(スペイン狩猟法関連資料)
1834年5月3日の勅令
狩猟(or狩りの獲物)及び漁猟(or漁の魚)に関する所有者および公衆の権利を定める。
昨年11月20日の朕の勅令により、朕は、狩猟及び漁猟に関する所有者および公衆の権利および当該領域の現行規則を研究し、障害と困難を減少させ、全ての権利と全ての利害を調和させる法案を王国の勧業省の代わりに朕に提案する委員会を指名せしめた。委員会はそれを履行した。朕は政府諮問委員会(or顧問会議)および閣議の意見を聞き、朕の愛する王女 doña Isabel IIの名で、次の規定が護持され、履行されるよう、決定し命ずる。
第1章:私的所有地における狩猟
第1条:土地の所有者は、年を通して、支障なく、法令に服さず、そこで自由に狩猟することができる。
第2条:同じ条件と同じ範囲で、私人の土地で、その所有者でない者は所有者の文書での許可を得て、狩猟することができる。
第3条:土地の所有者がその土地で狩猟する許可を与えて、表示された範囲で狩猟する許可が文書で証されていないときは、狩猟者は、未開墾地について後条に規定されている規則の制限に服する。
第4条:耕作されていない、または、収穫の跡の私的所有の開かれた土地(囲いのない土地)では、所有者の許可なしに狩猟できるが、(後条に)規定されている規則の制限に服する。
第5条:私的所有土地の借主は、狩猟に関して所有者と約定するところの権限を有する。
第6条:前4条に規定される場合および条件の外は、他人の私的所有土地で狩猟することはできない。
第7条:空中から所有土地に落ちた獲物、または、傷を負って所有土地に入った獲物は、第3法典の28章、法律17の規定に従って、その土地の所有者または借主および狩猟者に帰属する。
第8条:狩猟目的で私的所有土地の垣根を侵害および飛越えた者は、生じた損害以外に、殺した、若しくは、得た(所有者または借主に帰属すべき)獲物の価額、場合によっては、裁判手続き費用、更に、初回は20、二回目は30、三回目は40レアルを支払わなければならない。
第2章:(市町村)共有地(propios)および未開墾地での狩猟
第9条:私的所有でない土地では、Alava、Avila、Búrgos、Coruña、Guipúzcoa、Huesca、Logroño、Lugo、Navarra、Orense、Oviedo、Palencia、Pontevedra、Salamanca、Santander、 Segovia、Siria、Valladolid、Viscayo、Zamora県に関しては、4月1日から9月1日まで狩猟は禁止され、その他の県およびIslas
Baleares y Canariasでは3月1日から8月1日まで禁止される。
第10条:第4章の場合を除いて、年を通して雪の日および嵐などの異常事態発生日では狩猟は禁止される。
第11条:(兎狩りに使う)白いたち、(投げ縄の形の)罠、(鳥を取る)罠、網および雄のおとり鳥を用いての狩猟は常時禁止される。ウズラとその他の渡り鳥はこの一般的規則から除かれ、網やおとり鳥を用いても、その渡りの期間は狩猟することができる。
第12条:市町村役所は、県の副代理人(or代表者)の承認を得て、市町村の共有土地での狩猟を賃貸することができる。また、賃借人はその他の者に狩猟許可を与えることができる。但し、市町村役所および賃借人は、本章に規定される制限に服して、それらを行う。
第13条:賃貸された市町村の共有土地で賃借人の許可なしに狩猟する者、または、規則の制限に違背する者は、それらの場合、殺したもしくは得た獲物の価額、更に、初回は20、二回目は30、三回目は40レアルを賃借人に支払わなければならない。この罰金の半分は賃借人に帰属し、半分は、第4章に規定される害獣の絶滅目的基金に帰する。
第14条:市町村の共有土地に属しない山(or森林)および未開墾地では、本章の規則と制限に服して、各々の市町村の住人は狩猟することができる。外部者には司法当局(警察)が許可を与えることができる。
第15条:本勅令の制限に服して、市町村共有の山(or森林)、未開墾地および賃貸されていない土地で狩猟することが、州の副代理人(or代表者)の許可を得る者に許される。
第16条:これらの許可は、司法当局(警察)の通知または適宜の通知を前置して、文書で付与される。住人は、その各々の市町村の管轄内で狩猟するための年間許可に10レアル支払い、県全域での狩猟にはその倍、県全域での許可と解される職業的狩猟者は4倍を支払う。
第17条:この料金収入は、第4章に規定される害獣の撲滅の報償金支払いに当てられる。
第18条:一般的規則として、人的および火災の危険を避けるために市町村の最後の家屋から数えて500varas(1varaは約84cm)以内では狩猟は許されない。
第3章:鳩の狩猟
第19条:田舎の鳩は、上記規則に服して狩猟できるその他の鳥の範疇に含まれる。
第20条:他人の家鳩はその鳩舎から1000varasの距離にないとそれを襲撃する(or射撃する)ことはできない。違反者は獲物の価額および初回は20、二回目は30、三回目は40レアルを司法当局(警察)に支払わなければならない。この罰金の半分は所有者に帰属し、半分は、第4章に規定される基金に帰する。
