定される刑より1段階高い刑が、それぞれの場合、科される:
a) 被害者が、年齢、疾病、障害または地位の理由で特に(被害に)脆弱であるとき。
b) 犯罪の実行に、有責者が、被害者との血縁または養子あるいは姻族関係により尊属、卑属または兄弟姉妹であることでの優越関係または親族関係を用いたとき。
c) 犯罪の実行に、有責者が、官署、官署の職員または公務員の地位を利用したとき。この場合は、さらに、6年から12年間の絶対的公権剥奪刑が科される。
d) 有責者が、被害者の生命または健康を、故意または重大な過失で危険に置いたとき。
e) 2人以上の共同行動で犯行が行われたとき。
f) 有責者が、一時的にでも、そのような活動の実現に従事した組織または団体に所属していたとき。
4. 報酬または契約(promesa)と引き換えに、未成年者または特別な保護が必要な障害者との性的関係を申し込む、承諾する、または、得る者は、1年から4年の禁固刑に処せられる。未成年者が16歳未満だった場合は、2年から6年の禁固刑が科される。
5. 上記の刑は、それぞれの場合に、未成年者または特別な保護が必要な障害者に加えられた性的侵害または濫用に対応する刑を害せず、科される。

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1. 次の者は、1年から5年の禁固刑に処せられる:
a) 未成年者または特別な保護が必要な障害者を、見世物またはポルノの目的をもって、または、公衆または私的見世物またはポルノ興業で、あるいは、媒体の如何に係わらず、なんらかのポルノ資料作成のため、獲得または使用した者。または、これらの活動のなんらかに資金援助した、または、それで利益を得た者。
b) 児童ポルノまたはその制作に特別な保護が必要な障害者が使用されたポルノを制作、販売、流通、展示、提供した者、または、その制作、販売、流通、または、いかなる媒体での展示を容易にした者、または、資料が外国から来たものであっても、また、不明であっても、これらの目的で所持していた者。
 本章の効果について、次のものは、児童ポルノまたはその制作に特別な保護が必要な障害者が使用されたポルノとみなす:
a) 未成年者または特別な保護が必要な障害者が、性的に明白な、実際の、または、仮装の行為に参加しているのを視覚的に表示する全ての資料。
b) 主に性的目的での未成年者または特別な保護が必要な障害者の性器官のあらゆる表示。
c) 未成年者と見える者が性的に明白な、実際の、または、仮装の行為に参加しているのを視覚的に表示する全ての資料。または、主に性的目的での未成年者と見える者の性器官のあらゆる表示。ただし、未成年者と見える者が、画像を撮ったときに、実際は、18歳以上であった場合は除かれる。
d) 未成年者が性的に明白な行為に参加している現実的画像、または、主に性的目的での未成年者の性器官の現実的画像。
2. 次の事由のなんらかが伴うときは、本条第1項に規定される行為をする者は、5年から9年の禁固刑に処せられる:
a) 16歳未満の未成年者を使用するとき。
b) 行為が、特に卑劣または屈辱的な性質を持つとき。
c) ポルノ資料が、身体的または性的暴力の被害者である未成年者または特別な保護が必要な障害者を表示しているとき。
d) 有責者が、被害者の生命または健康を、故意または重大な過失で危険に置いたとき。
e) ポルノ資料が公知の重要性(notoria importancia)を有したとき。
f) 有責者が、一時的にでも、そのような活動の実現に従事した組織または団体に所属していたとき。
g) 有責者が、未成年者または特別な保護が必要な障害者の(一時的であっても、事実上の、または、法律上の)尊属、後見人、保佐人、補助人、教師、または、その他なんらかの代理人であるとき。あるいは、その者と同居する家族の他のなんらかの一員、または、信頼または権威の明白な地位を濫用して行動した他の者であるとき
h) 累犯の加重事由が伴うとき。
3. 第1項前段のa)号に係わる行為が、暴力または威嚇で行われた場合は、前各項に規定される刑より1段階高い刑が科される。
4. 未成年者または特別な保護が必要な障害者が出演する見世物興業またはポルノ興業に知って出席した者は、6月から2年の禁固刑に処せられる。
5. 児童ポルノまたはその制作に特別な保護が必要な障害者が使用されたポルノを、自己の使用目的で取得または所持する者は、3月から1年の禁固刑、または、6月から2年の罰金刑に処せられる。
 情報・通信技術の手段で、児童ポルノまたはその制作に特別な保護が必要な障害者が使用されたポルノに知ってアクセスする者には、同じ刑が科される。
6. 未成年者または特別な保護が必要な障害者をその親権、後見、保佐または保護の下に置き、その者の売春または堕落の状況を知っていて、その継続阻止に全力をつくさない、または、未成年者または特別な保護が必要な障害者の保護手段が欠けている場合で、管轄官署に(阻止)目的で申し出ない者は、3月から6月の禁固刑、または、6月から12月の罰金刑に処せられる。
7. 検察庁は、前項に規定される行為のなんらかに陥る者から親権、後見、保佐、保護または里親を剥奪するために適当なアクションを推進する。
8. 裁判官および裁判所は、児童ポルノまたはその制作に特別な保護が必要な障害者が使用されたポルノを掲載または流布するウェブページまたはインターネット・アプリの撤去のために、または、場合によっては、それらにスペイン国内のインターネット・ユーザがアクセスすることをブロックするために、必要な方策を採ることを命じる。
 これらの方策は、検察庁の申請により保全的性格で決定される。

189条の2
 第31条の2の規定に従って、法人が本節に含まれる犯罪に有責のときは、次の刑が科される:
a) 得た収益の3倍から5倍の罰金刑、自然人により犯された犯罪が5年超の禁固刑が予定されている場合。
b) 得た収益の2倍から4倍の罰金刑、自然人により犯された犯罪が前号に含まれない2年超の禁固刑が予定されている場合。
c) 得た収益の2倍から3倍の罰金刑、残りの場合。
 第66条の2に規定される規則に留意して、裁判官および裁判所は、同様に、第33条第7項のb)号からg)号に規定される刑を科すことできる。

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 本節に含まれる犯罪に対して科せられた外国裁判官または裁判所の有罪判決は、再犯の加重事由の適用の効果について、スペイン裁判官または裁判所の判決と同等とみなされる。

 

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通訳案内士(元司法書士) 古閑次郎

スペイン刑法典(2015年版)