七部法典 Alfonso X, El Sabío 

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XXⅧ章 人が所有権を取得し得る物、人がどうしてそれを獲得し得るか。

法律Ⅲ条 「この世界の物の差異(departimiento)はどのように存するか、ある物は全ての創造物に属し、他の物はそうでない。」
 この世界の物の間では差異は非常に大きい、なぜなら、それらには鳥類、野獣、および、物を使用できるために生きている他の全ての創造物(人のように)に属する物が存し、また、全ての人にのみ属する他の物が存する。また、ある市、町あるいは城の全住民に、または、人がmorenする(死ぬ?)ところのいかなる他の場所に、別に属する、他の物がある。また、各人に属し、それの所有権を取得または喪失できる他の物がある。また、後で述べるような、何人の所有権に属しない、また、その財物に数えられない他の物が存する。

法律XⅧ条 「人はどのようにして野生獣、魚の所有権を、それらを捕獲するとすぐに、取得するか。」
 野生獣、鳥類、海と川の魚類は、それらを捕獲する者が誰であろうと、自身の土地で、または、他人の土地で、それらのある物を捕獲しても、それらが捕まえられるとすぐに、その者のものである。しかしながら、ある者が他人の土地に狩猟するために入るときで、その土地の所有者が居て、狩猟のために入らないように告げた場合、その者の防御(defendimiento)に反してある物を捕獲した場合、それは狩猟者のものになるべきでなく、土地所有者のものとならなければならない。つまり、何人も、他人の土地に、その所有者の防御に反するような形で狩猟のために入るべきではない。所有者がその土地内で狩猟している者を見つけ、何も捕獲しない前にそこで狩猟しないように防御した場合も同様である。なぜなら、そこで狩猟する(防御されている)物全ては、狩猟者のものでなく、その土地の所有者のものでなければならない。更に、防御される前に、なにかを狩猟した場合は、捕獲したもの全ては狩猟者のものでなければならず、土地所有者はそれには関係ない。

法律XX条 「人は、どのようにして鳥類および野生獣の所有権を喪失するか。」
 人は、鳥類、野生獣および魚に得た所有権を、本条の前の第3条で述べたように、それらがその支配から去り、捕獲前の状態に戻るとすぐ、喪失する。また、逃げて、見えないほど遠ざかったとき、また、たとえ、見えていても、捕獲できないほど遠ざかったとき、所有権を失う。これらの各場合、最初に捕獲する何人かがそれらの所有権を得る。

法律XXⅡ条 「傷ついた鹿は誰のものとなるべきか、また、他の者が来て、それを捕獲する。」
 狩猟者が、傷つけた鹿を追って行き、他の狩猟者が来て、それを捕獲する。それらのうち誰がその鹿を得るか争いが発生し得るので、最初に捕獲する者のものとなるべきと(我々は)言おう。なぜなら、彼らが鹿を傷つけたとしても、まだその支配に置いておらず、また、それを所有しない事由が多く発生するからである。それは、ある者が罠または罠綱を準備し、または、穴を掘り、または、鹿が落ちる他の罠を準備した場合に、最初に来てそれを見つけ捕獲する者が誰であろうと、その者のものとなるべきである、とのようだと(我々は)言う。そして、これは、ある場所では反対に使用するのを望むと、法律に従う。

法律XXⅣ条 「人はいかにして孔雀、このり、他の野生の鳥の所有権を失うか。」
 孔雀、このり(gavilán)、インド鶏、鳩、鶴、雁、雉および性質により野生であるそれらに類似するその他の鳥を、時として、人は馴らし、その家で飼育する習慣となっている。これにより、これらの鳥類が行って、飼育している家に戻る習慣であるかぎりは、それらがどこに居ても、その所有権を有し、それらが行って、戻る習慣を自身で失くすとすぐに、(所有権を)持っていた者はそれらの所有権を失い、それらを捕獲する者が所有権を得る。これと同じことが、鹿、黄鹿、縞馬、および人がその家で飼育すべき他の野生獣について言える。つまり、森林に戻り、家またはその所有者がそれらを飼っていた場所に帰らないとすぐに、それらの所有権を失う。

法律XXⅤ条 「人はいかにして鶏と若鶏の所有権を失わないか。」
 人の家で生まれ、飼育される鶏、若鶏および雁は野生の性質ではない。よって、驚いて、または、他のことで、飼育された家から飛立ち、去って、そこへ戻らなくとも、そのことでもって、所有者である者はそれらの所有権を失わない。その所有者にそれらを失わせる意図をもってそれらを捕獲した者が誰であろうと、家に持っていて盗まれた他の物のように、盗みで請求することができると、以前に(我々は)言う。

XXX章 人は幾らの態様で物の占有を得ることができるか。

法律XⅧ条 「人はいかにして鳥と獣の所持を失うか。」
 鳥類、野生獣または魚類を捕獲し、または、採取して、その後、その支配から去った場合、所持していた者はそれらの所持を失う。たとえ柵や垣根で囲われていても、ある広い場所に(鳥、獣を)置いたとき、または、人が別に使用しようとして、魚をある池または沼に放った場合もこれと同じこととなる。

 

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翻訳 司法書士 古閑次郎(横浜市)

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