第21条:鳩舎の所有者は、鳩が種蒔きに引起す損害を避けるために10月と11月の間は鳩舎を閉じておく責任がある。違反者は、損害が発生すると、損害賠償の他、初回は100、二回目は150、三回目は200レアルの罰金を支払う。
第22条:鳩舎の所有者は、7月15日から8月15日までの小麦の収穫の間、同じ罰の下に同じ責任を持つ。
第23条:気候変動の事由により、前述の2期間、または、それらのどちらかの期間での鳩舎閉切りに異なる期間を指定することが適当な場合は、市町村の司法当局(警察)は、相応する期間が2月を越えない条件で、前もって鳩舎所有者の参考にそれを告知して、期間を変えることができる。
第24条:収穫と種蒔きの当該2期間は、市町村の外では、家鳩を、上記の1000varas以内であろうと、この1000varas以内の場合は鳩舎に背向して、いかなる距離で襲撃する(or射撃する)ことも自由である。
第4章:害獣
第25条:害獣(つまり、狼、狐、てん、山猫、lejones、毛ながいたち)の狩猟は、市町村共有の開かれた土地(囲いのない土地)、未開墾地および私的所有の囲いがない収穫後の麦畑において、年を通して雪の日、嵐などの異常事態発生日でも、自由である。
第26条:いかなる種類の開かれた土地においては、例え境界標が建てられていても、通行人または人に飼われている動物に害を与える可能性がある、挟み罠、落し穴、その他の(獲物用の)罠を用いて狩猟することは許されない。違反者は、損害賠償と費用の他、初回は40、二回目は60、三回目は80レアルの罰金を支払う
第27条:囲いがある土地では、市町村共有地であろうと、私有地であろうと、所有者または賃借人の許可なしには、害獣の狩猟は許されない。
第28条:囲いがある土地の所有者および賃借人は、害獣を捕まえ、または、殺すために、挟み罠、もしくは、いかなる種類の落し穴と(獲物用の)罠をその土地に設置することができる。この場合は、誰も不知を主張できないようにするために告知柱を見える所に設置し、維持する義務を負う。
第29条:害獣絶滅を助成するために、死骸を提出する者に、狼一匹には40、雌狼には60、孕んでいると80、子狼には20レアルが支払われる。狐、雌狐、子狐についてはそれぞれ半分、てん、および、上記のその他動物では雌雄、子を問わず1/4となる。
第30条:前条の報償金を受ける権利がある者は、司法当局(警察)に動物またはその死骸を提出する。当局は受領書をもらって対応する価額を引渡す。
第31条:これらの受領書は、狼および狐の尻尾および耳、および、てんと上記のその他動物の皮と共に、司法当局(警察)が、これら両要件がないと支払われないこの種の物をその責任において証明するために県都で提出すべき文書となる。
第32条:上記の報償金の市町村での支払いのために、前数条の規定の違反者に課された金銭罰の半分が当てられる。また、鳩舎に関する罰金、漁猟に関する次章規定の違反により徴収される罰金の半分も同様に当てられる。
第33条:当該罰金の半分の額が報償金をカバーしきれない場合は、狩猟者は県の共有土地総局に、司法当局(警察)の証明書と動物の残骸または皮を提出して、請求することができる。
第34条:罰金の半分が報償金支払に超過する場合は、残りは市町村の住民税収に加えられる。
第35条:市町村の共同の狩り出しは、害獣絶滅などの口実でも、狩猟者の固有の利益に留意して、禁止される。
第5章:漁猟
第36条~第47条:漁猟については記述なし。
第7章:本規則の行使
第48条:狩猟および漁猟についての司法(or警察の)手続きは行政的一般規則による。
第49条:手続きは次により生じる;①被害者の訴えで、②職権で、③公認(or宣誓した)監視員または市町村役所の職員の申立てで、④汚染水または囲い地の外での挟み罠の場合、住人の申立てで。
第50条:市町村長は違反容疑者を出頭させる。事実が証明されると、罰金、獲物の価額と損害があれば損害額を徴収し、それらの額を本勅令に規定する目的に当てる。
第51条:被害者の訴えで手続きされるとき、事実が確認され、損害がある場合は、市町村長は、罰金徴収は別として、利害関係人が損害賠償について受け容れるように努める。合意に至らない場合は、少額事件では行政的に解決し、他は対応する裁判手続きに移行させる。但し、害獣追跡のための第31条の基金に当てられた罰金の半分は前もって被告人が弁済する。
第52条:本法で規定される違反は、汚染水の場合、または、囲い地の外の挟み罠と(獲物用の)罠の場合は、30日で時効にかかり、その他の場合は20日で時効にかかる。これらの期間が経過すると、司法当局(警察)は職権で手続きできず、訴えまたは申立てを受理しない。
第8章:違反者の罰
第53条:本規則の違反に対する一般的罰は、本法に別段の規定がないときは、(損害がある場合は)損害賠償と費用以外に、初回は20、二回目は30、三回目は40レアルである。依然として犯罪を繰返す場合は、司法当局(警察)は適当な罰について県の勧業省の副代理人(or代表者)に相談する。
第54条:父母および後見人はその未成年の子および被後見人が犯した違反に責任を負う。
第55条:本勅令に抵触する限りで、以前の規則は削除される。
翻訳 司法書士 古閑次郎(横浜市)